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4月から放送開始となったアニメ『真夜中のオカルト公務員』。たもつ葉子による人気コミックスが原作で、新宿区の職員として区内に生息する人間ならざる存在のアナザーが起こす事件と対峙していく宮古 新と、新宿区役所夜間地域交流課の個性的な同僚たちや、これまた鮮やかな個性を放つアナザーたちとの騒動や事件、日常を描く物語だ。そのアニメーションのオープニング主題歌「dis-communicate」を歌うのは、主人公・宮古 新を演じる福山 潤。意外にも初のタイアップ曲となった今回のシングルについて、彼に話を聞いた。実は今年、音楽活動10周年を迎えるということで、改めて彼の音楽観について、作詞について、さらに作品との向き合い方についても直撃した。

――アルバム『浪漫的世界31』で「気になるアイツはポンチョ〜ヌ」を歌われてから、今年で10年になる、実はアニバーサリーなタイミングの年なんですよね。

福山 潤 そうなんですよ。あのアルバムを制作させてもらったときには、まだ音楽のことを何もわかっていなかったんです。それは今もあまり変わっていないかもしれないんですけれども、「どういうふうに今後提示していこうか」ということに関しては、10年前よりももっともっと自分の意志や主張が入っているかなと思いますし、作っていく過程をより楽しめてはいるかなと思います。というのも、作詞をさせていただくことも含めて、コミュニケートを取ったうえで今後どうしよう、と楽しんでやっているような感覚があるんです。以前は「僕を使って遊んでください」と投げて、そこに対して届いたものを僕がやる、という形だったのものが、だんだん変わってきましたね。できることをどんどん増やしていって、弱かった部分も強化していって、ひとつの作品としてより面白いものにしていきたいという思いで活動しているのが、2017年の「KEEP GOING ON!」から始まった今の形になっているんですね。あそこからラップに挑戦したり。やったことのないことをたくさんやりながらではあるんですが、そうした活動をしてきたなかで、今回はアニメのタイアップ曲というあらたな挑戦になりました。

――お話にも出ましたが、今回のニューシングル「dis-communicate」はアニメ『真夜中のオカルト公務員』の主人公・宮古 新としてではなく、アーティスト・福山 潤として歌われるということで、楽曲に向き合うときの気持ちもこれまでとはだいぶ変わりそうですね。

福山 作品のことを考えてオープニングを作って、しかも主演もやらせてもらうということで、作品についていちばん理解していなきゃいけないんだろうなとも思うので、そこの説得力を自分の中にしっかり持っておかないといけないなと。せっかくこういった作品なのにぼんやりとしてしまったらもったいないし、観ている人たちにも申し訳ない。ただ以前ならそういったことをプレッシャーに感じていたと思うんですが、今は面白くて仕方がないです。

――新しいことに挑戦する、ということに対して柔軟なんですね。

福山 やったことのないことをやるのが楽しいなって思うんです。いちばん嫌なのは、ひよって中途半端にしてしまうこと。例えばそうしてしまっていい結果が出なかったなら、中途半端にしたからだ、と思うだけでしょうけど、ちゃんと向き合って悪い結果が出たなら、何がダメだったのか、何が足りなかったのかということが具体的にわかる。精一杯やったうえでいい結果が出たなら「これをやったからだ」ともわかる。「結果が出る」ということが何よりも大事だなと思いますし、やったことがないことはそういった経験を積み重ねるうえでの第一歩になるわけですから。それは今、どんな仕事のジャンルであっても、やったことがないことを今やるということに魅力を感じています。

