「今年こそ資産運用をしたい」「将来のお金が漠然と不安」など、“お金にまつわる不安”を抱えている女性は多いのではないでしょうか。iDeCo・投資信託・ふるさと納税……どれから始めて良いか分からず足踏みしてしまう自分から今年こそ卒業したいもの!

今回FPの荒木千秋さんに伺ったのは、将来に繋がる自己投資「iDeCo」の運用のいろは。気になる運用商品の種類や始め方について、しっかり解説いただきました。

iDeCoの基本の”き”を知りたい方は、「〜Vol.3〜老後の不安は節税もできる、iDeCoで解消」をチェック!

荒木千秋さん…三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行に勤務後、ファイナンシャルプランナーとして独立。同世代の女性を主な対象としたお金に関する個別相談やセミナーに登壇。2019年3月に、『「不安なのにな〜んにもしてない」女子のお金入門』(講談社)を出版。

―未経験者がiDeCoを始めるには、最初に何をすべきなのでしょうか?

「iDeCoを始めるには、まず、『年間の積立金額』と『開設金融機関』を決めなければなりません。積立金額の最低金額は毎月5,000円で、千円単位で加算が可能。上限額は働き方などによって異なり、自営業の方は月6万8,000円・公務員や共済加入者の方は1万2,000円・専業主婦の方は2万3,000円までとなっています。会社員の方は企業年金の有無で上限額が変動し、企業年金がある場合は1万2,000〜2万円、企業年金がない場合は2万3,000円までです。積立金額が増えるほど税控除のメリットもアップしますよ。開設金融機関は、手数料や商品ラインナップを比較しながら選んでいきましょう。iDeCoをお得に利用したい方は、手数料の安いネット証券がおすすめです。金融機関が決まったら、口座の開設手続きに進みましょう」

―途中で引き出せない、と考えると積立金額を決めるのも勇気がいりますね……。

「いえ、そんなに難しく考えすぎる必要はありませんよ!iDeCoは、金額の見直しが可能なのでお財布事情と相談しながら決めてみてくださいね。また、iDeCoは毎月ではなく指定した月だけ積み立てることもできます。無理をしすぎると日々の生活にも余裕がなくなり、続かなくなってしまうことも。『まずは、少額からスタート』『ボーナス月にまとめる』など、工夫しながら積み立て金額を決めていきましょう」

―金融機関で口座開設を行なう際、何が必要なのでしょうか?

「現在、実店舗でiDeCoを受け付けている金融機関はあまり多くありません。口座開設を行なう際は、各金融機関のiDeCo申し込みサイトから資料請求をすると、資料や申し込み書類一式が郵送されるのでスムーズですよ。口座開設に必要なのは、年金手帳に記されている『基礎年金番号』。また、会社員の方は書類の一部に会社側の記入・捺印箇所があります。必要書類を返送して、不備がなければ口座の開設手続きは完了です。いよいよ、運用商品の選定に進みましょう!」

気にはなっているものの、なかなか始められないでいる堅実女子も多い。

―実際にiDeCoの運用商品には、どのようなものがあるのでしょうか?

「iDeCoの運用商品は、定期預金や保険などの『元本確保型』と、投資信託が対象の『元本変動型』の2種類。元本確保型は、あらかじめ決められた金利で運用していくので元本が減ってしまう可能性はありません。一方、元本変動型は運用方法や商品次第で元本増減のリスクが生じます。損をしたくない方は、元本確保型の商品を選んで確実に資産形成を行いましょう。しかし、皆さんご存知の通り、現在日本の定期預金金利は非常に低いもの……。iDeCo運用にかかる手数料を利息分でカバーできないので、節税のメリットを受けられますが、額面上はマイナスになってしまうのです。元本確保型は、“元本減のリスクなしで、税金の還付を受けたい!”と考えている方におすすめですよ」

―“リスクがあってもしっかり運用して増やしたい!”と考えている堅実女子は、元本変動型の商品がよさそうですね。この場合の商品を選ぶ際のポイントなどありますか?

「元本変動型でiDeCoを運用したい場合は、投資信託の商品から選ぶことになります。投資信託の投資対象は『地域』と『資産』によって分かれており、どこの国のどの資産に投資したいかを考えて、投資を始めましょう。資産には、株式・債券・REIT(不動産)などがあり、日本の株式・先進国のREITといったように組み合わせていくのです。また、『バランスファンド』と呼ばれる、さまざま地域・資産をバランスよく組み合わせた投資信託もあります。どんな商品がどんな割合で含まれているのかを把握したうえで、選んでみてください」

―なるほど……投資未経験者が元本変動型を選んでもいいものでしょうか?注意すべき点などありますか?教えてください!

「iDeCoを行なう上で重要なポイントは、『分散投資を行うこと』と『リスク許容度を把握すること』です。分散投資とは、資産・地域・時間を分散してリスクを軽減するもの。購入するタイミングや資産の種類を分散させることで、収益のブレや価格変動の影響も軽減できますよ。また、“自分はどれくらいのリスクを受け止められるか”を考えて、許容度に応じた商品を選ぶことも重要です。iDeCoは60歳まで解約できないものの、掛け金や運用商品の変更が可能!転職・結婚・子育てなど、ライフスタイルの変化に応じたiDeCoの掛け金や運用商品も見直しを心掛けてくださいね」

iDeCoで、自分の未来に”安心”を積み立て!

「今月は疲れたから、ちょっと贅沢しちゃおう」「ボーナスでパーッと旅行に!」など、誰しも目先の楽しさを優先したくなるもの。しかし、自分の未来を豊かなものにするには、できる範囲で蓄える意識が必要なのです。節税をしながら資産形成できるiDeCoで、将来のための“安心”を積み立ててみるのも良いかもしれませんね。

次回は、忙しい堅実女子の投資デビューに欠かせない「NISA」について解説いただきます。資産運用に興味がある方は、ぜひチェックしてくださいね。

『「不安なのにな〜んにもしてない」女子のお金入門』(講談社刊)タイトルにドキッとした堅実女子の皆さん、お金は上手に貯めましょうね。

取材・文/山本杏奈

撮影/黒石あみ