横浜流星『チア男子!!』/photo:You Ishii

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横浜流星の存在を広く世に知らしめた、まばゆいばかりのピンクの髪色は、この日、透き通るようなアッシュカラーに変わっていた。聞けば、取材日の前日に色を変えてきたばかりだという。

スッと伸びた鼻筋、引き締まった口元、物怖じしない瞳によく似合った。伝えると、横浜さんは屈託のない笑みを広げ、「うれしいです! 自分でもお気に入りなんですよ!」とサラサラの髪の毛に手をやり、こう付け加えた。「髪色を変えただけでも、ガラッと雰囲気が変わると言われます。毎回“印象が違う”と言われる俳優になりたいんです」と。

戦隊は「芝居で生きていこうと思えた」大きな作品
強い意志を持つ横浜さんが、中尾暢樹とW主演を務める最新作『チア男子!!』は、『桐島、部活やめるってよ』や『何者』の朝井リョウの同名原作を映画化した作品で、朝井氏の母校である早稲田大学に実在する男子チアリーディングチームより着想を得た物語。

道場の長男に生まれたハル(横浜さん)は、怪我をきっかけに柔道から距離を置いていた。そんなハルに、親友のカズ(中尾暢樹)は「男子チアリーディングをやらないか」と声をかけ、BREAKERSを発足することになる。

唯一無二の親友役の中尾さんとは、戦隊シリーズ出身という共通点がある。同じ年だが横浜さんのほうが先輩という立場上、最初の頃は「『流星くん〜!』と先輩っぽい感じで話しかけてきたんですけど、1週間たたないくらいで『流星!』と呼ばれていました(笑)」と、中尾さんとの仲をふり返る。

「向こうから距離をめちゃくちゃ詰めてきてくれたおかげで、早い段階で仲良くなれました! 2人の関係性的に、すごくよかったです」と、朗らかに続けた。

すぐに打ち解けた2人を中心にした、男子チアリーディング部の「BREAKERS」を演じる全7名の結束力こそ、映画の鍵になってくる。チアの演技は信頼の上に成り立つと劇中で語られるが、実際に役者陣は3か月間の猛特訓を積み、驚くべきパフォーマンスを披露した。努力のあとを見せない横浜さんは、きついこともあったろう練習時間を「楽しかった」と言い切った。

「練習はもちろん大変でしたけど、団体競技を疑似体験できた気がしています。7人でワチャワチャしているところは本当に楽しかったので、素の“横浜流星”をあまり出さないようにしていたほどです(笑)」と、健やかな表情。

キャリアも年齢もバラバラの6名との共演は、横浜さんにとって大きな刺激となった。「一番びっくりしたのは、(岩谷)翔吾でした。演技経験がないからこそ、色がついていなくて、とてもリアルなんです。自然に役として生きていたから、素敵だなと思いました」。そんな岩谷さんと自分を重ね合わせ、演技を始めたばかりの戦隊時代についても思いおこす。

「戦隊は自分の中で本当に大きな作品なので、ずっと心のどこかにあるんです。だから、まだ“懐かしいな”とも思わない。僕にとっては、失敗を恐れずにいろいろ経験していこうと思えた作品でした。戦隊のおかげで、初めてお芝居の楽しさに気づけたし、芝居で生きていこうと思えたから」と、やわらかくも、ブレのない言葉でいまの自分をも奮い立たせていた。

観てくれる人がいるから頑張れる
ところで、チアリーディングとは、競技を応援するためのアクション。普段から、自分も応援されていることを実感していると、横浜さんは熱を込める。

「仕事で悩んだり、落ち込んだりしたときに、手紙やInstagramのコメントを読んだりすると、すごく励みになります。『流星くんが頑張っているから、自分も頑張ろうと思う』とか、『観たおかげで活力になりました』とか言われると、本当にうれしいんです。自分のためでもあるけど、観てもらえる方のためにも頑張ろうと思える。応援してくれる人がいなかったら、ここまで頑張れていないと思うから、すごく大きな力になっているんです」。

横浜さんが温かいコメントに胸を熱くするというオフィシャルInstagramは、現在79万人という膨大なフォロワー数を誇る。フォロワーがうなぎのぼりに増えたのは、1月クールに放送されたドラマ「初めて恋をした日に読む話」にて、落ちこぼれながら東大合格を目指すピンク頭の“ゆりゆり”を好演したことがきっかけ。放送中に約50万人増えたことについては、おっかなびっくりの気持ちもあったと明かした横浜さん。しかしながら、大ブレイクについて、本人に有頂天、逡巡の気持ちは見えない。

「観てくれる人が前より確実に多くなったからこそ、より気を引き締めて、仕事に向き合っていこうと思えています。『はじこい』で知ってくれてから、過去作品を観てくださっている方も多いと聞きます。さかのぼって、いろいろな作品を観ていただいて、『この流星くん、全然違う!』と驚いてくれることは、すごくうれしいんですよ。『この作品で、この役が横浜流星だったの!?』みたいな俳優でいられたらと思うんです。これから、もっと挑戦していきたいです」。

真正面からぶつかっていけるのは“変幻自在”という武器があるから
俳優として、さらなる活躍が望まれる横浜さんに、22歳、現時点での自分の武器を尋ねてみると、「武器…? 武器…!?」と目をパチパチさせる。少し考えこんだ後、決意をみなぎらせた眼差しで答えた。

「顔立ちが特徴的ではないからこそ、髪色や髪型を少し変えただけでも『毎回、顔が違うね』と言われるんです。少しずつイメージを変えられるところは、武器なのかなと思います。ほかには…技術がないからこそ、真正面からぶつかっていけるところも武器かもしれないです。例えば、お芝居が上手い人たちは、毎回同じタイミングで涙を流せたりする。“どうやっているの? 感情、どうなっているの!?”と驚くこともあるけど、俺はそういうタイプではない。毎回違うようになるからこそ、ぶつかっていけるところもあるかな、と感じています」。軽やかにイメージを変えられる、どんな色にだって染まる、変幻自在の横浜流星が持つ武器は、無限大だ。