V.Iスキャンダルで業界が“クリーン”に? 変わりつつある韓国芸能事務所のポリシー

写真拡大 (全2枚)

“V.Iスキャンダル”は歌謡界と放送界全体を巻き込み、韓国芸能界を“廃墟”にした。

世間からは「世界的に盛り上がっていた韓流ブームにブレーキがかかるのではいか」という懸念の声が相次ぎ、芸能人らに対するファンの失望感も相当なものであった。

しかし、韓国芸能界の秩序を今一度見直す“順機能”をもたらしたのも事実だ。芸能人の人柄や立ち振る舞いに対する基準が高まったのである。

韓国芸能事務所の中でも、所属タレントの管理システムにおいて対立にあるとされているのがJYPエンターテインメントとYGエンターテインメントだ。今回の“V.Iスキャンダル”によって、他の芸能プロダクションが続々とJYPエンターテインメントの方針を見習い始めている。

その名の通り“V.Iスキャンダル”の中心人物となった元BIGBANGのV.Iは、先週までおよそ17回にわたって警察に召喚され、取り調べを受けた。現在は拘束令状が申請されている状況だ。

V.Iの容疑は、大きく分けて外国人投資家に対する性接待と、2億ウォン(約2000万円)相当の横領の2つだ。しかし、その他浮上する大小さまざまな議論の真偽も定かではなく、彼に対する疑惑の目は日々大きくなっている。

V.Iのほかにも、今回の事件によって多くの芸能人に疑惑が浮上した。

歌手チョン・ジュニョンは、性的暴力犯罪の処罰などに関する特例法違反(カメラ等利用撮影)の疑いで真っ先に拘束された。元FTISLANDチェ・ジョンフン、歌手ロイ・キムといった芸能人らもV.Iやチョン・ジュニョンと共にカカオトーク上でわいせつ物を流布したとされており、各種法的措置が予想される。

“実力派YG”と“人柄重視のJYP”。命運を分けたのは事務所のポリシー

ある芸能プロダクションの代表は、今回の一連の流れについてこう話している。

「“V.Iスキャンダル”が芸能人、アイドル練習生に投げかけるメッセージは決して軽くない。良識のある人柄と慎重な行動は、もはや芸能人や練習生が必ず備えなければならない必須事項となった。一定レベルの道徳的規準を満たさない限り、活動は容易ではない」

歌謡界部門に特化した芸能プロダクションの間では、練習生管理の方針モデルが大きく2社に区分される。“人物重視のJYP”と“実力重視のYG”だ。過去十数年間はYGエンターテインメントの方針が脚光を浴びてきたが、もはやそれも過去の話だ。最近は芸能プロダクションの間で、大きく流れが変わりつつある。

YGエンターテインメントとは対照的に、JYPエンターテインメントは所属タレントの“人間性”を何よりも重要視してきた。

ある関係者は、JYPエンターテインメントがもたらした影響について以下のように話している。

「JYPエンターテインメントはアーティストや練習生の人柄、行動に問題があると判断した場合は容赦なく契約を解約し、解雇する方針を続けてきた。以前までは、“あんなに良い人材たちを手放すなんて、パク・ジニョン代表は馬鹿なのか? ”という者も多く、“JYPを出て良かった芸能人たち”というリストが話題を集めたりもした。

しかし、最近は大半の芸能プロダクションが“結果的にJYPエンターテインメントの方針が正しかった”と感じている」

また、この関係者は「アイドルのほとんどは、事務所が作り上げる企画型アーティストだ」と続け、プロダクションが背負うことになる責任の重大さも伝えている。

ユン・ソビン

「所属アーティストに何か問題が生じた場合、事務所が負うべき責任もある程度ある。自分たちがアーティストを育てて成功させた“主体”であるからだ。問題のある練習生、芸能人に投資して彼らをブレイクさせても、結局その問題はブーメランとなって事務所やファンを失望させることになる。

“V.Iスキャンダル”は、まさにその象徴だ。

今回の事件以降、大半の芸能プロダクションが“人道教育”に力を入れる傾向を見せている。芸能人、特にアイドルに関しては、今や青少年の憧れの対象を超えて“模範”とならなければならない存在だ。まさにそれが現代の時代的ニーズだろう」

JYPエンターテインメントは実際に、自社の練習生ユン・ソビンに未成年飲酒、喫煙、校内暴力といった素行不良疑惑が浮上するや否や、容赦なく練習生契約を解除している。有名オーディション番組『プロデュースX 101』(Mnet)にも出演していた実力派であったが、事務所の方針に従って“人柄”を重要視し、今回のような決断に至ったのだ。

反省の色なし? 議論の中心に立ち続けるYGエンターテインメント

JYPエンターテインメントが人柄重視の経営方針を続ける一方で、実力重視のYGエンターテインメントは“V.Iスキャンダル”以降も雑音が絶えない。

最近はYGエンターテインメント所属のガールズグループ、BLACKPINKのジェニーが物議を醸した。

去る5月6日に放送されたラジオ『ペ・ソンジェのテン』(SBSパワーFM)では、芸人のチョン・ヨングクがジェニーに関するエピソードを明かした。

チョン・ヨングクは「経営するホルモン屋に来た客が、店舗の目の前に不法駐車をした。当該車両に対してバレーパーキングをお願いしたが、その客は“(駐車禁止の)ステッカーが貼られてもいい”と返し、そのまま車を停めて店内に入ってきた。そんな人は初めてだった」と切り出した。

さらに、「スタイリストとマネージャーらしき人物の4人が車から降りてきて、7人ぶんの席を用意してほしいといわれた」と続け、「よくよく話を聞いてみると芸能人の来店だったようだ。一体誰が来るのだろうと思ったが、食事の用意ができたタイミングでBLACKPINKのジェニーが降りてきた」とジェニーに遭遇した経緯を話した。

その後チョン・ヨングクは「彼女はあれでいい。実際に見ると、(テレビや写真で見るよりも)ずっと綺麗だった」と冗談交じりに付け加えて笑いを誘った。

このエピソードは後に「BLACKPINKジェニー、ホルモン屋でパワハラ」といったタイトルでオンラインコミュニティを中心に拡散された。

もちろん駐車違反に関してはマネージャーの責任であるが、一部のネットユーザーからは「マネージャーの行動を指摘せず黙認したジェニーにも責任がある」との声が上がっている。

チョン・ヨングクは、議論が大きくなるや「特定の人を誹謗する意図はなかった」とし、謝罪の意を伝えている。

YGエンターテインメントは、この事件に対して未だに公式的な立場を発表していない。