“休憩返上”で業務をこなすしかない…(C)日刊ゲンダイ

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「働き方改革」が「働かせ方改革」であることが統計上も浮き彫りだ。安倍政権のかけ声で数字上の残業は減ったかもしれないが、そのシワ寄せで“休憩返上”で業務をこなす働き方が広がっている。リクルートワークス研究所の坂本貴志研究員の「増える、昼休みに仕事をする人々」と題したリポートで浮かび上がった。

年金カット、低賃金…「70歳まで働く社会」の悲惨な風景

 坂本氏は総務省が5年に1度行う「社会生活基本調査」の詳細を分析。

 働く人の生活時間を15分単位で把握するこのデータによると、2016年に正午から午後1時までの時間帯に働いていた人の比率は11年から3.2ポイント増の35.4%に拡大。午前6〜8時と午後3時〜午後3時15分も働く人の比率が増えていたという。始業前やおやつ時を業務に充てていたようだ。一方で、午後8時台に仕事をしていた人の割合は1時間平均で1.0ポイント減の13.8%にとどまった。

 ブラック労働の実態に詳しい働き方改革総合研究所の新田龍代表が言う。

「いわゆる働き方改革の恩恵にあずかっているのは、TOPIXコア30に構成されるような超優良企業のホワイトカラーだけと言っていい。タイムカードに終業打刻をした後の残業や、休日にサービス出勤するケースは珍しくありません。タダ働きを強いられているのです。今年4月に始まった年間5日間の有給休暇取得義務化も波紋を広げています。夏季休暇や年末年始休暇を有休に付け替える動きが出てきている。土曜日を出勤日に変更し、休む場合は有休を消化させる事例もある。理想は必要ですが、現場を無視した制度の押し付けによって、労働環境はむしろ悪化しています」

 ランチタイムを削ったり、トイレを我慢するのは当たり前。たばこを一服するなんて言語道断になりつつある。

 労働基準法は労働時間が6時間超8時間以下の人に最低45分、8時間超の人に1時間の休憩を合間に取らせることを企業に義務付けている。違反した使用者は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。サービス労働を蔓延させる抜け道は許されない。