――では『真夜中のオカルト公務員』のオープニングを作ることになったときに、どんなことをいちばん表現したいと思われたのでしょうか。

福山 タイアップが決まる前に漠然と作詞の松井洋平さんと「次の作品はどんなものにしましょうか」という話をしていたんです。その時点ではサビは疾走感のある曲に、なんて話をしていて。前作の「Tightrope」に関してはタイトルを決めてから曲を作る、という形での制作だったんですね。僕はタイトルが決まったほうが歌詞を書きやすいんです。テーマが決まるから。でも今回は、「作品」のテーマと、でも僕のプロジェクトであるということ、そして入れてほしいワードをいただくという実質的なテーマもあったので、タイトルは後付けでいいかなと思いました。その結果、この作品は、人間とアナザーとの相容れなかったり難しさのあるコミュニケートの中で、それが実際の人間同士の関係性やコミュニケートにも繋がっていくということが魅力だと感じているんですが、作品に寄せつつも、物語の舞台である「新宿」を自分たちがどう見ているか、というところをテーマにしようと思ったんです。それで松井さんと「新宿をどう見ています?」っていうインタビューをお互いにしながら、いろいろと話をしていって。今度は作品をどのように落とし込んでいくか、と会話をしながら、大まかな骨格を松井さんに作ってもらって、肉付けを僕がする、というやり方で徐々に作詞を進めていきました。

――作詞は松井さんとのタッグで作業をされていらっしゃいますが「松井洋平さんの歌詞」に対してはどのような想いがありますか?

福山 まったくもって僕と言葉の作り方が違うんですね。松井さんは僕の歌詞の作り方がわかっているので、「福山 潤っぽく」書けるんです。でも松井さんの言葉のはめ方は、僕には「これでできるのかな」と思ってしまうようなスタイルなんです。でも歌うと、めちゃくちゃはまる。これが不思議で。文字と譜面だけで見ていると、「これは難しくないか?」と思うワードが多いけど、やってみると親和性がある。やはり作詞のプロだなぁ、ということをまざまざと見せてもらえる。その中に、僕の硬い言葉が入る。松井さんに言わせると、詞に使わないような言葉ばかりを出してくるらしいんですよね。それは僕の色だからやっていった方がいい、ともおっしゃってくれて。お互いのパズルがはまることで面白くなる。僕にない感性を出してくれる松井さんの歌詞に、僕の言葉を入れることがとにかく面白いです。

――福山さんの歌詞の「こだわりの部分」というと?

福山 声優なので、普段、セリフを言っているというのもありますから、「文章として言葉に繋がりを持つ」というのは重要かなと感じます。自分の中でも繋がりのない言葉の羅列が苦手なので、なるべく書きながらメロにもはまるようにはするんですが、文章として繋がるものにしたい、と思っています。



――そしてカップリングは「Moving」です。こちらの曲はどのように制作されたのでしょうか。

福山 曲が届く前からタイトルを決めていた曲で、楽曲のコンセプトも決まっていたので、そのコンセプトで発注をして作っていただきました。「dis-communicate」が疾走感のある楽曲なのに対して、カップリングは音数が少なく、ちょっとノスタルジーのある曲に、というバランスのシングルにしようというのは、タイトル曲を作り終えた段階で決まっていて。なるべく最後はコーラスをみんなで歌えるような感じにしましょう、というところまで具体的に決めていたんです。テーマも僕の欲求として、引越しがしたいので、引越しをテーマにしようと提案をして。歌詞に英語を入れない代わりにタイトルを英語にする、というのも僕の音楽制作のスタイルとして決めていることでもあるので、「Moving」というタイトルにしました。そうすると「動いている」であったり、言葉のイメージとして“時代の流れ”にも繋がるよね、ということで松井さんとお話をして。発売時期的にも平成最後の発売になるので、そのときにしか書けない歌詞にしましょう、ということも決めていたんです。恐らく時節柄を絡めないというのは作品を作るうえでの約束事かもしれないですが、逆にこれを絡めない手はない、と。松井さんも「これはいいタイミングですよ!」とテンションがアガっていましたし。それで制作を始めました。これは松井さんに大枠を作ってもらうのではなく、僕がゼロから作る、という松井さんからのお題もあって、ワンコーラス僕が作ったうえで、松井さんにフィードバックして、2コーラス目は松井さんに骨格を作ってもらって僕が肉付けをするいつものスタイルにして、最後のセクションは僕と松井さんが同時に作る、という段階を踏んで作りました。そうして出来た曲は力が抜けていて。言葉数も少なくかつ硬い言葉のない、他愛のない内容にしたいということはあらかじめ決めていたので、それにはどうしていこう、と考えていったんです。引越しがテ−マですし、その引越しに伴っての時代の変化、大きな流れとして変わるタイミングなのに自分の半径や生活は何も変わらない、というものを歌詞に落とし込んでドラマ仕立てにする、という作業でした。だからセリフを入れてみたり、登場人物は基本ひとりで、電話が出てくるものにしよう、ということを自分で決めてから取りかかりましたね。

