インスタグラマーと聞いたら、どんな人を思い浮かべますか?

僕はモデルやタレントといったキラキラした方が浮かびます。

彼ら、彼女らが自分たちの好きなファッションやコスメ、旅情報などを発信することで、たくさんのフォロワーがつき、企業の広告塔にもなっている…。

普通に働いている僕らにとっては遠い存在、と思いきや、インスタグラムで副業している凄腕ビジネスマンがいました。

その名は「インスタ王子」。

本場アメリカでノウハウを磨いたという彼が、「匿名・顔出しなし」を条件に、インスタビジネスの戦略的思考を教えてくれました!

〈聞き手=サトー・トモロー〉


【インスタ王子】2013年よりインスタグラムに興味を持ち、約100アカウントの運用に携わっている。現在は副業として、企業のインスタグラムアカウントの運用やコンサルティングを行っている

サトー:
インスタ王子さんは今、どんな仕事をされているんですか?

インスタ王子:
本業はAIの開発をしています。

インスタグラムはあくまで副業なんですけど、その月商は200万くらいでしょうか。

企業とのタイアップ企画で、1投稿で20万円もらったこともあります。

きっかけは「海外へ日本の文化を伝えたい」という想いから

サトー:
インスタグラムのビジネスはなにがきっかけで始めたんですか?

インスタ王子:
最初は、2013年に「東京オリンピック」の開催が決まったので、「海外の人に日本の情報を発信したい」と思っただけなんですよ。

そこで、写真だけで世界中に情報を発信できる、という理由でインスタグラムを使いはじめました。

サトー:
そうだったんですね。ちなみに、どんな発信を?

インスタ王子:
僕は寿司と焼き鳥が好きだったので、焼き鳥屋さん、寿司屋さんで食べたメニューをアップしていただけです。


それがこのアカウント(過去の投稿は消してしまったものもあるそうです)

インスタ王子:
でもしばらく投稿を続けていたら、面白いことが起きたんですよ。

店舗さんから「無料でいいから店で食事をして、その写真を投稿してくれないか?」という問い合わせがあったんです。



インスタ王子:
インスタグラムがきっかけで、まさか無料で食事ができるとは思いませんでした。

そこで初めて、「インスタグラムって、ビジネスになるのかもしれない!」と感じたんです。

インスタグラムの可能性に気づき、シリコンバレーで徹底研究

インスタ王子:
ちょうど同じタイミングに、本業でアメリカのロサンゼルスに行く機会がありました。

これはチャンスだと思って、シリコンバレーの企業や有名なユーザーさんにインスタグラムをどのように活用しているのか、直接話をききにいったんです

サトー:
すごい行動力…

インスタ王子:
シリコンバレーも含めたアメリカの中小企業の約1800社の企業のうち、約半数がインスタグラムを使って自社のプロモーションを行っていることがわかり、どのように運用しているのか学びました。

当時の日本では、まだインスタグラムは自分の日常を投稿するか、画像を加工するツールとしか使われていなくて、情報を発信する面では今ほど活発じゃなかったんですよ。

それで、アメリカの最新事例を学んで、帰国後に一気に100アカウントを作って、自分でも試してみたんです。

サトー:
一気に100個も!? そんなたくさんのアカウントをどうやって運用したんですか?

インスタ王子:
本業がAIの開発だったので、AIにアカウントを分析させたり自動投稿させたりするシステムを開発したんですよ。

どんな投稿がウケるのか、どんなアカウントだったら人気が出るのかなど、たくさんのパターンを試しました

研究を重ねていくと、複数のアカウントで企業からのタイアップ投稿の依頼が来たり、コンサルティングを任されたりするようになったんですよ。

今回はそのなかで得た、インスタグラムで副業をするためのノウハウを共有します。


待ってました!

インスタグラムハック術1「アカウントの“テーマ”を詳細に決める」

インスタ王子:
まず一番大事なのが、そのアカウントで何を投稿するのか、「テーマ」をしっかり定めること。

テーマは専門性が高いほうがいいです。

サトー:
というと?

インスタ王子:
テレビ番組の『全力坂』(テレビ朝日)をイメージしてみてください。

美女が坂を走っているだけの5分番組なんですけど、もう10年以上も放送されています。つまり、ニッチだけど、需要がある。そういう専門性のあるテーマです。

サトーさんは、何か好きなものはありますか?

