「娘に強制性交した父」に無罪判決。性虐待サバイバーの内田春菊はどう見る?
 今年3月、各地の地方裁判所で性暴力への無罪判決が立て続けに4件出たことで、世間では大きな疑問の声があがっています。

 とくに、父親が当時19歳の娘に対する準強制性交罪に問われた件で、3月29日に名古屋地裁岡崎支部が出した無罪判決に対しては、批判が噴出しました。ネットでは「なぜ?」「法の矛盾では?」などの議論が巻き起こり、メディアでも「娘を性のはけ口にした父が無罪というバカ判決『裁判長』」(『週刊新潮』4月18日号)といった報道がなされ、女性たちのデモが起きるなど広がりを見せています。

 というのも同地裁の鵜飼祐充裁判長は、娘が中学2年生の頃から父に性行為をされていたこと、「娘が同意していなかった」のに拒んだら暴力を振るわれていた事実を認めたにもかかわらず、「抵抗が可能だった」として無罪判決を下したのです。この判決を不服として4月8日、検察は控訴しました。

 この件について、義父による性的虐待サバイバーでもあるマンガ家・小説家の内田春菊さんはどう見たのでしょうか?(以下、内田春菊さんの寄稿です)

◆無罪判決を出した裁判長のような人、実はたいへん多い

「どうしてこうなった?」
「じゃあこの裁判長、『父親が娘にこんなことやってもおK』って思ってんの?」
 と良識ある皆さんは思いますよね。
 しかし、実はこういう人、たいへん多い。

 私自身性的虐待児出身なのです。抵抗したんだけど、養父からはボコボコにされ、実の母には上手に支配され、泣きの説得もされ、私の方が悪いからこうなったという話にされてしまっていた。

 小学生の頃、体を触られた私が嫌がると、
養父「こい(これ)は素直じゃなか!(長崎弁)」
実母「悪いお父さまねえ(笑)」
 と、止めないばかりか「おれが処女を奪ってから嫁に出す」という宣言にも母、無言。
 妹以外(私と母)は何かと殴られ、人権無視トークも日常茶飯。

 私が15でBFの子を妊娠してしまうと母は、
「もうあなたの好きにしてください」
 と処女を奪えなかったことに怒り狂っている養父に私(すでにボコボコ&体をいじくりまわされていた)を勝手に提供。
 中絶後16で家出、何度か連れ戻されたけど、17歳で脱出成功しました。

◆全部女が悪いことにされた町、長崎(1980年以前)

 上京(1980年)前は地元長崎でホステスやクラブ歌手をして暮らしてましたが、
「15で妊娠したら父親に殺されそうになって」まで話したところで、同い年(17)の女子に「そりゃそうだわ」
 と言われて絶句してしまったり、
 元カレに仕事帰りに捕まって男三人がかりで袋叩きにあったとき、
「警察に言うた方がよかとじゃなかですかね」
 と提案した女性が、
「あがんことされて、関係のなかったとでも思とるとか。警察行ったらワイが恥かくとぞ」(訳→「あんなに殴られたってことは自分の女だったからに決まってるじゃん、(自分の女は殴ってもいいのだから)警察に行ったら鼻で笑われ君が恥をかくんだよ」)
 と自分の恋人に説得されてしまった上、
「そがん言われたとばってん?」(訳→「あんたが殴られた男と付き合ってたこと言わないから、あたしはうっかり同情して通報なんて言い出して恋人にそう言われてしまったわよ?」)
 と両目パンダ痣(あざ)の私を責めてきた、そんな町、長崎。

 ホステス仕事の帰りに酔っ払いが後をついてくるので、近くにいた警官に訴えたところ、
「あんたがこがん時間にそがん格好で歩いとるけんたい!!」
 と一蹴されたこともあります。男が何をしようが、全部女が悪い町、長崎(1980)。

 東京来たら、長崎よりは全然ましだった!!
 一回目の結婚のDV夫が、「殺してやる」って夜中に車で来た時も、警官の対応は惚れ惚れするほどでした!!ばらつきはあるようだが、今はタクシーの運転手のオレオレトークもほぼなくなったし、東京はかなりおkであります!!