――歌詞を書く作業ってアウトプットする作業ですよね。今回の歌詞を書かれるにあたって、アウトプットしたのはどんな言葉だったんでしょうか。

福山 逆に出していくことで、自分がどんな言葉を選びやすいかであったり、こんな選び方ができるんだとわかるので、むしろ出していくことでインプットされていくものもあります。「Tightrope」や「dis-communicate」で歌詞にあまり常用しないような言葉を積極的に使っていたのは、僕がどちらかというと物を書くときにそちら側にいきがちで、僕自身のクセでもあったんですけど、ここでは逆にそれを封印すると決めたときに、「普段の言葉はどんなものかな?」と思ったんです。普段、常用しない言葉というのは、案外「単語だけでいろいろと説明できてしまう言葉」だったんですが、それを外さなきゃいけない。セリフにしたら状況がわかるし、会話にしたらその内容によって状況を説明することができる。今までと違う表現に出会ったことで逆に勉強になったなと思いました。松井さんからの課題によって、自分の中のあらたな表現をアウトプットできました。でも最初の2行の、“送信メール書き溜めるフォルダーを閉じる/段ボールの蓋を開けて入れ忘れのシャツを詰める”は特に苦戦しました。ここは10パターン以上書きましたね。文字が増えちゃうんです。こんな簡単なこともできないのか、と落ち込んだりもしましたが、そこから先はすんなりと書けました。

――だとするとこの曲もある種、福山さんにとっては挑戦の曲でしたね。

福山 僕の中ではいちばん挑戦のあった曲ですね。ゼロから構築しなければならなかったので。でもサビに関しては自分の中でコンセプトが決まっていたので、それをメロディに合わせて、説明にするのかセリフにするのか言葉にするのかだけだな、と思って。ただ辞書も何度も開きました。「つっぱねった」という言葉が果たして日本語にあるのか、とかいくつもの辞書を見て、成立するのかを調べましたしね。

――「わらいあう」も「笑い合う」と「嗤い合う」が出てきて。状況が違うことが伺えますしね。

福山 そこだけは自分でも指定しました。状況が違いますよね。「嗤う」だと皮肉っぽい面が出るんですが、音だけではそれが伝わらないので。これが歌詞を書くうえでの面白さだな、と思いましたね。

――そんなシングルのあとには9月にライブイベントも開催。今の時点で、どんなイベントにしたいとお考えでしょうか。

福山 フルライブ、ということではなく、ライブを中心としたイベントになるので、構成としては面白いものにしたいと思っています。以前開催した「ひとりのBOCCHI SHOW」とはまた違った感じに。ライブパートも頑張りつつイベントとしても楽しいものにしたいです。まずは歌を皆さんの前でどう提示しようか。ここから身体作りと振り付けなども頑張らなければな、という感じです。ただ「来て良かった」「面白かった」と思ってもらえるものにしたい、というのは変わらず。今、いろいろと詰めているところです。

