往年の名車よりも大衆車がより多く走っている

 バンコク市内を歩いていると、日本でもあまり見かけなくなった“旧車”が元気に走っている姿をよく見かける。筆者はカローラを30年間代々乗り継いできているのだが、6代目や7代目、8代目あたりで程度が良かったり、改造したりして思い思いに乗り続けられている光景を見るとうれしくなってしまう。カローラと並んでよく目にするのがコロナである。こちらもカローラ同様に思い思いに大切に乗り続けられている。

 バンコクで街を走るクルマをウォッチする定点ポイントのひとつで張り込んでいたら、初代三菱ランサーがやってきたときには、いい歳をしながらも「なんで?」とその元気ぶりに思わず興奮してしまった。

 以前インドネシアのジャカルタにある自動車の修理やパーツ販売の業者が集まる市場へ行ったときにも、数多くのおもに日本車となる旧車があったのが印象的であった。日本でももちろん旧車が大切に保存されているのだが、それは趣味性の高いものがメインとなっているように感じるが、タイやインドネシアで見かける旧車の多くはどう見ても、“日常の足”として使われているところで大きく違うように感じた。

東南アジアでは日本車が圧倒的なシェアを誇る

 バンコクでも筆者の散歩コースのなかに、クローントム(通称泥棒市場)というものがあり、そのなかに自動車関連部品を販売する多くの店舗や軒先で修理を行う業者などが多数ある。このような場所があるからこそ、旧車を日常生活の足として使い続けても不便を感じないのかもしれない。

 世界的には日本車の元気がいまひとつと感じる場面も多いが、こと東南アジアに限っていえば、新車の販売では圧倒的なシェアを誇る国も多く、数少ない“楽園”となっている。そのなかで旧車が多く街なかを走っていることで、その耐久性能などを見て「やっぱり日本車だよね」と、日本車の信頼性の高さにこれらの旧車がひと役買っているのかもしれない。

 ただ、あまりにも昔の日本車が元気に走っていると、「昔の日本車は良かった」とも言われかねないので、今どきの日本車もけっして手を抜くことのないよう切磋琢磨を続けてほしいものだと思った。