コーチを務めるテニスクラブで取材に応じたクリストフ・ジーン氏。指導歴は20年以上あり、数多くの選手を育てたという

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無職だったハイチ人の父親は、月300ドルのコーチ料を踏み倒し…

コーチを務めるテニスクラブで取材に応じたクリストフ・ジーン氏。指導歴は20年以上あり、数多くの選手を育てたという

「俺はナオミではなく、彼女のハイチ出身の父親、レオナルド・フランソワに怒っているんだ。あれだけナオミの面倒を見た俺に対して1セントの支払いもないなんて、どう考えてもおかしいだろ!」

 アメリカ・フロリダ州にあるテニスコートでインタビューに応じたクリストフ・ジーン氏(46)は、そう怒りをぶちまけた。ジーン氏は大坂なおみ(21)が13歳の頃に指導していた元コーチ。今年2月、大坂に対して「賞金と契約金の20%の支払い」を求める訴訟を起こしたことで、世界的に注目を集める人物だ。

「父親が悪い」と断言するのはなぜか。ジーン氏が大坂一家の「ファミリーシークレット」を明かした。

「俺がナオミを教えたのは、’11〜’13年の約2年間だ。ナオミの遊び友達にマルコというハイチ人がいて、この子が俺のテニスクラブに通っていたのをきっかけに、レオナルドが近づいてきた。『ナオミはテニスをやりたがっているが、俺は教えられない。助けてくれ』とね。レオナルドは自分が独学でテニスを教えたと吹聴しているが、真っ赤なウソだ。いまのナオミがあるのは、間違いなく俺のおかげだ」

 指導を始めてすぐに、ジーン氏は大坂の才能に気づいたという。

「彼女はライオンだよ。普段は大人しいが、コートに立つと、『誰にも負けたくない。ナンバー1になりたい』という闘志を全面に出していた。俺の指導にも従順で、炎天下でのランニングエクササイズなど、キツイ練習にもくらいついてきた。俺は彼女に、週5日、毎日6時間の厳しい指導をした」

 ジーン氏が大坂の父親と交わした契約は、コーチ料を月300ドル支払うというもの。しかし実際に支払われたのは、最初の月だけだった。

「当時、レオナルドは映画を作るとか何とか言っていたが、実際は無職だった。家計はすべて母親の環(たまき)が支えていた。一家はフロリダ州内のボロボロのアパートに住んで、無一文に近い状態だった。そんな彼らのために、俺はコーチ仲間のツテを頼ってグレードの高いアパートを探し、安く住まわせてやったんだ」

 本誌はジーン氏が紹介したというアパートを訪ね、当時の大坂一家を知る近隣住民にも話を聞いた。彼らは口を揃えて、「ハイチ出身の父親が働かず、一家は経済的に苦労していた」と話した。ジーン氏が続ける。

「それでも俺が無償でナオミをサポートしたのは、彼女がテニスで成功すると確信していたからだ。だからこそ、俺は’12年3月に、レオナルドと『ナオミの将来の稼ぎのうち20%を支払う』という同意書も交わしたのさ。レオナルドには、何度も『ナオミは成功する』と話したよ。でも彼は、いつも『ノー、ノー、ノー』と否定していた。娘がこれほどの選手になるとは思っておらず、遊びのつもりで俺のところに通わせていたので、同意書にも深く考えずサインしたんだろう」

 昨年9月の全米、今年1月の全豪と、テニス四大大会を2度も制した大坂の獲得賞金は約12億円にものぼる。主張が認められれば、ジーン氏は2億円を超える"コーチ料"を受け取ることになる。

「レオナルドには何度も電話で、訴訟にならない形で解決したいと持ち掛けていた。しかし彼は、『今度会いに行く』とのらりくらりで、すべて無視したんだ。訴訟は、レオナルドが招いたこと。同意書やコーチ時代の映像などは、すべて裁判所に証拠として提出してある。俺の主張がすべて認められるかはわからない。でも、それなりの額を受け取ることができると、確信しているよ」

 元コーチの提訴に対し、大坂側はどう考えているのか。大坂の代理人を務めるアレックス・スピロ弁護士は本誌の取材にこう回答した。

「ナオミが華々しい成功を収めたことがきっかけで、不当な要求が出てくることは意外なことではない。だが、ナオミが見たこともなければ署名したこともない『同意書』をもとにしたこのくだらない訴訟は、あまりにも馬鹿げている。法的根拠がないので、(フロリダ州の裁判所に)棄却するよう申請する」

 今回のトラブルが大坂のプレーに影響しなければいいのだが……。

ジーン氏が指導していた、13歳頃の大坂なおみ。この動画も裁判所に証拠として提出したという

全豪制覇後、ハイチ出身の父親と記念撮影。大坂なおみは父親よりも母親との絆が固いと言われている

PHOTO:大野和基 時事通信(父親とのツーショット)