今日もどこかでアイドルのライブが開催されている

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 芸能界は華々しいイメージの一方で、NGT48の一連の報道からも分かるように、アイドルとプロダクションとのトラブルなどひとたび問題が表面化すると、瞬く間にそのイメージが悪化する。まさに表裏一体だ。アイドルを含む芸能人をサポート・プロデュースする芸能プロダクションは裏方的存在であり、業界全体のイメージがつかない人も多いかもしれない。そこで今回は、帝国データバンクの企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)から劇団(芸能プロダクション、イベント制作・企画など)を主業とする企業の経営実態を集計し分析してみた。

競争激化? 増収傾向にある芸能プロダクション業界

 調査対象としたのは2013年度から2017年度までの業績が判明した「劇団」を主業とする企業734社。売上高別に見ると、2017年度の総売上高は5126億2600万円となり、2013年度から2017年度まで5期連続の増収となった。公演やイベント数の増加などプロダクションからのアプローチのみならず、SNSの普及によりタレント自らが情報を発信し、より身近な存在となったことによる効果が増収に寄与したと言えるだろう。

 734社を規模別に見ると売上高「1億円未満」が340社と最も多く構成比46.3%を占めた。次いで、「1億〜10億円未満」の315社となり、売上高規模10億円未満の事業者が89.2%を占めた。一方で売上高「100億円以上」の企業が11社となった。

 さらに業歴別に見ると、業歴30年未満の企業が463社を数えた。言い換えれば平成の間に設立された企業が全体の63.1%を占めることとなる。IT技術の高度化に伴うコンテンツの充実化、2010年以降には「アイドル戦国時代」という言葉が浸透するなど、アイドルが身近な存在になったことで、さまざまな形で芸能界を夢見る若者が増えたこともその一因と言えるだろう。

問題の表面化? 経営に打撃を及ぼす可能性

 近時、NGT48所属のアイドルと運営側(企業)とのトラブルやプロダクションに所属する芸能人の不祥事や逮捕による違約金の発生などさまざまな問題が表面化している。今後もSNSなどで劣悪な運営実態などが表面化するようになると、風評次第では運営側の経営に大きな打撃を及ぼすことにもなりかねない。生き残り競争は厳しいものの労使ともに円滑な関係性が重要となってくるだろう。

 芸能プロダクション業界は全体として増収傾向にあるが、上述のような社会の変化に今後どう対応していくのか注目される。