安倍政権は社会保障費の削減を狙って、盛んに「高齢者VS現役世代」という世代間対立をあおっています。“高齢者のために現役世代が重い負担をしている”“社会保障は高齢者に偏っている”というのが決まり文句ですが、実態はどうか。

国の責任転嫁

 「2022年度に保険料率10%以上の健保組合が4割を超える」「解散リスクが一層高まる」―。大企業の従業員らが加入する健保組合の全国組織が22日、75歳以上の後期高齢者医療に対する「支援金」増などの影響について発表した集計結果の一節です。

 後期高齢者医療制度の財源の約4割は、現役世代が医療保険料から負担する支援金で賄われています。国はこの間、高齢者医療への国庫負担を抑制する一方、現役世代に支援金の負担増を押し付けてきました。“重い負担”の裏には、国が責任を後退させ、現役世代の保険料負担に転嫁する手口があるのです。

 健保組合などには、特定健診(メタボ健診)の“成績”に応じて支援金を増減させる仕組みも設けています。18年度から、成績が低いとペナルティーで負担額を引き上げる上限などを拡大しています。

 4月10日の経済財政諮問会議では、根本匠厚生労働相が「個人の行動変容を促す仕掛けが重要だ」と強調。罰金を課して「健康づくり」=行動変容を強要するため、高齢者を支える支援金制度を悪用しているのです。

深刻な生活苦

 国は自ら現役世代の負担増を進めながら、“現役世代は過重負担だ”と言って75歳以上の患者窓口負担の引き上げを狙っています。

 しかし、厚労省の調べで、75歳以上の1人あたり平均所得は年85万7千円(17年度)にすぎず、医療保険料が支払えずにいる低所得者は22万2千人(18年6月現在)もいます。2万3千人(同)が正規保険証を取り上げられ、有効期間が短い短期証にされています。

 高齢者狙い撃ちで年金削減などが繰り返されているためです。そのうえ患者窓口負担を引き上げれば、さらに医療にかかりづらくなり重症化を招きます。

 老いも若きも全世代に改悪を押し付けているのが安倍政権の実態です。消費税10%増税も、「社会保障を高齢者向け中心から転換する」と世代間対立をあおって強行しようとしています。しかし、日本の社会保障給付の水準が先進国の中で「相対的に低い」ことは、『17年版厚生労働白書』も認めています。ウソで塗り固めた対立と分断を乗り越えて増税も改悪も止め、社会保障の拡充をと全世代が声を上げる時です。(松田大地)