大混雑となった渋谷の名所「スクランブル交差点」。警察官が歩行者らの誘導にあたった=平成30年10月31日夜、東京都渋谷区(佐藤徳昭撮影)

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 昨年秋のハロウィーンでトラブルが相次ぎ、逮捕者が続出したことをうけ、東京都渋谷区が設置した対策検討会は15日、ハロウィーン期間中などに路上飲酒を禁止する条例の制定などを求める中間報告を長谷部健区長に提出した。

 中間報告は「酒を飲み歩きする行為が騒ぎに拍車を掛けており、有効な手だてを検討すべきだ」と指摘。検討会の座長を務めるNPO法人「おやじ日本」の竹花豊理事長は「人があふれかえると不測の事態を起こしかねない。実効性のある条例をつくることが第一」と話し条例制定を求めた。

 区は報告を受け、路上や公園で飲酒を禁止する内容の条例案を区議会に提出する予定で、今秋までの施行を目指す。長谷部区長は記者会見で、年越しのカウントダウンも対象にする考えを示す一方、過料などの罰則規定を設けるかについては「人員配置など莫大なコストがかかるので大きな課題。区議会でしっかり議論したい」と述べた。

 渋谷駅前のスクランブル交差点には、10月31日のハロウィーン当日や直前の週末に多くの仮装した若者らが集まり、年々騒動が深刻化。商業施設のトイレなどでの着替えが問題となり、区は着替え場所として公園にテントを用意するなどの対応を取ってきた。昨年は瓶入りアルコール飲料の販売自粛を周辺コンビニに求めた。

 区は地元商店街や観光協会で構成する対策検討会を立ち上げ、7回にわたり混乱防止策を議論してきた。

 ■街では賛否分かれる

 渋谷区が路上飲酒禁止条例を制定する方針について、渋谷を訪れていた人からは賛否の声が上がった。

 男性会社員(37)は「昨年はスクランブル交差点を移動するのが本当に大変だった。条例で少しでも騒ぐ人が少なくなってくれれば」と評価。一方、大学1年の男子学生(21)は「静かに飲むぶんには良いのでは」と条例制定には反対の立場だ。それでも「あの騒ぎようでは仕方ないのかな」とも。

 実効性を疑問視する声も。センター街にある靴店の女性店員(20)は「条例でどのくらい効果があるのか分からないけど、無いよりは良い。去年より騒動が収まってくれれば」と話した。

 短文投稿サイト「ツイッター」上でも賛否は分かれた。「みんながマナーを守っていれば楽しいハロウィーンになったのに。一部の人のせいで路上飲酒禁止になるんだね」と落胆の声。一方で、条例制定に理解を示し、「(普段から)渋谷は路上飲酒を禁止にしてほしい」「これを皮切りに路上飲酒の禁止が他の地域にも広がってほしい」と期待を寄せる声もあった。

 渋谷区のように公共の場で飲酒を禁じる条例は、神奈川県逗子市や鎌倉市が海岸の砂浜を対象にしたものがある。鎌倉市は平成27年に「マナーアップ条例」を改正し、砂浜での飲酒を禁止にした。改正後、区への苦情は減ったという。担当者は「条例はあくまで砂浜で飲酒をしている人に対して注意を呼び掛ける根拠だが、マナーの改善はされていると感じる」と話した。