うつ病と戦いながら保育の仕事にまい進した

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小阪由佳」あらため、「小阪有花」。かつてグラビア界を席巻した彼女は、2009年に芸能界を突然引退。現在は、保育の仕事に奮闘している。保育業界への転身を考えていた頃、芸能界引退後の激太りや奇行を報じた記事がインターネットに残り続けていることから、いくつもの保育園から不採用となっていた小阪。諦めず就職活動を続け、ようやく保育補助のアルバイトに採用されたという。本人が語る。

【写真】子供に笑顔で話しかける元グラビアアイドル

「そこで3〜4年働かせてもらいました。極限状態までうつ病が悪化した後でしたが、働き始めて改善に向かいました。自分の好きなことをやっていると良くなっていくものなんですね。対人恐怖症はまだ治ってなかったので、他の保育士さんと話すのは最初は難しかったんですが、子供とは話せたんです。嘘がないってわかるから」(小阪、以下同)

 だが、仕事を続ける中で、他の先輩保育士らの子供との接し方に疑問を感じたり、保育の仕事そのものの問題点も徐々に見えてきた。自分の意見を言いたいが、小阪は保育補助という立場であり、園の運営にまで関わることができない。そこで考え付いたのが“自分で保育園を作ること”だったという。

「本来、不満や希望があれば、他の園に移ればいいだけの話なんですが、私の場合は、ここを辞めたらまた誰も雇ってくれない日々に戻ってしまうかもしれない。それならもう自分が働ける場所を作るしかないと思ったんです。

 自分がやりたいことをやりたいんだったら、雇われるという考え方を変えなきゃダメだと。どうしようと考えていた時、ちょうど激太りからのダイエットに成功していたため、書籍出版や美容の仕事のオファーをいただいたんです。保育補助の仕事から一旦離れて、美容関連で活動しながら稼いで、保育園を立ち上げるための準備を始めました」

 彼女は2015年、千葉県に『ウィズママ保育園』を設立。園長や保育士ではなく、コンサルタントとして保育園の運営に関わることになる。ところが、プレオープンのタイミングで、また不幸が彼女を襲う。一部週刊誌に、小阪とある芸能人が不倫しているという記事が掲載されたのだ。保育補助の仕事に就くため就職活動していた時期、インターネット上に残る過去のゴシップが影響し、何度も採用を見送られた過去が蘇る。

「不倫なんてしてなかったんですけど、現役時代に仲良くさせていただいていた芸能人の方と不倫している、とデタラメのことを書かれてしまった。その記事を元に、他のメディアも同じような記事を配信する。『不倫した元アイドルの保育園に子供を預けられるのか』なんて書かれていました。この記事が出た時に『ただ真っ当に生きたいだけなのに……なぜそれさえも許されないのだろう』と思いました。ようやく保育園を作ったのに、こんな記事が出てしまった。それもプレオープンのタイミングで。大打撃でした」

 暗雲立ち込めるスタートとなった『ウィズママ保育園』。だが、彼女は「子供たちが自己肯定力を身につけ、自分も他人も大切にできるように育てたい」という理念のもと、地域にも理解を得られるよう活動。その思いが功を奏したのか、次第に口コミで評判が上がり、1年後には満員となっていた。

『ウィズママ保育園』とのコンサルタント契約は1年間だったが、その後も別の保育園で働きながら、クラス担任も受け持つなどして活動。そうした忙しい日々を送っていたところ、昨年初旬に体を壊してしまったという。

「保育の現場にも入って幼児心理学の勉強や休日には他の仕事もして、激務が続いていたら、ついに体調を崩しました。腰と肩を痛めていたうえ、尿道がおかしくなっていたようで、恥ずかしい話、尿漏れが続くようになったんです。病院に行っても薬を飲んでも全然治らなくて。くしゃみをしてちょっと漏れるといったレベルではなく、大変だったんです。そして最終的には体が動かなくなってしまい、働けなくなってしまいました」

 療養中は“体が動かない”“乗り物に乗ろうとすると激しい頭痛がする”などの症状に悩まされた。あと少し頑張れば保育の仕事を始めてから10年になるのに……とまた落ち込んだが、休みを取った瞬間、尿漏れはなくなった。自分でも気づかないうちに過剰なストレスを抱え疲労が溜まっていたのだということを知り、園を辞めざるをえなくなり、休暇を取った。

 昨年末から、保育コンサルタントとして再始動。現在進行中のプロジェクトでは、新たな保育園で「保護者の相談役」や「保育士の働きをサポートする立場」として関わることが決まっていると語る。

「子供のことを本気で考えたら、保育園で子供と向き合うことは当たり前のことなんです。それに加えて、子供に一番影響を与えるのは家族と保育士。だから、家族のことをきちんとサポートできなければ本当の意味で子供のためではないですし、保育士さんが保育園で働きたいと思える環境で働いてもらうことにどれだけの価値があるか、現場に入り体を壊したおかげで気づけました。

 もともと保護者の方々ともコミュニケーションは取っていたんですが、これまでよりももっと関わっていくべきだと思っています。子供のことを考えるのであれば、家族のことも、保育士さんのことも、保育士さんの働く環境のことも気を配る必要がある。子供の周りのすべてのものと向き合って初めて本当に『子供のため』といえるのだと気づいたんです。今後は働く女性のサポートをする活動を始めようと準備しています。それが結果として子供のためになると思います」

 芸能界を離れて10年経ち、グラドル時代の可愛らしさに大人の魅力が加わった小阪。雑談では笑顔も見せ、かつてのチャームポイントである三日月目になるが、保育の仕事について話すときは打って変わって真剣な表情になる。保育コンサルタントとしてのキャリアを積んできた小阪は今後、メンタルマネジメントの視点からも保育士のサポートをしていくという。

「保育現場は体力的にも精神的にも疲れます。現在の保育士さんの給与は、一般企業と同じくらいになりましたし、家賃補助が出るところもあります。だけど給与が上がれば続けられるかというと、それは違う。

 働いている保育士さんにとって自分が良いと思えない保育だったら迷いが生じますし、結果を出しても一般企業と違って待遇はさほど変わらない。そもそも教育には正解がないため評価基準が曖昧です。その現状の中で、保育士さんが先生である前に一人の人間として働きたいと思え、また仕事内容も、働きがいのある保育園にすれば続けられるのではと考えています」

 彼女の仕事はコンサル業務だけにとどまらない。少しでも子供との関わりを持ちたいと、5月からは映像制作会社に所属し、子供向けコンテンツの企画立案を行なっていく予定だ。

「様々な形で『子供と本気で向き合う』ところを、見せていきたいなと思います。ゆくゆくはもう一度保育園を立ち上げたい。子供と関わる時間を確保したいと思います。

 でも、いまは幼児に関する事業の企画やマネジメントの仕事もいただいていますし、講演会などもさせてもらっていて、ありがたいことに人も集まっていただけています(笑)。他園からのサポート依頼などもいただけて、それが本当に嬉しいと感じています。10年間頑張ったご褒美かな?と思えるほど、今は仕事が楽しいので、当面は、ご依頼いただいたお仕事に対し誠心誠意向き合うのみですね」

 その目は、グラビアアイドル時代以上に輝いている。

【プロフィール】こさか・ゆか/1985年、神奈川県生まれ。旧芸名は小阪由佳。「ミスマガジン2004」グランプリで芸能界デビュー。2009年に芸能界を引退後、保育関連の仕事に携わる。公式ツイッターは@kosaka_revival。インスタグラムは@kosakayuka0627。

◆取材・構成/高橋ユキ(ジャーナリスト)