半ニートから高額所得者まで、常識人から異世界に住む人々まで、幅広い層が飲みに来る下北沢を中心に、「一人飲み歴10年以上」の、きたざわ御神酒(おみき)です。

皆さま、サイコパスと聞くと、どんな人物を連想しますか?映画『羊たちの沈黙』に出てくるハンニバル・レクター博士のような、特殊なシリアル・キラーでしょうか?

実はサイコパスとは、反社会的な精神病質の一種を持つ人々を表す言葉で、その人口も100人に1人程度は社会に一定に存在する、と言われています(「精神障害の診断と統計マニュアル−5」アメリカ精神医学会・2013年発表より)。サイコパスが必ず犯罪を犯すわけではなく、一般社会に静かに存在しているサイコパスのほうが多いのです。職場や地域コミュニティーなど、あなたの傍で「え?この人って一体……」という行動をとる人がいたら、その人は実はサイコパスかもしれません。

今回は、筆者の飲み仲間で、お酒好きの人の好い女性が遭遇した、サイコパスと思われる隣人との恐怖のご近所づきあいの実例をご紹介します。

サイコパスの特徴は?……「冷淡、嘘つき、良心が欠如している」でも見分けにくい!

では、サイコパスにはどんな特徴があるのでしょうか?サイコパシー研究の第一人者、ロバート・D・ヘア氏が定義した「サイコパスの特徴」は以下の通り。

良心が異常に欠如している
他者に冷淡で共感しない
慢性的に平然と嘘をつく
行動に対する責任が全く取れない
罪悪感が皆無
自尊心が過大で自己中心的
口が達者で表面は魅力的

最後の一文が問題です。サイコパスは良心も共感力も皆無なのに、口が巧く、表面上は魅力的に装える知性を持っているのです。ひどい人なのに、一見したところは魅力的。なんだかドラマなどに出てくる、結婚詐欺師的な「ワル」を連想してしまいます。

しかし、ごく普通の生活の中にも、この特徴を持った人物=サイコパスは存在するのです。

料理が上手で家飲み好き、周囲に愛される働くママの持ち家の隣家に越してきた、一見ホンワカした雰囲気の隣人ママ

サクラさん(仮名:30代後半)は2人のお子さんのママ。結婚後早めに一軒家を購入し、夫婦共働きで住宅ローンを抱えています。

快活でお酒好きなサクラさんが、ご主人と出会ったのもお酒の席。ご夫婦で「お互いの友人を大切にしよう」と決めているそうで、結婚後もお互いスケジュールをやりくりしては時にお酒の席に出かけたり、友人を家に招いてプチ飲み会を開催したりと、とても人付き合いのいいご夫婦です。サクラさんの料理のセンスが素晴らしく、簡単な材料で気の利いた一品をサッとこしらえてしまうので、ご夫婦の友人はお宅に招かれるのをみな楽しみにしています。筆者もその一人。

さて、サクラさん宅のご近所に、同じ年齢の子供を持つミソノさん一家が越してきました。子供の学区や保育園も一緒、ミソノ家も一戸建てを購入しているので、長い隣人付き合いになるのはこの時点で確定しています。

ミソノさんの奥様(以下、ミソノママ)はサクラさんよりやや年上の40代前半。ホンワカした優し気な雰囲気で、ずっと会社勤めをしている。お酒も好き。……社会的な対人スキルがそれなりにある人だろう、と、この時点でプロフィールだけ聞いたら、ほとんどの人が思うでしょう。

サクラさんは越してきたばかりのミソノさんの奥様に尋ねられるまま、おいしいお店や、いざという時の病院の情報など、丁寧に教えてあげました。

しかし、小さなほころびが次々と出てくるのです。

気遣いのない行動を繰り返すも、本人はニコニコ。肩透かしを食って「自分は心が狭いのか?」と悩まされ、モヤモヤ

最初は小さな違和感から始まりました。ミソノママ、サクラさんが教えてあげたお店や病院に、どうやら通っているようなのです。

行先ではスタッフに「ご近所のサクラさんという方に聞いて」と言っているらしく、ご実家も地元で長年その街に住まい、外交的で思いやりのあるサクラさん一家の評判がすこぶるいいので「サクラさんのご紹介なら」と、どこでも歓待されたと思われます。

思われます、というのは、そういった報告がサクラさん本人には一切無かったから。サクラさんに会わないならともかく、ほとんど毎日ご近所で顔を合わせる機会があり、新たに別の情報も尋ねたりしている状態なら「この間教えてもらったお店、おいしかった。ありがとう」程度の挨拶を入れるほうが普通でしょう。

一言の報告もお礼もなく、ニコニコ笑いながら次の情報ばかり聞いてくるミソノママの態度に違和感を覚えながらも、サクラさんは「自分が、心が狭すぎるのかな?……でも私、なんだか人間タウンページみたい」と、やるせない気持ちになったと言います。

この段階では、人に愚痴るほどの無礼ではない、ただモヤモヤする……という程度。

しかしサクラさんはこの1年後、我が子の保育園で他のママから驚きの相談をされるのです。

待機児童数No.1の地域で、子供を預ける際に、まさかのアイテムを日々持参!

サクラさんとミソノ家のお子さんが通っていた保育園は、当時待機児童数トップの世田谷区の認定保育園です。保育園側から、「万が一たまたま保護者の方の半休が重なったりした場合も、決して保育園のそばで集まってお茶を飲んだりしないでください。お子さんを預けられなかったお宅の方がご覧になった時のお気持ちに配慮して下さい」とお達しが出ていたそう。

気遣い屋のサクラさんなどは、仕事帰りにちょっとした買い物をした際にも「お迎えの時にショッピングバッグを持っていたら『そんな時間があるなら先に子供を迎えるべき』と不快に思う人がいるかも」と配慮して、ショッピングバッグが見えないように工夫してお迎えしていたと言います。

そんな環境で、ミソノママが驚きの行動に出るのです。ミソノ家には引っ越し後第2子が誕生し、ミソノママは当時、第2子の育休中でした。育休中といえども上の子は保育園に預けていたのですが……朝の送りの際に、なんと、バッグに一目でわかるとんでもないモノを入れて登園していたのです。

そこに感謝の言葉はないんかい!都合よく使われると、人ってモヤモヤするんですよね……。

ミソノママの自分中心、感謝の気持ちゼロな行動、言動にサクラさんは……!?〜その2〜に続きます。