サトー:
外食が多いので、食べることは好きですね。あと、お酒を飲むのも大好きです。

インスタ王子:
なるほど…グルメ系だとまだまだテーマが広いですね。

グルメだったら「焼鳥店のぼんじりだけ」とか、お酒だったら「熱燗だけ」というようにもっと狭めてください。

たとえばこちら。

出典 https://www.instagram.com
こちらは現在インスタ王子さんが運用しているアカウントのひとつ。始めてから数カ月なのでまだフォロワーは少ないとのこと(十分多く感じる…)

インスタ王子:
このアカウントでは、「カルビーのポテトチップス」だけを投稿しています。

まだ作って半年程度ですが、すでに「このポテチを紹介してください!」ってフォロワーから依頼のメッセージが届いていますね。

サトー:
へええ、1メーカーの1商品だけ。そこまで絞ればいいのか…

インスタ王子:
そうですね。

ただ、継続して投稿しつづけることができるものも選んだほうがいいです。

テーマを絞りすぎた結果、月に1回しか更新できないようならば意味がありません。

このポテチのアカウントだったら、47都道府県限定の商品もあるし、日々新作が発売されるので、ネタが枯渇することもありませんよ。



インスタ王子:
グルメ以外だったら、「ビックリマンチョコのシールだけ」とか、「中野ブロードウェイに陳列されてる昔のおもちゃだけ」などもいいですね。

絞れば絞るほど、そのテーマに興味を持ったフォロワーがたくさん集まって、濃い人が集まるコミュニティになりますから。

すると、企業からのタイアップ案件が来やすくなるんですよ。

サトー:
なるほど。

好きなことや趣味をさらに掘り下げて、専門性の高いアカウントにしていくんですね。

インスタグラムハック術2「投稿写真のアングル・内容を統一する」

インスタ王子:
テーマが決まったら、次は戦略的に投稿してください。

サトー:
具体的にどんなことをするんですか?

インスタ王子:
投稿を「規格化」するんです。

投稿に法則性を持たせて、毎回、同じアングルで撮った写真を上げつづけることを徹底してください。

たとえば先ほどのポテチのアカウントだと…

@potechikakumeiさんのInstagramの投稿

インスタ王子:
必ず以下の2つのポイントを押さえています。

1.商品のパッケージ
2.商品の中身

この2つの写真だけをずっとアップしているんですよ。

サトー:
たしかに、たった2枚の画像をたくさん撮ってアップしているだけで「このアカウントではポテトチップスの情報が得られる」というイメージがつきますね。

でもこれ、写真はそこまできれいじゃないんですけどいいんですか?

インスタ王子:
そこは別に意識しなくてもいいです。

情報をしっかりと伝えられれば、写真のクオリティでフォロワー数が減ることはありません。


そうなんだ…インスタといえばきれいな写真を上げなきゃいけないと思ってた…

インスタ王子:
ほかにも、こちらの「コンビニスイーツ」のみに特化したアカウントを見てみましょう。

出典 https://www.instagram.com
こちらはインスタ王子さんがコンサルティングをしているアカウント。フォロワー5.7万人…!

インスタ王子:
このアカウントではコンビニスイーツの「パッケージ写真」「上からの写真」「斜めから見た写真」「スプーンで持ち上げた写真」の4枚をアップしています。

@sweets.sweets.123さんのInstagramの投稿
@sweets.sweets.123さんのInstagramの投稿

インスタ王子:
写真へのコメントには、「商品名」「価格」「カロリー」「公式情報」、そして「レビュー」を載せています。

こんな投稿することで、ユーザーがアカウントを見る意味がでるんですよ。

「このアカウントを見ると、コンビニスイーツの最新情報がわかる!」「このアカウントが絶賛している商品を食べてみたい!」というように。

サトー:
すごい…もはや1つの情報メディアになっていますね!



インスタ王子:
そして、ハッシュタグも1投稿につき最大30個付けられるので、使わない手はありません。

ハッシュタグで入れるべきなのは、多くの人に刺さるテーマ。

コンビニスイーツのアカウントだったら、「スイーツ」「コンビニ」「デザート」といった検索される可能性が高いものをいれてください。

インスタグラムハック術3「共通ハッシュタグの投稿にリアクションして露出させる」

サトー:
発信すべきテーマを掘り下げて、情報誌のように統一したスタイルで発信する。勉強になります。

ちなみに、フォロワーがどのくらいになったら、企業からタイアップの声がかかるんですか…?

