今年2月に行われたジャパンキャンピングカーショーの様子

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ゴールデンウィーク10連休。しかし、大型連休など繁忙期はホテルや旅館の宿泊予約そのものが取りづらく、またチェックインやチェックアウトの時間的制約、そしてペット同伴不可といったことがある。これらの悩みから解放され、自由に行動できる「車中泊」がここ数年、人気を集めている。メーカーが車中泊キットを販売したり、車中泊用のアプリ・サービスも登場。ひと昔前まで「車中泊」=アウトドアのイメージが強かったが、現在はその敷居は低く、家族や夫婦の時間を有効に使いたいから、という理由で選ぶ人が多いという。そんな現在の車中泊事情を調べてみた。

【写真】ペットも一緒に…進化する車中泊カー

■ キャンピングカー・車中泊の規模拡大、車中泊サポートサービスも登場

去る2月1日から2月3日の3日間、幕張メッセにて日本最大級のキャンピングカーショーの祭典「ジャパンキャンピングカーショー2019」が開催された。

3日間合計の来場者数は6万7848名と、需要の高さを感じさせる。主催である一般社団法人日本RV協会の調べによると、国内キャンピングカーの保有台数な年々増加しており、2017年時点によると約106,200台。市場規模は400億円を突破し右肩上がりなのだという。

会場にはミニバンを中心に様々な車種が展示されていた。家庭用エアコンを備えたキャンピングカーの姿をあちらこちらで見かけた。クルマそのものも断熱材で内装を固めるなどの工夫がなされ、これなら熱帯夜でも寒い冬でも快適に睡眠ができる。800万円を超えるキャンピングカーの車内はほとんどホテルといった雰囲気で、まさに究極の車中泊体験が楽しめる。

高額モデルが並ぶいっぽうで目立ったのは軽自動車を架装した「軽キャンパー」だ。

販売会社の方に話を聞くと「大きな車両は維持費もかかりますし、普段の足として使いづらいですから、軽キャンパーの人気は年々高まっています。また、ペットを飼われている方が『ホテルだと一緒に宿泊ができない』という理由で車両を購入されることが多くなってきました」とのこと。そのため、この会社ではペット用の足洗い場を備えたモデルもラインアップ。ペット同伴の車中泊を実現させた。

この車中泊人気に自動車メーカーも注目しているようで、日産や三菱の関連会社が車中泊仕様の車両を展示している姿を目にした。また、全国各地に点在する駐車場や空き地を“車中泊・テント泊スポット”として旅行者に貸し出すシェアリングサービス「Carstay」のサービスが、同イベントと同時期の2019年1月末から開始されるなど、車中泊の関心は高まっている。

■ 軽自動車でも大人2人が寝られる時代に

三菱自動車の軽ワゴン「eKシリーズ」では、ヘッドレストを取り外して運転席を倒せば、ほぼフラットになり大人二人が寝られる状態になる。軽自動車というと狭い、というイメージを持たれるだろうが、実際に横になると「あとは布団を持っていけば余裕で寝られる!」と実感できるハズだ。

担当者に話を聞くと「eKシリーズでは今回、65ミリほどホイールベースを広げることにより室内空間を確保し、結果としてシートをフルフラット化することができました。eKクロスの場合、アウトドア嗜好を強くしているため、例えばシートを倒して高原で寝っ転がって寛いでいただくなど、車中泊に限らず幅広い用途にお使いいただければと思います」とのこと。当然幅広いとことは、車中泊にも対応しているわけだ。

■ メーカー純正の車中泊アイテムも出現、既存車種でも快適な車中泊を

既存車種をより車中泊に適した仕様へと変化させるグッズも充実しつつある。

ホンダの純正用品メーカーであるホンダアクセスからはFREED+用として、荷室を3段に分けることでデッドスペースにも荷物を詰めるルーフラックや、机として使うこともできるラゲッジマルチボードといったアイテムが発売されている。

純正パーツなのでフィッティングや快適性は汎用品を大きく上回ることは言うまでもない。開発者によると「FREED+を購入されたお客様の中に、車中泊をされる方がいらっしゃると考えました。そこで実際に道の駅などで車中泊をされている方に話を伺うだけでなく、自分たちでも試作品を作って車中泊をし、どうしたら快適になるのかを検討しながら開発をしました」という。まさにかゆいところに手が届いた一品といえるだろう。

■ ”車中泊カスタム”アイテムも出現

このような専用設計でなくても、車中泊をより快適にするグッズは増えている。

ホンダからはハンディータイプの蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500」(8万6400円・アクセサリーソケット充電器同梱仕様)が登場している。家庭用コンセント、もしくは車のアクセサリーソケットで約6時間充電すると。300Wの電気が約1時間、500Wの場合は約35分間取り出せ、例えば55Wの電気毛布なら4時間使えるし、小さな電気ポットなら3回はお湯が沸かせるとのことだ。本体にはUSBソケットが供えられており、スマホの充電も可能。

また、カー用品大手のオートバックスも車中泊に力を入れている。プライベートブランドであるJKMからは、この春ハンガーやフックなどが引っ掛けることができるアイテム「ソフトハンギングバー」(2500円)とマグネット式のカーテン(1990円)が登場。

これらのアイテムは、車種を選ばずに使うことができることが特徴。広報に話を伺うと「最近のキャンプやバーベキューなどのアウトドア人気に合わせて、車で出掛けた先でも使えるシュラフや携帯シャワーなどのグッズもそろえています。また、ガレージライフを提案するプライベートブランド『GORDON MILLER』でも、アウトドアで活躍するアイテムを揃えています。こだわりのガレージをそのままアウトドアに持ち出せるので、お出かけ先でも自分らしさや雰囲気を大切にしたいお客様に最適ですよ。」とのこと。自動車に精通する会社だからこその気づきがあるアイテムも多い。出かけ先のオートバックスで購入できるのも便利だ。

このように多方面で車中泊が盛り上がりを見せている。ゴールデンウィークの10連休、”車で旅行”をサポートしてくれるアイテム・サービスを活用してみては。(東京ウォーカー(全国版)・栗原祥光)