【お先見】米全土を敵に回した女性版ハンニバルが主役!『デクスター』ジェニファー・カーペンター主演『The Enemy Within』

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人気ドラマ『デクスター 〜警察官は殺人鬼』のデボラ・モーガン役や、ブラッドリー・クーパー主演映画のTV版『リミットレス』でレベッカ・ハリス役を演じたジェニファー・カーペンター。彼女が主演する新作犯罪ドラマ『The Enemy Within』が米NBCで放送中だ。

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本作は、『GOTHAM/ゴッサム』『メンタリスト』の脚本家ケン・ウッドラフが、クリエイターを務める犯罪サスペンスドラマ。ご存知のとおりこの手のドラマは、アメリカには多分に存在している。そんな競争の厳しいジャンルで、他にはない斬新な設定と展開で視聴者を虜にしている本作を紹介していこう。

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"I'm one woman in a pair of handcuffs. What are you scared of?" #TheEnemyWithin

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優秀な元CIA長官のエリカ・シェパード(ジェニファー)は、仲間の有力情報を国際テロ組織にばらしたため、アメリカを敵にした悪名高き反逆者。エリカは逮捕されて以来、最愛の娘はもちろん、誰とも接触を持てず、全米一セキュリティの厳しい刑務所で過ごしていた。だがある日、FBI捜査官のウィル・キートン(モリス・チェスナット)に呼ばれ、エリカが以前共謀していたテロ組織の活動を阻止する任務に協力するよう依頼される。上司の命令とはいえ、エリカのせいで婚約者を亡くしたウィルは協力を仰ぐことに反発しつつも、彼女の類い稀な能力と知識には一目置いている。捜査が進むに連れ、エリカがアメリカを裏切った本当の理由が明らかになり、また国家を守る味方の中に実は敵がいることが判明していく。それは一体誰なのか...。

敵は身内の中にいる!CIA/FBIでのスパイ刈り勃発!

犯罪ドラマのお約束とも言えるアクションシーンはもちろん見ごたえ抜群だ。大掛かりなビルの爆破など映画並みのド派手な演出は毎回期待以上の迫力。だがその"動"の交戦とは反対に、"静"のそれがあるところが本作の魅力の一つだ。タイトルの『The Enemy Within』とは、「内なる敵」を意味する。つまり、CIA/FBIなど国を守ろうとする組織の中に潜んでいる裏切り者を指している。実際、主役のエリカもそうだったが、このドラマの面白いところは彼女だけでなく、他にも裏では反逆活動をしている人物が内部にいるという点だ。一人ではなく、複数いるかもしれない敵。そしてエリカもまた、ウィルに協力し心を許す存在になったかと思いきや、即裏切り行為をしてしまうこともある。エリカも本当に信じられる人物なのか、味方の中にいる敵が誰なのか、登場人物の言動にどこか不振な点がないか。この作品は、そんな"スパイ狩り"の心理戦を巧みに描いたドラマなのだ。

アワード受賞者の鮮やかなカメラワーク!どアップ映像には注目!

心理戦ドラマと言うと、『メンタリスト』『ハンニバル』『LAW&ORDER:クリミナル・インテント』などが有名だ。だがこれらはすべて、捜査官とすでにその存在が分かっている犯人との心理戦であり、基本的に毎回犯人は見つかる。本作が決定的に異なるのは、いるかどうかも、誰だかも分からない内なる敵を長期的に追っていくという点だ。

『高い城の男』で、2016年に『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ダウントン・アビー』『ホームランド』など強豪を抑えてエミー賞撮影賞を受賞したジェームズ・ホーキンソンによる完璧なカメラワークが、登場人物全ての微妙な心理を捕らえている。 ホーキンソンはTVシリーズ『ハンニバル』も撮影しており、キャラクターの心理戦を見せるのは得意な人物だ。演技する側は大変だろうなと思うくらいの細かい眼球の動き、指の仕草、一瞬ピクっと引きつる皮膚などをクローズアップで映し、キャラクター全員の素行を伝えている。

ギャップ萌え必至!強烈女性版ハンニバルは愛に溢れる母だった!

名門ジュリアード大学で演技を専攻したジェニファーは演技派俳優として知られる。彼女が演じるエリカには、(今のところ)アクションシーンはほぼない。なぜならいつも手足は錠で繋がれているからだ。行動を制限されている中で、五感をフル活用させ目にしたもの、耳にしたことを情報源とし、テロを仕留めるために活躍する。ほぼ、セリフと表情だけで、エリカの全てを表現する難しい役どころを見事に演じ、批評家や視聴者からも大絶賛されている。エリカは裏切っても、ジェニファーの演技は私たちを裏切らない、そんな名演技だ。エリカの存在は、女性版ハンニバル・レクターと言っても過言ではないだろう。だが彼女はただの天才的な人材ではない。自身の罪により引き裂かれてしまった娘を愛する母親でもある。捜査中は鋭い眼光で周りを凝視するのに、娘のことになると一気に仮面を脱いだかのように柔らかな愛に溢れた母の顔になる。まさにギャップ萌え必至の主人公だ。

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また、エリカを憎みながらも協力せざるをえないウィル役のモリス・チェスナット(『ローズウッド 〜マイアミ私立検視ラボ』『ナース・ジャッキー』)の私情と任務に対する葛藤も心に突き刺さる。尋問専門の捜査官役ラザ・ジャフリー(『コード・ブラック 生と死の間で』)やレオナルド・ディカプリオ主演映画『アビエイター』などで知られるケリ・ガーナーなど脇を固めるキャストも粒ぞろいだ。

「FBIによると現在アメリカ国内には、かつてない10万人という数のスパイが存在していると言われている」こんなテロップを流し、視聴者に今の世の中を突きつけながらリアリティーに満ちたストーリーが展開する『The Enemy Within』。果たして裏切り者は一体誰なのか。始まったばかりの彼らの戦いをしっかり見届けて行きたい。

(文/Erina Austen)

Photo:

『The Enemy Within』公式Instagramアカウントより