インスタ王子:
はっきりとはわかっていませんが、アカウントによっては3000〜4000フォロワーでも依頼が来ることもあります。

ただ経験上、多くは1万フォロワーを超えたあたりだと思います。

サトー:
1万…それだけのフォロワーを集めるのはかなりハードルが高いですよね。

インスタ王子:
いえ、これも方法があります。

テーマを絞った投稿がちゃんとできていれば、あとは多くの人に認知してもらうだけです。

サトー:
それが簡単じゃないのでは…?

インスタ王子:
自分のアカウントと親和性が高いキーワードを検索して、そのキーワードを載せている投稿に、片っ端からリアクションをするだけです。

コンビニスイーツであれば、「スイーツ」というハッシュタグをつけている投稿にどんどんリアクションをしていく。

いいねだったら、2回タップするだけなのでめちゃくちゃ簡単でしょう?

サトー:
それだけですか!?

インスタ王子:
もちろんです。

自分の投稿にリアクションがあると、たいていプッシュ通知がくるじゃないですか。

だから自分のアカウントを多数の人間に対して、認知させるためのきっかけができるんですよ。

共通のハッシュタグをつけて投稿している人なら、多少なりとも興味があるはず。

テーマを絞り、法則性を持っている投稿ならば、タイムラインの邪魔になることはほとんどないので、フォローしてくれることも多いです。

サトー:
たしかに…自分のアカウントを認知させるために「いいね」を付ける感覚はなかったです。

でも、言われてみれば、「いいね」してくれた人に対して好感も抱けますもんね。


インタビュー中でも、ささっと「いいね」をつけるインスタ王子。たしかにこれは簡単ですね…

インスタ王子:
テーマにもよりますが、ほぼ毎日投稿して、いろんな人にリアクションを送っていれば、1年かからず1万フォロワー以上に伸ばす事も可能ですね。

インスタグラム副業のメリットは「匿名性」と「簡単さ」にある

サトー:
このインタビューで「インスタグラムのアカウントを育てる」という発想を初めて持ちました。

なんというか…ひとつの事業を立ち上げるみたいですね。

インスタ王子:
そうですね。人気の出そうなテーマを探り、複数のアカウントを育てていると、まるでスタートアップ企業をどんどん立ち上げている気分になりますよ(笑)。

でも、やっていることは写真を撮って投稿するだけ。もちろんプロフィールや最低限の投稿文は必要ですけど、そこまで手間をかけずにお金につながるのは楽だと思います。

それに、英語のハッシュタグをつけるだけで、海外のユーザー・企業に届くのもインスタグラムならではの魅力かもしれません。



インスタ王子:
それにインスタグラムは、とにかく副業に向いているなって思うんですよね。

みんなインスタグラマーって美人だったり、きれいな写真をアップしたりしていないとダメって考えているじゃないですか。

でも、「テーマ」を絞ってそれにファンがついていれば、別に顔を出す必要も、本名を出して運用する必要もないんです。

サトー:
たしかに…自分のコレクションや仕事終わりに毎日食べてしまうものを写真でアップするだけでいいならば、簡単かもしれません。

匿名なのでリスクもないし。

インスタ王子:
そうです。

ちなみに、今回紹介したポテトチップスのアカウントも、アイコンにはイラストを使って、名前も本名ではないですしね。



サトー:
この「ちゃんぽて」アイコンかわいいですね。

インスタ王子:
ありがとうございます。

このアイコンに人気が出れば、今度はゆるキャラみたいにキャラクタービジネスができるかもしれないともくろんでいます(笑)

サトー:
なんてしたたかな人なんだ!

取材終わりには、まんまと「地元・山形のお酒」というテーマのアカウントを作ってしまった今回の取材。

正直、インスタグラムでお金を稼げるのは、自己発信が得意な人だけだと思ってました…。

「個人も企業もインスタの活用法をあまり知りません。僕のこれまで培った経験やノウハウを共有する『インスタ王子セミナー』を開催するので、副業で私生活を豊かにしたい人や、インスタで困っている企業はぜび参加してみてください」とインスタ王子。

記事で紹介したノウハウ以外にもまだまだたくさんあるそうです!

〈取材・文=サトー・トモロー(@tomorrow_p_sato)/撮影・編集=福田啄也(@fkd1111)〉

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