阿武松審判部長のトンチンカン協議結果説明は「朝乃山と佐田の海を取り違えていたことに直前で気づいた」で説明がつく件。

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朝乃山が佐田の海で佐田の海が朝乃山で!

大相撲五月場所11日目、優勝に絡む大事な一番で大混乱が起きました。1敗で優勝争いの先頭に立つ平幕・朝乃山と佐田の海との取組でのこと。相撲内容としては朝乃山が圧倒し、電光石火の攻めで佐田の海を寄り切ったわけですが、これに阿武松審判長から物言いがつきます。

テレビでリプレーを振り返るNHKの中継では、もしかしたら朝乃山の踏み込んだ左足が、佐田の海を寄り切るより先に勇み足のような形で出ているのではないかという見立てを示します。なるほど、もしかしたらそのような可能性もあったかもしれません。俵の上に乗った朝乃山の左足親指が、土俵の外の砂をかすめるかかすめないかギリギリのところまで確かに落ちています。

ただ、スローを見る限りでは、朝乃山の親指は出ていないように見え、仮にそのタイミングで出ていたとしても佐田の海の左足かかとのほうが先に出ているようにも見え、おそらく軍配通り朝乃山の勝ちとなるのではないかという場面でした。

しかし、ここでまさかの大混乱が。協議内容を説明する阿武松審判部長(※審判部で一番エライ人の意)の言葉はまったく要領を得ず、何を言っているのかわからないうえに矛盾だらけだったのです。ポカーンとする両力士と行司、「お前は何を言っているのだ?」とざわつく場内。もしもこれをやったのが貴乃花であれば、即刻降格させられるクラスのトンチンカンぶりでした。

↓まずは一回見ますか!そのトンチンカンぶりを!


何を言っているんだ?????

最初から最後までよくわからないぞ?????

↓一言一句書き起こしつつ、疑問点を添えておきますね!
阿武松:「ただいまの協議について説明いたします」
(※特に疑問点ナシ)

阿武松:「行司軍配は…朝乃山に上がりましたが…」

(※おっ、ということは佐田の海の勝ちの目があるということか?)

阿武松:「佐田の海の…かかとが先に出ているんではないかと物言いがつき」

(※ん?佐田の海のかかとが先に出たという行司軍配どおりの内容で行司軍配に物言いをつけたの?)

阿武松:「協議した結果」
(※協議というかずっとイヤホンでビデオ室とやり取りしていただけだが…)

阿武松:「佐田の…朝乃山のかかとが先に出ており」

(※どっちのかかと?)

阿武松:「朝乃…朝乃山の勝ちと決定いたしました」
(※朝乃山のかかとが先に出ていたのに朝乃山の勝ちなの?)

阿武松:「(※聞き取り不能の叫び)」
(※何かイヤホンで言われたな?)

阿武松:「佐田の海のかかとが先に出ており、朝乃山の勝ちと決定いたしました!」

(※これはわかる)

朝乃山が勝ちということ以外、何もわからんなwww

両力士もどっちが勝ったのかわからず、土俵下で待機のままwww



僕はこの説明の際に、ひとつの動きに注目しました。阿武松審判長が説明を始める際、行司軍配は…と言い始めてからチラッと手元の紙を見たのです。おそらくこれは本日の取組をまとめた自分用マッチデープログラムのようなものでしょう。これで自分が裁く取組を確認し、勝敗をメモしたりしているのです。

↓ずっと手に持っているコレです!



すべてが頭に入っていれば見る必要のないものですが、説明の前にアレを見た。それはつまり、四股名の確認です。「誰が誰だか」を確認するためにアレを見たのです。もし阿武松審判長が「コイツとコイツ、誰だっけ…?」という状態であったならば。通常ならあり得ないとは思いますが、もしも「デブとデブで区別がつかない」「ヘンな名前勝手に名乗りやがって」「腹に名前書いとけよ」という状態であったならば。パンフレット見ながらでないと誰が誰だかわからない状態であったならば、このトンチンカンにも説明がつきます。

まず、大前提として阿武松審判長は「どっちがどっちなのか、誰が誰なのか、顔と名前が一致していなかった」のです。まわしの色で「紫と緑」。立っている場所で「左か右か(※東か西か)」としか区別がついていなかったのです。そして、不幸にも場内アナウンス等で連呼されていた「朝乃山」と「佐田の海」を完全に取り違えた状態で話を追いかけていたのです。

阿武松審判長の見た世界はこうです。

まず紫が緑を寄り切ったように見えた場面で、阿武松審判長は「紫の左足が先に出ている」という認識をします。「紫の勇み足で緑が勝ったな」と思ったのです。しかし、行司軍配は紫のほうに上がりましたので、「オイオイ、それは違うよ」と物言いをつけたのです。ただし、朝乃山と佐田の海は取り違えたままで。

