人気絶頂にあった1983年6月、裸で布団から顔を出しタバコをくわえたプライベートショット、いわゆる“ニャンニャン写真”が写真週刊誌『FOCUS』に流出した高部知子。15歳の人気アイドルの生々しい“事後の一服”を思わせる衝撃度に加え、未成年喫煙疑惑も浮上し、高部はテレビ、ラジオ、CM、映画などの出演予定を全て白紙にされ、通っていた堀越高校も無期停学へと追い込まれた。

 傷心の高部をさらに追いつめたのは、写真を流出させたお相手男性が、騒動勃発から3カ月後にガス自殺を図って亡くなってしまったことだ。これによって、高部は人生の歯車を大きく狂わせた。

 2013年放送のバラエティーに出演した高部は騒動の真相を告白しているが、その内容はあまりにも意外なものだった。

 くだんの男性は、恋人でもなんでもなく、2〜3回会っただけの、友達の一人に過ぎなかったというのだ。しかもタバコは、ドラマは終了していたものの、映画版の撮影を控えていた『積木くずし』の役作りのために持っていたものをふざけてくわえただけで、当時から現在まで喫煙の習慣など一切ないとのことだった。

 騒動の翌年、高部は告白本『ハンパしちゃってごめん』を出版してベストセラーになっている。その中には性行為と喫煙を認めるような記述があったわけだが、この本は加熱する騒動の中、様々に報じられる記事や高部の証言を都合よくまとめたもので、高部はほとんど関与しておらず、その存在すらも知らなかったという。とにかく当時の高部は、亡くなった男性のご家族の気持ちに配慮して、騒動を蒸し返すようなことのないよう、ただそれだけに気をつけて過ごしていたというのだ。

 こうして騒動の真相を語った高部が、それでも亡くなった男性の自殺の真相には、ほとんど触れていないことに感動すら覚える。

 その真相を高部に代わって打ち明けてくれたのは、ある古参のワイドショー関係者だ。

 「当時、各ワイドショーやマスコミが、元恋人とされる男性を追っていましたが、なかなか捉えることができなかったんです。そんな中、有名リポーターが偶然、自身の通っている病院で彼に遭遇し、その母親に相談を持ちかけられたんですよ。彼は、高部への純粋な愛がこうした形となり、高部をタレント生命の危機に追い込んでしまったことを大変悔やんで、せめてその気持ちを伝えたいという強い思いを持っていたそうです。そこで有名リポーターは、彼に思いを吐き出させようと、ワイドショーのカメラの前で数分にわたって、涙ながらに思いを語ったといいます。しかし、これが萩本のドル箱番組を抱える局の判断でお蔵入りとなり、彼は結局、高部に思いを伝えられなかった。彼は自責の念に絶えられず、車に排気ガスを引き込んで自殺を図ってしまったんですよ」

 高部は現在、国家資格の精神保健福祉士を活かし、全国各地の精神医療や福祉関連施設で、認知症や各種依存症患者へのカウンセリングやケアに取り組んでいる。