坊主禁止にする北見工の「真意」。そして2人の逸材投手に注目!帽子が抜けた武田留偉勢(北見工)を見ればわかるように坊主ではない

 現在の高校野球では坊主をやめる流れが少しずつ始まってきているが、北海道では、昨夏、北北海道代表として甲子園に出場した旭川大高が坊主を禁止して話題となったが、北見支部の北見工でも始めている。選手たちを見ると坊主にしている選手はいない。田苅子弘之監督はこの方針について次のように説明する。

「前監督の方針から始まりました。前監督としては、時代の流れで、坊主をやめることですそ野を広げようという考えがありました。私はその方針を引き継いで、現在に至っています」 最初は坊主にしないことで嬉しいと思うかもしれない。だが逆に北見工の先発投手の武田留偉勢(3年)は「最初は伸ばしたことで、ダラダラやるとよりだらしないと思われるので、より全力疾走を意識するようになりましたし、また髪型もだらしなくないか、チェックして、身だしなみはより意識するようになったと思います」

 試合後になるが、報道陣の前に現れた武田の雰囲気はまるで若い先生のようなものだった。顔立ちと髪型がマッチしているので、とてもかっこよく見える。

他人に見られることを意識して清潔感のある身だしなみにする。田苅子監督はそれこそが坊主禁止の真意だと語る。

「彼らも高校を卒業すれば、一社会人となります。そうなると身だしなみが大事になります。朝は寝癖がないか、チェックしたりしますよね。そういう意識を高めてもらいたいと思います」

 北見工の選手に話を聞くと、坊主をやめるようになったことで、以前よりも清潔感のある身だしなみを意識するようになったと語る。野球界では坊主の是非について、語られる。坊主にしても、しなくても、その場面に応じた身だしなみを整えて行動することが大事だと思う。

 そんな北見工は初回から畳みかけ、二死一、二塁から5番高橋智希(2年)の適時二塁打、6番大留 哲也(2年)の適時打で3点を先制。2回表には打者一巡の攻めで、6点を追加。さらに3回表にも1番松本翔汰(3年)の三塁打から内野ゴロの間に1点を追加した。

 投げては先発右腕・武田留偉勢が好投。170センチ64キロと小柄だが、投手としても、打者としてもセンスの高さが目に付く逸材。打者としてはシャープなスイングで広角に打ち分け、投手としても体の使い方が目に付く。左足をバランスよく上げてから、お尻から先行するヒップファーストができていて、左腕のグラブを斜めに伸ばしていき、内回りのテークバックでしっかりとトップを作る。トップを作ってから上半身を一気に旋回させて、振り下ろす。

 華奢なように見えても、体をきれいに回転させて、その力を腕の振りに伝達ができているので、力強い速球を投げ込むことができる。武田によると、昨年は下半身を使って投げることができたため、投球フォームを改めた。「左足が着地してからどれだけ体を回転させられるかが大事です」と語るように、全身を効率よく使えることを意識している。

 常時120キロ後半〜135キロ程度の速球を投げ込んでおり、両サイドに決まる。他では110キロ台のスライダー、100キロ台のチェンジアップを低めに集めながら投球を構成できていた。武田は体の動きを突き詰めて野球ができる投手なので、もっと伸びると思う。

 そして5回裏からマウンドに登った3番手の松田 大輝(2年)は楽しみな本格派右腕だった。178センチ82キロとがっしり体型。今年の4月の練習試合で最速140キロを計測している。ステップ幅6歩を意識して、角度良く振り下ろすストレートは常時135キロ前後(最速136キロ)を計測。角度があり、球威を兼ね備えたストレートは球速表示以上のものを感じさせる。110キロ前後のスライダー、100キロ台のカーブも投げていたが、この試合ではストレート中心のピッチングで三者連続三振で締めた。

 入学当時は129キロ。そこから筋力トレーニングなどに励み、11キロもスピードアップさせた。

 ポテンシャル的には来年の北北海道を代表する投手になっていてもおかしくないと思うので、どん欲にピッチングフォーム、投球術、コンディショニングなどを突き詰めてほしい。そういうところにこだわれば、とんでもない投手へ成長する可能性がある。

 坊主が禁止で、そして好投手2人擁する北見工。この春だけではなく、夏へ向けて見逃せないチームである。

(文=河嶋 宗一)