5月4日、シャルルロワがシント・トロイデンとの首位攻防戦を2−0で制し、プレーオフ2(※)グループAのトップに立った。

※プレーオフ2=レギュラーシーズン7位から15位までの9チームに、2部リーグの2位以下3チームを加えた12チームで行なわれる。

 グループA首位のチームはグループB首位のチームとプレーオフ2優勝決定戦を戦い、その勝者はプレーオフ1の4位チーム(※)とヨーロッパリーグ出場権の切符をかけて争う。

※プレーオフ1はレギュラーシーズン上位6チームで行なわれ、その結果で最終順位が決定する。ただ、ヨーロッパリーグのグループリーグにストレートインできるベルギーカップ優勝チームのメヘレンが昨季の八百長騒動に絡んだことで処分を受ければ、フォーマットが変更する可能性もある。


シント・トロイデン戦でもキレのあるプレーを見せた森岡亮太

 試合は早くも、開始4分に動いた。

 シント・トロイデンのDFサミー・ムマエからMF遠藤航へのビルドアップのパスを、シャルルロワのMF森岡亮太がインターセプトに成功。これがショートカウンターの起点となり、最後はMFゲタン・ヘンドリックスがゴール正面からシュートを決めて1−0とした。

「今日はボランチへのラインをケアする役割だったので、(インターセプトを)狙っていました」(森岡)

 さらに森岡は86分、チームの2点目もアシストした。シント・トロイデンのGKが防いだFWビクトル・オシムヘンのヘディングシュートのこぼれ球が森岡の目の前に落ち、そのままゴール中央に折り返し。これを左SBヌリオ・フォルトゥナが詰めて勝利を確実なものにした。

「本当にいい感じでボールがこぼれてきましたし、相手のDFが滑ってくるのも見えました。ビクトルがいると思って出したボールで、ヌリオは見えてなかったんですが、結果的に点につながってよかったです」(森岡)

 この日、森岡が放ったシュートは4本あった。

 45分にはペナルティエリア内の狭いスペースでワンツーを交え、ドリブルで打開してシュートを放つ。53分には、右45度から左足で絶妙のループシュート。そして、直後のコーナーキックからのこぼれ球にもボレーで反応したが、いずれも相手GKにセーブされた。

 これだけいい感触のシュートを撃ち続けると、森岡がシュートモーションに入っただけで相手は慌て出す。59分、森岡がペナルティエリアのすぐ外でボールを持って、目線を相手ゴールに向けると、大急ぎでシント・トロイデンのCBホルヘ・テシェイラが詰めてシュートをブロックした。
 
「相手キーパー(ルーカス・ピラード)がよかったですね。ボレーシュートはちょっとコースが甘かったですけど、左45度から打ったシュートは本当に入ったと思いました。でも、ああいうプレーが出てくるようなコンディションになってきたので、それは本当によかったです」

 アンデルレヒトの一員として迎えたプレシーズンでは、森岡のコンディションがハイン・ファンハーゼブルック監督(当時)に問題視されて戦力外の扱いを受ける試練もあった。シント・トロイデン戦後、「これはもう、何回も話をしたと思うんですけれど」と前置きして語り出した森岡の話は、私にとって初耳だった。

「ファンハーゼブルック監督は、オフにマラソン選手みたいなトレーニングを選手に課していました。だけど、僕は(徐々に)身体を作っていくタイプなので、やり方が違うことを監督にあらかじめ伝え、個別メニューで身体を作っていく許可も得ていたんです。しかし、(夏合宿の最初に)一気にマラソンをさせられたので、身体が耐えられなかった」

 以降、森岡はコンディション不良とケガも重なり、アンデルレヒトで理不尽な扱いに悩まされることになった。しかし、冬の移籍市場でシャルルロワにレンタルされたことで、森岡の状況は好転。2週間前のベールスホット戦では、鮮やかなボレーシュートも決めている。

「シャルルロワに来てよかった。過去に持っていたいいイメージが、ここに来る前(=アンデルレヒト)はなかった。シャルルロワのトレーニングも自分にフィットしていて、コンディションはむしろ(以前より)よくなった」

 アンデルレヒトとの契約は残っているが、レンタルされてから出場機会が増えたことにより、シャルルロワに買い取り義務が発生している。つまり、来季の森岡の保有権を持つのはシャルルロワだ。他のクラブからのオファーをシャルルロワが受けないかぎり、来季も森岡はシャルルロワでプレーすることになる。

「何か(具体的なオファーの)話があるわけでもないので」と、シャルルロワに残る公算が高いことを森岡は認めつつも、「僕はステップアップしようとヨーロッパに来たので、そこは変わらずやっていきたい」と未来への野心を秘めている。

 コンディションが上がってきた森岡に、ワースラント=ベフェレン時代の精気が蘇ってきた。

「感覚的には、あの頃に近いです。(シャルルロワは)周りのレベルも高いので、個人的には(ベフェレンのプレーより)もっといい。コンディションがいいので、やっぱり楽しいですね」

 森岡亮太、完全復活、近し――。シント・トロイデン戦のパフォーマンスと、試合後の自信に満ちた表情から、そう感じた。