■PV数を600倍にしたノウハウを「単語帳」形式に

「自分のサイトへのアクセスは気にするのに、そもそも『読者を増やすテクニック』がある、ということさえ知らない人が、意外と多いことに気付いたんです」

東 香名子氏

そう語るのは、著者の東香名子さん。本書は、女性向けサイトの編集長を2年間務め、PV数を600倍にしたノウハウを「単語帳」形式で書き下ろした一冊だ。

タイトルにもある「バズる」という言葉。これはSNSで発言や記事が急速に拡散されている状態を示すネットスラングであったが、今や企業の広報会議などでも頻繁に交わされる言葉となった。

「とあるセミナーで、ウェブでのライティング講義を行ったのが本書を執筆したきっかけでした。受講生は、中小企業経営者や個人事業主が多く、ネットを使って発信する情報が『バズらない』という、共通の悩みを抱えている方たちばかりでした」という。

どんなに自信のある商品やサービスを用意していても、アクセス数が少なければアピールする機会さえない。つまり、お客も来ない。売り上げも上がらない。スマホを開けば大量の情報が流れ込んでくる昨今、重要なのは周りからいかに抜きん出てアピールできるかだ。

■「安い」より「安すぎる」より「安すぎる!」

「うまくいかない人のタイトルは、自分の言いたいことを短絡的に並べてしまい、投げやりな印象になっていることが多い。まずは見てもらわなければ何も始まりません。そのためにタイトルをしっかりとつくり込むことが大切なのです」

東 香名子『100倍クリックされる 超Webライティング バズる単語300』(パルコ)

「中身はそのままでも、タイトルをちょこっと変えてあげるだけで、読者の心に刺さるようになります。例えば『商品が安い』ことを伝えたいときに『安すぎる』としたり、さらには『安すぎる!』と表現できればPV数はまったく変わります」

本書は「トレンド」や「ライフスタイル」といったカテゴリー別に、読者の目を引く単語がさながら英単語帳のように索引から調べられるつくりになっている。それぞれ作例や、どのような効果があるかも丁寧に解説され、タイトルを決めるにあたって、徹底した読者目線での判断を説く。

「ネット店舗、企業広報やウェブライターなど、ネットビジネスに関するお仕事はもちろん、メルカリ、ヤフオクなどに出品する学生や主婦もネットでの表現力が問われる時代です。せっかくの情報が誰の目にも触れないままネットの海に沈んでいくなんて悲しいですよね。この本をきっかけに、少しでも多くの人へ発信できるようになることを願っています」

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東 香名子
鹿児島生まれ。東洋大学大学院修了。女性サイト編集長を経て独立。前著『100倍クリックされる超Webライティング 実践テク60』。パリが好き。

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(ライター 宮上 徳重 撮影=奥谷 仁)