昨年、話題をさらった『おっさんずラブ』

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 今春、LGBTをテーマにしたさまざまなドラマが放送されているが、その先駆けとなったのが昨年、放送された『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)だ。その出演者たちの異例の“出世”ぶりについて、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

【写真】22才年下妻とスーパーで買い物する吉田鋼太郎

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 昨年、Twitterで世界トレンド1位となったほか、放送終了後もネット上をさわがせ続け、「新語・流行語大賞」のトップテンに選出。さらに、『コンフィデンスアワード・ドラマ賞年間大賞2018』作品賞、『東京ドラマアウォード2018』連続ドラマ部門グランプリを受賞するなど、最大の話題作となった『おっさんずラブ』。

 その勢いと影響力は、一年過ぎた今春になって思わぬところに表れています。

 主人公の春田創一を演じた田中圭さんは、『あなたの番です』(日本テレビ系)でプライム帯の民放連ドラ初主演を務め、しかも2クールに渡る長期放送。春田の幼なじみで思いを寄せる荒井ちずを演じた内田理央さんは、『向かいのバズる家族』(読売テレビ、日本テレビ系)で主演。春田の後輩社員・栗林歌麻呂を演じた金子大地さんは、『腐女子、うっかりゲイに告る。』(NHK)で連ドラ初主演。『おっさんずラブ』の1年後に3人が連ドラの主演を務めていることに驚かされます。

 さらに、春田の上司で主任の武川政宗を演じた眞島秀和さんは、『スパイラル〜町工場の奇跡〜』で主人公の行く手を阻む最大の敵役として出演。単発ドラマでも、「事実上のヒロイン」こと黒澤武蔵を演じた吉田鋼太郎さんは19日放送のドラマスペシャル『死命〜刑事のタイムリミット〜』(テレビ朝日系)で主演を務めます。

◆林遣都は大河ドラマと朝ドラに出演へ

 田中さんと吉田さんは、これまでもバイプレーヤーとして多くの作品に出演していましたが、1年が過ぎて主演となり、深夜から早い放送時間帯になっています。また、内田さんと金子さんの若手2人は、「大きなステップアップを果たしたと言っていいでしょう。

 しかも、田中さんは独身の営業マンから新婚のジムトレーナー、内田さんは広告代理店のOLからカフェの店長、金子さんはイマドキの新人営業マンからゲイの高校生、眞島さんはクールな営業主任から信用金庫の支店長代理、吉田さんは頼りがいのある営業部長から連続殺人犯を追う刑事と、『おっさんずラブ』から大きく異なる役を演じることで、俳優としての幅を見せています。

 これ以外でも、春田の後輩社員で最後に結ばれる牧凌太を演じた林遣都さんは、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK)第2部と、今秋スタートの朝ドラ『スカーレット』(NHK)への出演が決定済。どちらも今年の下半期を盛り上げることになりそうです。

 放送から1年を経て、主要キャストのほとんどが連ドラの勝ち組となっていることがわかるのではないでしょうか。『おっさんずラブ』が平均視聴率4.0%の深夜ドラマだったことを踏まえると、やはり異例のヒット作であり、出演俳優にとってのターニングポイントになっているのです。

◆8月公開の映画版は“五角関係”に進化

 上記のように俳優たちがスケールアップして臨むことになる『劇場版 おっさんずラブ〜LOVE or DEAD〜』(東宝、8月23日公開予定)は、さらなるフィーバー必至。

 連ドラのレギュラーキャストに加えて、沢村一樹さんと志尊淳さんが“新たなおっさん”として出演するようです。連ドラでは、春田を黒沢部長と牧が奪い合う三角関係でしたが、ここに新プロジェクトチームのリーダー・狸穴迅(沢村一樹)と新人・山田正義(志尊淳)が絡む“五角関係”になるのでしょう。

 演出・瑠東東一郎さん、脚本・徳尾浩司さんなど、スタッフの顔ぶれも変わっていないだけにクオリティの心配は無用。早くも「リピーター続出で、2019年の興行収入ランキング1位は間違いない」という声があがっているほどです。

 映画公開時は、田中さんの主演ドラマ『あなたの番です』がクライマックスに向けて怒涛の展開を見せるころだけに、日本テレビとテレビ朝日という局の壁を超えて相乗効果で盛り上がるのではないでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。