日テレ「ものまねグランプリ」で優勝した霜降り明星

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採点を見直すと……

 他人を評価することがどれだけ難しいか、経験者でなくとも理解している方は少なくないはずだ。そしてお笑いの世界で審査が最も難しいのは、ものまねだという。

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 5月7日、日本テレビ系列で「ものまねグランプリ特別編 ものまねレジェンドが選ぶ次世代ものまね芸人No.1決定戦」が放送された。

 MCはネプチューン。審査員はコロッケ(59)、神奈月(53)、ホリ(42)の“ものまねレジェンド”3人に、関根勤(65)と井森美幸(50)が加わった計5人だった。

 19時56分に放送が始まり、最初に23組が出場。5組が決勝に残って2本目のネタを披露、22時54分に番組が終了した。

 結果は霜降り明星が優勝。せいや(26)がものまねを担当し、粗品(26)がツッコむという変則的な内容だったが、5人の審査員は高く評価。初出場で栄冠に輝いた。

日テレ「ものまねグランプリ」で優勝した霜降り明星

 ところが、この審査にSNS上で異論が相次ぎ、少なからぬメディアが報じたのだ。代表的なものをご紹介しよう。

《霜降り明星、『ものまねグランプリ』優勝に疑問の声……「漫才なのに?」「明らかに忖度」》(5月8日:cyzo woman)

《『ものまねグランプリ』Mr.シャチホコ酷評に唖然 「これはさすがに…」》(5月8日:しらべぇ)

《『ものまねグランプリ』、真の優勝はMr.シャチホコ? コロッケの辛口審査・霜降りの優勝に大バッシングが》(5月8日:リアルライブ)

《霜降り明星 ものまねグランプリ優勝に“批判”が殺到していた?粗品 放送予定のモノマネも「荒れるぞ、燃えるぞ」》(5月11日:COCONUTS)

 それでは決勝戦を振り返ってみよう。5組は出演順にモリタク!(35)と河口こうへい(38)のコンビ、Mr.シャチホコ(26)、山田七海(21)、古賀シュウ(51)、霜降り明星という顔ぶれだった。審査員の採点結果を表にまとめてみた。ご覧いただきたい。

「ものまねグランプリ」決勝戦の採点結果

ものまねの採点は困難?

 上の見出しからも分かるが、SNS上では【1】「霜降り明星の優勝はおかしい」と、【2】「Mr.シャチホコの最下位は納得がいかない」という2種類の異議が大勢を占めた。

 表を見ると、霜降り明星は5人の審査員全員が優勝と判定。一方のMr.シャチホコは評価の低い順に関根勤(最下位)、コロッケ(最下位タイの4位)、ホリ(3位タイ)、神奈月(2位)、井森美幸(Mr.シャチホコとのW優勝)という結果になった。

 まず【1】「なぜ霜降り明星が優勝したのか」という異論について、テレビ担当記者が解説する。

「『M-1グランプリ』のように決勝戦は優勝者の名前を投票する方式でしたら、他の4人の順位は発生しません。Mr.シャチホコに対する異論は出なかったことになります。ただ、審査員の全員が霜降り明星を挙げたことが今回の得点形式より明白になりますから、今より異論は増えた可能性も否定できません。結局のところ、せいやと粗品のお二人が共にものまねを披露しなかったことに、大きな原因があったと思います」

 霜降り明星の2人は、「ものまねを主題にした漫才」をやりたいという強い意思があったのかもしれない。オンエアされたネタは、せいやだけが桑田佳祐(63)や武田鉄矢(70)をものまね。そのクオリティは高かったとはいえ、粗品はツッコミに徹した。

「この独自スタイルに納得のいかない視聴者が少なくなかったのでしょう。『ものまね芸人という本職でもなく、おまけに変化球のネタを投げた霜降り明星が優勝したのは、吉本興業への忖度以外に考えられない』、『M-1グランプリ、R-1グランプリに続く三冠は、あまりにゴリ押しが酷い』という“流言飛語”をSNSに拡散させる原因になってしまいました」(同・記者)

 これに対して、【2】「Mr.シャチホコの最下位は納得がいかない」は難しい問題だという。民放キー局の制作担当者が解説する。

「まず審査の『やらせ投票』はあり得ません。誰でもお分かりいただけると思いますが、プロデューサーやディレクターが、関根勤さんやコロッケさんに『霜降り明星さんを優勝させてください』と頼むのは不可能です。そんなことをすれば、お二人は『バカにしている』と抗議し、今後の関係が悪化するのは避けられません。また“ものまねレジエンド”の3人は、オンエア後に視聴者が“審査の採点”を行うことは覚悟していたでしょう。『いい加減な点数はつけられない』というプレッシャーを感じながらの出演だったと思います」

 審査員が真摯に審査を下したにもかかわらず、それは一部の視聴者に届かなかったわけだ。制作担当者は「個々人の“理想のものまね”が幅広いことが最大の原因です」と指摘する。

「実は昔から、『漫才よりコントより、ものまねの審査には“やらせ”、“出来レース”の声が大きい』という事実は、ベテランのテレビマンなら誰でも知っているでしょう。似ているか否かという判断基準は当たり前で、歌のうまさ、笑えるネタかどうか、斬新なアイディアが含まれているかどうかという多彩な要素が絡みます。視聴者の間で『これがベストのものまねだ』というコンセンサスが成立しにくいのです」

 桜田淳子(61)は、ものまねされることが極めて多かったが、自身もものまねを得意としていたことでも知られる。だが今の視聴者が、彼女がものまねで歌うVTRを見ても、「巧いかもしれないが笑えない」という評価は少なくないだろう。今回の「ものまねグランプリ」では、山田七海にそのような指摘が多かった。

「漫才やコントに比べて、ものまねは個人の好みがはっきりしてしまう。Mr.シャチホコさんのものまねがツボに入った視聴者には、どうしても他の出演者がつまらなくなってしまうわけです。これが、ものまねの審査を難しくする最大の要因でしょう。そして関根勤さん以上に、コロッケさんへの批判が多かったのは、『ものまね界の先輩であるコロッケが、後輩のMr.シャチホコをいじめている』という構図を反射的に連想した視聴者が少なくなかったということでしょうね」

 実際、SNS上では、コロッケが「才能ある若手を、今のうちに潰そうとしている」との書き込みさえあった。

「そんなことは絶対にないと断言できます。百歩譲って、コロッケさんとMr.シャチホコさんの間に、私たちが知らない確執が存在したとしても、その意趣返しを番組内でやったりはしないでしょう。目立ちすぎます。Mr.シャチホコさんの露出度が上がれば、“ものまね業界”全体にも追い風が吹きます。潰すなんてあり得ません」(同・制作担当者)

 結局のところ、シンプルに「コロッケが厳しい点数をつけることで、期待の後輩に“更なる精進”を求めた」と解釈するのがよいようだ。Mr.シャチホコも自身のツイッターで「決勝まで進めたのですが、決勝では最下位と、予選も含め反省点だらけの結果となってしまいました」と書き込み、採点に異議を唱えることなどはなかった。

 また霜降り明星の2人は5月10日、ラジオ「霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)」(ニッポン放送系列:金・27:00〜28:30)に出演。基本は冗談のトーンを保ちながら、「頑張ったのに、みんなに嫌われた」現状について愚痴をこぼした。王者に輝きながら、思わぬとばっちりを食らったというのが本音だったろう。

週刊新潮WEB取材班

2019年5月15日 掲載