TKO勝ちを飾った井上尚弥【写真:Getty Images】

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事実上の決勝も259秒で完敗、試合後は「準備は最高だった」が…

 WBA世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)は18日(日本時間19日)、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)準決勝(スコットランド・グラスゴー)でIBF同級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に2回1分19秒TKO勝ち。破れたロドリゲスは事実上の決勝と呼ばれた無敗対決で茫然自失の完敗となったが、試合後はキャリア初黒星にも関わらず「言い訳の余地はない」と潔さを示している。プエルトリコ地元紙「プリメイラ・オラ」が報じている。

 19戦全勝を誇ったロドリゲスが絶望の表情を浮かべた。拮抗の1ラウンド目で評判通りの技術を見せたが、2ラウンド目に一気にギアを上げた井上に蹂躙された。開始30秒に左フックを顔面に被弾するとダウン。立ち上がった直後に右の強烈なボディショットを受けると再びダウン。鮮血のまま茫然自失の表情で2度、3度と首を横に振った。心は折れていたが、立ち上がった。

 記事では「イノウエとロドリゲスは1ラウンド目にアグレッシブだった。だが、主役は日本人だった。イノウエはロドリゲスに数発の左フックをヒットさせた。日本人は規格外のスピードと正確性を示した。ロドリゲス最初のダウンはまさに左フックがもたらし、鼻血が出始めた。数秒後に腹部にソリッドな一撃を受けると、ロドリゲスは再び転倒した」と戦況をレポートしている。

 結局、3度目のダウンで完敗を喫したロドリゲス。記事では試合後の潔いコメントも伝えている。

サポートした陣営に感謝「自分たちの仕事をしてくれた」

「我が同胞へ、勝利をもたらすことはできなかった。言い訳の余地はない。これまでにないトレーニングを積んできたのだから。準備は最高だった。我が陣営は自分たちの仕事をしてくれた。自分の仕事をするまでだった。素晴らしい雰囲気に感謝したい。敗北は誰にとっても痛いものだ。しかし、我々は止まらない。これが終わりでないのだから」

 今大会最大のライバルと呼ばれたロドリゲス。キャリア20戦目にして初めて喫した黒星にも言い訳することはなかった。また、試合前の公開練習でトレーナーのウィリアム・クルーズ氏が井上の父でトレーナーを務める真吾氏を突き飛ばす騒動を起こし、海外から批判を浴びたが、自らをサポートしてくれた陣営も擁護する計らいを見せていた。

 モンスター相手に259秒で敗れたロドリゲスは元王者に相応しい品格を示し、WBSSから姿を消した。(THE ANSWER編集部)