5月26日、東京競馬場では牡馬クラシック第2弾で、”競馬の祭典”と呼ばれる大一番・GI日本ダービー(芝2400m)が行なわれる。

 今年の最大の注目馬は、何と言ってもサートゥルナーリア(牡3歳/栗東・角居勝彦厩舎)だ。昨年6月のデビューからGIホープフルS(中山・芝2000m)、GI皐月賞(中山・芝2000m)を含む無傷の4連勝。今秋には仏GI凱旋門賞(ロンシャン・芝2400m)挑戦も検討されているというスターホース候補だ。約3カ月半ぶりの出走だった皐月賞も1.7倍の圧倒的1番人気に推されて快勝しており、今回も人気を集めることだろう。

 しかし、競馬は何が起こるかわからない。サートゥルナーリアは無敗とはいえ、まだ3歳の”若駒”であり、父がスプリンターのロードカナロアという血統から「距離不安」もわずかながらある。初の芝2400m、初の左回り、道悪馬場の対応力など、心配な点がないわけではない。

そこで今回は、「サートゥルナーリアが負けるとしたらどんなケースか」、そしてそんな状況下で「サートゥルナーリアに勝てる馬はいるのか」というアプローチで分析してみたい。

 サートゥルナーリアが敗れるとしたら、「ハイペースでスタミナを奪われる流れ」「道悪で瞬発力を発揮できない馬場」というケースが考えられる。そんな条件に強いと思われるのがリオンリオン(牡3歳/栗東・松永幹夫厩舎)だ。


2連勝でダービーに挑むリオンリオン

 同馬は前走のGII青葉賞(東京・芝2400m)を勝利。ハナ差の辛勝だったが、中身は濃いものだった。稍重馬場の中、1000m通過59秒9とやや速めのペースで逃げ、勝ちタイムは2分25秒0。この時計は稍重馬場としては極めて優秀で、稍重の芝2400mとしては全コースを含めて史上最速タイムとなっている。

 通常稍重より時計のかかる重馬場では、2分24秒6という記録があるが、これは1992年ジャパンCのトウカイテイオーによるもの。トウカイテイオーは日本競馬の歴史的名馬だけに、これは例外という扱いでよく、リオンリオンの評価を落とす必要はないだろう。

 ちなみに、過去に稍重馬場で行なわれた日本ダービーの最速タイムは、1998年スペシャルウィークの2分25秒8。続いて、2006年メイショウサムソンの2分27秒9となる。もちろん、最近の馬場管理の進歩はめざましく、時計だけで判断するのは安易かもしれないが、それを考慮に入れても、リオンリオンの青葉賞は高い評価を得ていい走りだった。

 リオンリオンは、父が香港のGIクイーンエリザベス2世C(芝2000m)を勝ったルーラーシップで、祖母がGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)のトゥザヴィクトリーという血統。父の産駒には不良馬場のGI菊花賞(京都・芝3000m)を制し、昨年のGIジャパンC(東京・芝2400m)で逃げて2着に入り、アーモンドアイの日本レコード(2分20秒6)樹立の立役者となったキセキがいる。道悪馬場も、東京芝2400mでの「スタミナ勝負」にも期待できる血統構成だ。

 以上、打倒サートゥルナーリアにはリオンリオンに期待をかけたい。