大相撲五月場所(夏場所)4日目 ○貴景勝(よりきり)御嶽海● 取り組み後、土俵に手をつき足を気にする貴景勝=15日、両国国技館(桐原正道撮影)

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 大相撲夏場所4日目(15日、両国国技館)寄り切って勝利した貴景勝がその場から動けずにしゃがみ込む。

 右脚をかばうように歩き出し、ゆっくり蹲踞(そんきょ)して勝ち名乗りを受けた。支度部屋に引き揚げても風呂には入らず、右膝のやや内側を氷で冷やした。「大丈夫。痛めてない」。違和感が生じているのは明らかなのに、弱気な言葉は口を突かなかった。

 相撲自体は内容の濃いものだった。相手は直接対決で5連敗中の御嶽海。当たって一気に突き切ることはできなかったが、はず押しで難敵の体を起こした。両かいなを相手の脇に差し入れると、持ち上げるように寄って勝負を決めた。どの場面で痛めたか分からないほど力強い相撲だった。

 突き押し一辺倒で大関を射止めた後、取り口の幅を広げることに挑戦してきた。その一つが「もろ差し」による攻め。突き押しを食い止められ、相手にまわしを取られてからも、なんとか勝機を見いだすための策だ。

 稽古でときおり試み、「1カ月やってできるものではない。根気よく続けていきたい」と先を見据えていた。習熟はまだ先だが、成果がさっそく表れた形。寄り切りで白星を挙げるのは昨年7月の名古屋場所以来で、本人も「ちゃんと寄り切ったのは初めて」と手応えをつかんだ様子だった。

 土俵下に転げ落ちた前日の完敗から、崩れることなく勝ちきった。その代償となった右膝の傷みが、翌日以降に影響しないことを願うしかない。(浜田慎太郎)