写真=時事通信社

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◆やっぱり「消費税延期」を匂わせ始めた安倍政権

 予想は大当たり。なんて喜んでる場合ではない。

 前回、「『消費税延期』は野党の政策。安倍政権は選挙対策だけの姑息な甘言を弄するな」)で書いたが、事態はその通りに動いてる。安倍はいよいよ、自分の下手くそな経済運営の責任を取るどころか、野党の政策を盗むことでこの難局を切り抜けるつもりらしい。

 あの原稿の締め切りとほぼ同時のタイミングで、安倍晋三の側近・萩生田光一自民党幹事長代行は、ネット番組で「増税延期」に言及(前回の本欄の写真の背後に彼がうっすら写り込んでいるのは、そのためだ)。また、一部報道によれば、沖縄と大阪の衆院補選における自民党2連敗を受けて、政権内からは「増税延期はおろか、消費税5%への減税を参院選前に打ち出すべきだ」との意見も出ているという。

◆消費税延期、あるいは減税は野党がずっと言ってきた

 消費税について本欄で取り上げるのはこれで3週連続。そのたびに言及しているように、消費増税の延期どころか消費税減税、いや撤廃という声を上げ続けてきたのは、誰がなんと言おうと、自民党ではなく、野党各党である。山本太郎の新団体は「その最もわかりやすい例」かつ「最も説得力のある事例」ではあっても、決して「消費税減税・撤廃を主張する野党内唯一の事例」ではない。ましてや「安倍政権が予定する2019年10月での消費税増税に反対」という点では、一つの例外もなく、野党各党の足並みはそろっている。

 物は言いようで、野党の政策を剽窃(ひょうせつ)する安倍政権の行為を「正しい政策を採用するだけだ。正しければ良いではないか」と擁護することも可能だろう。政治の世界は、文芸や評論ではないのだから、他人の政策を良いと思えば自分も採用すれば良いだけではある。しかし、こと「今の安倍政権が、消費税減税を言い出す」に限って言えば、それは変節や剽窃という言葉では追いつかないほどの一種の犯罪性を帯びる。

◆予算まで無駄にするのはもはや「詐欺」

 増税は不可避であり確実に今年増税する。そのために、消費増税の激変緩和措置として商品券やポイント制度などを導入するための膨大な費用を盛り込んだ予算案を、「増税そのものを諦めろ」という野党各党の反対を押し切って強行に成立させたのは、ほかならぬ安倍政権ではないか。

 この動きを受けて、市民生活の現場では、増税前になんとかローンを組んでマンションや戸建て住宅を買おうとする動きをはじめ、いわゆる「駆け込み需要」が既に発生してしまっている。そうさせてしまった当事者である安倍政権が、いまさら増税を反故(ほご)にし、予算まで無駄にするというのであれば、もはやそれは、権力掌握のための権謀術数ではなく、単なる詐欺、それも最下等の寸借詐欺の類と言わざるを得ない。

 安倍に必要なのは、解散総選挙ではない。頭を丸め、菅直人と共に、四国八十八箇所巡りでもするのが筋というものだろう。

<取材・文/菅野完>
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。現在、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中。また、メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている