食品メーカーでは、お酢やレモン、牛乳などを活用した減塩の取り組みが始まっている(画像はイメージ)

〈5月17日は「高血圧の日」、毎月17日は「減塩の日」〉
今年は、厚生労働省より「日本人の食事摂取基準」が5年ぶりに改訂されることが発表され、2020年より食塩摂取の目標量引き下げや、たんぱく質の目標摂取量に改訂が加わる予定となっている。また4月には、日本高血圧学会が高血圧の降圧目標値を引き下げており、食事をはじめとした生活習慣の改善がますます重要視されている。

そんな中、食品メーカーでは、お酢やレモン、牛乳などを活用した減塩の取り組みが始まっている。Mizkanとおいしい健康(本社=東京都、野尻哲也CEO)は、「おいしさと健康はひとつになれる」を理念に、新たな食の未来の実現を目指す情報発信基地「お酢でおいしさと健康を考える会(お酢健)」を5月8日に設立した。

食酢は、料理全体の味を上手に引き立たせる働きがあり、いつもより塩分を減らしたメニューでも味がぼやけたりせず、ぽん酢は、しょうゆ代わりに活用すれば、お酢や柑橘の酸味により、いつもより塩分を減らしたメニューでもおいしく食べられるという。

「お酢健」では、日本人に昔から愛用されてきた「お酢」に注目し、その魅力を、現代の日本が抱える食と健康に関わる課題の解決に役立つ情報として発信強化するねらいだ。

ポッカサッポロフード&ビバレッジは、1980年代から「レモンで減塩」を情報発信してきた。これは、レモンの酸味と香りを活用することで塩分摂取を抑えられることを伝えるもの。

同社の調べでは、塩分摂取の67.8%は調味料・香辛料類由来で、そのうち、しょうゆ、みそ、塩以外の30%はその他調味料であることがわかったという。そこで、「レモンで減塩」の販売促進を強化するべく、ドレッシングやたれなどにレモンを活用して減塩できるレシピ提案を充実させ、同社主催のセミナーやWEBサイトで紹介している。

製品では、2011年にレモンの酸味と香りで塩味を引き立てることにより減塩できる塩「レモンのおかげ ウレシオ」を販売し、今年からは国立循環器病研究センターが認定する“かるしお認定”を取得し、同製品のパッケージに表示したという。

同社では、「減塩など健康的な食生活に関心が高まる中、長年にわたり発信してきた“レモンと減塩”について、販売促進と啓発活動を強化していきます」としている。

「食塩の供給源」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

牛乳を調味料に組み合わせる方法もある。一般社団法人Jミルクは、「乳和食」を提唱している。これは、味噌や醤油などの伝統的調味料に、コク味や旨味を有している牛乳(成分無調整牛乳)を組み合わせることで、利用されている食材本来の風味や特徴を損なわずに食塩やだしを減らし、おいしく和食を食べてもらう調理法のこと。
 
牛乳に豊富に含まれるカルシウムやカリウムには、血圧を上昇させる血中ナトリウムの作用を妨げる働きがあることもわかっていることから、今後注目されそうだ。

乳和食レシピリーフレット(Jミルク)

高血圧症は、国内の患者数は推計約4300万人といわれており、治療には、減塩や運動などの生活習慣の改善が欠かせないとされている。
 
なお、日本高血圧学会と日本高血圧協会は、毎年5月17日を「高血圧の日」と定めるとともに、毎月17日を「減塩の日」として、幅広い分野で啓発活動を進めている。