そして、「佐田の海(紫)の足が先に出てたよな?」と周囲とビデオ室に問い掛けたのです。周囲は「何でこの人は物言いつけたんだろう?」という疑問を持ちつつも「そうっすね」と応じたでしょう。ビデオ室も「佐田の海(緑)のかかとが先に出ています」と回答したことでしょう。しかしそこで阿武松親方は「佐田の海(紫)のかかと?」とビックリしたのです。「佐田の海(紫)のかかとが先なの?」「佐田の海(緑)のかかとが先ですね」「かかとなの?」「かかとです」という押し問答がしばしつづき、協議は長引きます。そして最終的にまとまった結論は「佐田の海のかかとが先に出ており、朝乃山の勝ち」なのですが、阿武松審判長は「佐田の海(紫)のかかと?が先に出ており、朝乃山(緑)の勝ち」と認識したのです。

ところが、いざ説明の段になって「行司軍配が上がったほうの力士の名前を確認してから」と慎重になってしまった。そこで手元のシートを見ますと右側(西側)の力士は「朝乃山」という名前だったのです。阿武松審判長は混乱しつつも、シートの通りに右側(西側)の「紫の力士」を朝乃山と呼びます。と同時に、阿武松審判長は「ん?右側の紫が朝乃山なのか?」と混乱し始めます。

そして混乱したまま、自分が物言いをつけた理由「佐田の海(紫)の足が先に出ていたのではないか?」を説明します。そのとき「自分はつま先の話のつもりだったんだけど、みんながかかとだって言うからかかとなんだろうなぁ…」という消極的納得に基づき「かかと」と説明されます。ただし、これは先ほどの「ん?右側の紫が朝乃山なのか?佐田の海(紫)だと思ってたが…」という最新情報によって、阿武松審判長の脳内を大混乱させるのです。

そして、「佐田の海のかかとが先に出ており」という、ビデオ室とすり合わせた協議結果をそのまま言い始めるのですが、「待て待て、コッチの紫は朝乃山という名前なんだ」と手元のシートで確認した最新情報に基づいて「佐田の…じゃなくて朝乃山(紫)のかかとが先に出ており」と名前の取り違いを脳内アドリブで修正したのです。

最後の結論は先ほど協議で出ている「朝乃山の勝ち」なのですが、これはひとつ手前の自分の説明と矛盾します。阿武松審判長も矛盾に気づいて「朝乃…」で一回言葉に詰まります。しかし、「紫は朝乃山」は先ほどシートで確認しましたが、「緑は誰なのか?」は必要がなかったので確認しておらず、最新情報で上書きされていなかったのです。そのため、より強い刷り込みである「朝乃山の勝ち」という言葉が脳内アドリブでの修正に勝ってクチから出た。もはや朝乃山は右なのか左なのか緑なのか紫なのかチンプンカンプンですが、ビデオ室から刷り込まれたとおりに「朝乃山の勝ち」とは言った。「緑は一体誰なんだ…?」と思いながら。

その後、場内大混乱のなかでイヤホンから「佐田の海のかかとが先に出ており朝乃山の勝ち、と言え!」という指令が飛んできたのでしょう。そして、そのまんま言うことで何とか混乱はおさまった…という流れであると僕は推察するのです。

↓「佐田の海の…かかとが先に出ているんではないかと物言いがつき」を聞く佐田の海!

「物言いというか、そうなんだろ?」
「かかとが先なんだろ?」
「だから行司が相手の勝ちって言ったんだろ?」
「何で待たされているのかわからない…」

これが貴乃花審判長だったら「電波ビリビリ」とか言われるところ!

すぐさま執行部からの小言が飛んできて謝罪行脚コースだわ!

貴乃花は謝罪行脚には行かないけど!




「まさか力士の名前もわからんヤツが審判やらんやろ…」とお思いかもしれませんが、他人の名前と顔を覚えるのは才能であり、誰しもができることではありません。実際にほかの審判も「コイツ誰だっけ?」をやらかしており、たとえば元水戸泉の錦戸親方も正代と豊山を取り違えて、「目の前にいる正代の勝ちを説明する場面で豊山と連呼」をやらかしています。本人曰く「同じ部屋の力士なのでいつも間違える」のだとか。嵐で言えば大野クンと相葉クンを間違えるようなものでしょうか。そういうことはあるのです!

↓錦戸親方も「行司軍配は豊山に上がり…」と正代と豊山を取り違え!


同じ部屋だってことはわかるのに名前は出てこない!

野球外人とかでもありますよね!

巨人の外人だってのはわかるけど、名前は出てこないパターン!

↓ていうか、「名前がわからないから方向だけ言おう」としても東も西もわからなくなるのが相撲取り基準!


シドロモドロで何も言えなくなる高見盛よりはマシですがね!

やっぱり全員、腹に名前書かせよう!




こうした問題を防ぐには、腹に名前…だとアレなのでまわしに名前を書くほかないでしょう。もちろんその際はひらがなです。漢字だと今度は「読めない」というパターンがありますからね。十両あたりでも「翔猿(とびざる)」とか「若隆景(わかたかかげ)」とか「美ノ海(ちゅらうみ)」とか初見では読み間違えそうな四股名、まぁまぁあります。「覚えてない」もだいぶアレですが、「書いてるけど読めない」はさらにアレでしょう。最近は外国出身の親方も多いわけですから、ひらがなとローマ字併記でもいいかもしれません。お客さんもわかりやすくなっていいことづくめです!どうせメモを見るんですから、まわしに書いてあったほうがスマートですよね!


最悪の場合は、背番号みたいに数字をつけて「5番の勝ち」とかにしましょう!