――挑戦の多かった今回のシングルですが、またさらなる挑戦への欲も生まれたかと思います。今後挑戦したいことを教えてください。

福山 いつかやりたい、というものですが、すべてをセリフだけで構成した楽曲というのをやってみたいです。情景描写を入れないで、会話やセリフだけで作れないかなというのは考えています。物語のようなものもいいですよね。歌い手としては表現としてできることを増やしたい。それができれば歌詞でもっとトリッキーなものもできるでしょうし。あとはとにかく歌がうまくなりたいです。

――飽くなき挑戦の日々。ライブイベントも楽しみにしながら「dis-communicate」、そしてアニメ「真夜中のオカルト公務員」を楽しみたいです。

福山 よろしくお願いします!

Interview & Text By えびさわなち



●リリース情報

福山 潤 3rdシングル

「dis-communicate」

発売中

【初回限定盤(CD+DVD)】



品番:PCCG-01766

価格:¥1,800+税

<DVD>

「dis-communicate」ミュージックビデオ

【通常盤(CD)】



品番:PCCG.70447

価格:¥1,500+税

【きゃにめ限定盤(CD+DVD)】



品番:SCCG-00037

価格:¥2,200+税

<DVD>

「dis-communicate」ミュージックビデオ+メイキング+豪華ブックレット

<CD>※3形態共通

M1.dis-communicate

作詞:福山 潤、松井洋平 作曲/編曲:eba(F.M.F)

M2.Moving

作詞:福山 潤、松井洋平 作曲:島みやえい子 編曲:神田ジョン

M3.dis-communicate(Instrumental)

M4.Moving(Instrumental)

【アニメ盤(CD)】



品番:PCCG-01767

価格:¥1,500+税

<CD>

M1.dis-communicate

作詞:福山 潤、松井洋平 作曲/編曲:eba(F.M.F)

M2.Moving

作詞:福山 潤、松井洋平 作曲:島みやえい子 編曲:神田ジョン

M3.dis-communicate(Instrumental)

M4.Moving(Instrumental)

M5. dis-communicate TV edit

※全形態に2019年秋開催イベント優先販売申込券が封入。

※各盤ともジャケット(ブックレット)は変わります。

※アニメ盤はアニメイラストのジャケット絵柄となります。

●作品情報

TVアニメ『真夜中のオカルト公務員』



<イントロダクション>

フツーの公務員になったはずの新宿区役所職員・宮古新が配属されたのは、東京23区すべての区役所に人知れず存在する「夜間地域交流課」だった。

そのお仕事は、人ならざる者が関与するオカルト的事象の解決。

先輩で課のリーダー榊京一、オカルトマニア姫塚セオに連れられて人の世の理を超越した存在と対峙しに、夜な夜な出勤する。

【スタッフ】

原作:たもつ葉子(KADOKAWA「コミックNewtype」連載)

監督:渡邊哲哉

シリーズ構成:樋口達人

助監督:大石康之

オカルト考証:三輪清宗

キャラクターデザイン:伊藤依織子

アナザーデザイン:伊藤依織子 鈴木勘太

プロップデザイン:伊藤依織子 江上夏樹

美術設定:青木智由紀  イノセユキエ 泉 寛

美術監督:三原伸明

色彩設計:小野寺笑子

撮影監督:田村 仁 姫野めぐみ

編  集:吉武将人

音響監督:鶴岡陽太

音響効果:山谷尚人

音楽:Evan Call

アニメーション制作:ライデンフィルム

【キャスト】

宮古 新:福山 潤

榊 京一:前野智昭

姫塚セオ:入野自由

仙田礼二:遊佐浩二

狩野一悟:櫻井孝宏

ウェウェコヨトル:土岐隼一

ユキ:山本和臣

(C)2019 たもつ葉子/KADOKAWA/「真夜中のオカルト公務員」製作委員会

関連リンク



福山潤アーティストオフィシャルサイト福山潤アーティスト公式TwitterTVアニメ『真夜中のオカルト公務員』公式サイト