20〜30代の独身女性の彼氏がいない確率が50%を超える今。いつの間にやら少数派になった彼氏持ちの女性の中には、彼氏はいるもののセカンドポジションのまま、いつまでたってもファースト(本命)になれない女性たちがいます。彼女たちが本命になれない原因は何なのでしょうか……。彼女たちの過去の恋愛から、その原因を探っていきます。

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今回お話を伺ったのは、都内でフリーランスのウェブデザイナーとして働いている木村千賀子さん(仮名・29歳)。短い黒髪を後ろに1つに束ね、白い肌にはややアンバランスな濃く描かれた眉に目がいきます。服装はギャザーが入った黒のマキシワンピースにベージュのカーディガンを合わせており、ザックリ開いた胸元や手首などは細く骨ばった印象。千賀子さんは対面を嫌い、お話は隣の席で話を伺うなど、少しメンタルが不安定な印象を受けました。そんな彼女のセカンド気質はどこにあるのか――。生い立ちや、学生時代の恋愛から話を伺っていきます。

「出身は栃木県で、両親との3人家族です。家から徒歩圏内に父方の祖父母の家があり、晩御飯はよく5人で食べていました。祖父母は優しく、父親は寡黙で放任。でも、母親は過干渉というか、私のすることを逐一チェックしてくるタイプでした。小さい頃は私が着たい服があっても、母親が気に入らないと絶対に買ってくれない。いつもお人形のように、母親が気に入った服装ばかりをさせられていた記憶が残っています」

初めて彼氏ができたのはいつですか?

「専門学校の時です。高校までは本当にまったく記憶にないほど、何もありませんでした。私は、高校になると自然に彼氏ってできるものだと思っていたんです。みんなが恋愛モードになって、仲良くなるといつしか2人で会うようになって、みたいに。でも実際は……、私は女子のおとなしいグループに属していたので、男子と話す機会さえありませんでしたね。

彼氏は都内の専門学校に進学して、その学校でできた同い年の男の子です。母親からの監視から逃れたくて、祖父母に味方についてもらって1年くらいかけて必死に家を出たんですよ。初めての彼氏は、中学の時からずっと憧れていた男女グループというものの一員になれ、その中で彼からのアプローチがあって付き合った感じです。まぁ2か月と3日で他に好きな人ができたと振られてしまうんですけどね……。彼のことが本当に好きじゃなかったのか、振られた時も悲しい気持ちというより、付き合って別れるといった恋愛の醍醐味を味わっている満足感に満たされていましたね(苦笑)」

専門学校を卒業後はパンフレットやチラシなどを請け負う、従業員数名の小さな会社に就職。そこで仲良くなった男性と付き合うようになります。

「会社は社長と営業の人、そしてデザイナーが3名ほどの小さな会社で、学校の先生の紹介で見つけたところでした。そこで、7歳上の営業の人と付き合うことになったんです。始まりは、会社の飲み会で酔っ払って彼の家に泊めてもらって、そこから私の家より彼の家のほうが会社から近いので度々泊まりに行くようになって……という感じですね。彼から家に来てもいいと言われたから行っていたし、付き合うまでは一切体の関係はありませんでした。彼から『こんなに一緒にいるなら、もう付き合ってしまうか』みたいなことを言われたんです。家に泊まる前から、異性としてありだなと思っていたので、付き合うとなった時は純粋に嬉しかったです」

一度の注意が招いた上下関係。彼からのあだ名が“ブス”になってしまい……

しかし、その関係はあることがきっかけで、あからさまな上下関係になっていったと言います。

「もちろん会社には内緒なので職場では普通なんですが、ある時、彼がゴミを入れたゴミ袋を部屋のあちらこちらに置くようになって、そのことを軽く注意したんです。そしたら彼は『お前が俺に命令するな』と怒り狂いました。その日から、家に帰ると最初は会社での注意を受け始めました。デザインがダメ、時間がかかり過ぎとかダメ出しです。会社では一切言われなかったから、仕事を持って帰ってくる人なんだなってあまり深く考えなかったし、まだここまでなら我慢できたんです。でも、徐々にプライベートのほうも罵声を浴びせられるようになってきて。最後のほうは、名前じゃなく、『グズ』『ブス』と呼ばれるようになっていきました。私も暴言が普通のことになっていって、『ブス』と呼ばれれば振り向くようになっていったんですけどね(苦笑)」

深夜作業もある仕事の中で、家に帰ると罵声の連続。浅い睡眠を繰り返すようになった千賀子さんは体調を崩してしまい、仕事を休みがちになります。そんな時、彼からプロポーズを受けたそうですが……。

「その時には家を引き払って同棲状態になっていたので、寝込んでいたのも一緒の住まいだったんですよ。寝込んだ私に彼は『社会人としてもダメなら、結婚してパートなどで働け』って言ったんです。これって一応プロポーズですよね。でも、その言葉で今後のことをリアルに想像して、ゾッとしたんです。一生こんな毎日なのかって。でも、断るのが怖くて、“今は”無理と伝えました。そしたら、出て行けと言われてしまって……」

一度の注意から生まれた上下関係。千賀子さんは言いたいことを飲み込むのがうまくなっていきます。

押さえつけられる恋愛から逃げ出した千賀子さんですが、一度刷り込まれた恋愛での誤った関係性は修正することができずに……。〜その2〜に続きます。