首都高における交通事故総件数が、平成元年以降で初めて年間1万件を下回りました。前年度と比べても大きく事故が減少したのは、道路整備の恩恵が大きいといいます。

死傷事故件数は前年度比13.3%減

 首都高速道路の宮田年耕(としたか)社長は2019年5月21日(火)の定例会見で、2018年度の首都高における事故総件数が、平成元年以降で初めて年間1万件を下回ったと発表しました。


首都高では渋滞の減少により、事故も減少したという。写真はイメージ(2018年3月、中島洋平撮影)。

 2018年度の事故総件数は9940件で、2017年度の1万710件からマイナス770件、比率にして7.2%減少しました。死傷事故件数は838件で、こちらは2017年度の967件からマイナス129件、実に13.3%の減少です。

 2017年度の事故総件数は対前年度比マイナス263件、2.4%の減少だっだので、それと比べても2018年度は大きく事故が減少しています。その理由について首都高の関係者は、渋滞の改善を一因に挙げ、「事故で最も多いのは渋滞の最中に発生する追突ですが、全体の流れが改善されたことにより、それが減ったことが大きいでしょう」と話します。

 特に、C2中央環状線の慢性的な渋滞ポイントだった堀切JCT〜小菅JCT間(内回り)が2018年2月に、同じくC2の板橋JCT〜熊野町JCTが翌3月にそれぞれ4車線化したこと、そして同年6月に外環道の「千葉区間」(三郷南IC〜高谷JCT)が開通し、C2の東側区間を中心にクルマが外環道へ分散されたことが大きいといいます。首都高と関東地方整備局、NEXCO東日本関東支社は2019年1月、これら整備により、東北道と東関東道を行き来する交通の約8割がC2中央環状線から外環道へ転換し、C2とその内側区間では、渋滞損失時間が約3割減少したと発表しました。

 一方、首都高によると外環道千葉区間の開通により、湾岸線などで渋滞がかえって悪化しているとのこと。また、C2中央環状線の西側、山手トンネル内部や、C1都心環状線の江戸橋JCT前後など、いまだ解消されていない渋滞ポイントもあり、こうしたところでは事故も多い傾向だそうです。

 首都高では2019年度、事故多発地点など約40か所におけるカーブ箇所の舗装打ち換えや、二輪車の転落防止用フェンスの設置、滑り止め補修など、さらなる事故防止に向け安全対策を推進するとしています。