官邸ウェブサイトには「退位礼正殿(せいでん)の儀」の動画が埋め込まれている

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2019年4月30日に行われた「退位礼正殿(せいでん)の儀」で安倍晋三首相が述べた「国民代表の辞」をめぐり、ネット上で騒ぎが広がっている。ひとつが、安倍氏による「誤読」疑惑。これに加えて首相官邸のウェブサイトから「映像削除」されたという説がネットで流布され、批判が加速することになった。

ただ、官邸ウェブサイトを運営する内閣広報室は、動画の削除を否定。5月8日夕時点で動画は見られる状態だ。

「願ってやみません」「願ってやません」「願っていません」?

「退位礼正殿の儀」は報道各社が生中継したのに加えて、官邸もユーチューブのチャンネルで生配信した。その動画などを確認すると、安倍氏が

「天皇皇后両陛下には、末永くお健やかにあられますことを、願って...。あらせられますことを...」

などと述べている。問題となっているのがその続きだ。安倍氏の滑舌の問題もあってか、「願ってやみません」「願ってやません」「願っていません」など、その「聞こえ方」には様々な意見がある。記者があらためて確認しても、はっきりとは聞き取りにくい。

とりわけ注目されているのが「願っていません」だった場合だ。文脈からすれば、安倍氏が意図して「願っていません」と発言するとは考えにくく、「已(や)みません」を正しく読めず、「已(い)ません」と勘違いしたのか、という説も広がった。「已」の字は「已然(いぜん)形」などとして使われる。これに加えて、官邸ウェブサイトから動画が削除されたとの説も流れ、安倍氏への批判が加速した。

別コーナーにも「国民代表の辞」全文掲載したページが...

4月30日付で首相官邸ウェブサイトの「総理の一日」のコーナーに掲載された「退位礼正殿の儀」のページでは、問題とされた安倍氏の発言の部分を

「天皇皇后両陛下には、末永くお健(すこ)やかであらせられますことを願ってやみません」

と紹介。「やみません」部分は、ひらがな表記になっている。天皇皇后両陛下(当時)を前に「国民代表の辞」を述べる安倍氏の写真が掲載され、発言全文の下には、ライブ中継されたユーチューブの動画が埋め込まれている。J-CASTニュースが8日に確認したところ、内閣広報室の担当者は、動画を削除した事実はないとしており、どういった経緯で「動画削除」説が広まったのかは、はっきりしない。

ただ、官邸ウェブサイトの「総理の演説・記者会見など」のコーナーには、「退位礼正殿の儀 国民代表の辞」と題して、安倍氏の発言だけを抜き出して紹介したページもある。このページには画像や動画へのリンクはついていない。両者を混同して動画が削除されたと誤認した可能性もありそうだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)