提供:週刊実話

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 大阪ダブル選挙で対抗馬の自公推薦候補に圧勝した吉村洋文・大阪府知事と松井一郎・大阪市長。同時に行われた大阪府議選、市議選でも他を抑え大躍進した。これで日本維新の会は、かねてから期待されてきた橋下徹氏を旗頭に全国制覇に弾みをつけ、「次の国政選挙で自公連立に楔を打ち込み、国政で大きな役割を果たしたい」(幹部)との意欲をたぎらせ始めた。

 菅官房長官のポスト安倍も取り沙汰される中、大本命はやはり「橋下令和内閣だ」と言う声も上がっている。今回、維新大勝利の要因を分析する前に、その圧勝ぶりに触れておこう。

 その1。まず大阪府議会(88議席)。維新は選挙前40議席で過半数に達していなかったが、今回の選挙では51人が当選、11議席伸ばし過半数を制圧した。大阪市議会(83議席)も改選前の35から5議席プラスの40議席を確保。過半数までは2議席ほど届かなかったが、松井大阪市長は、無所属議員に働きかけ過半数確保に自信をのぞかせている。

 その2。支援母体、創価学会の高い情報収集と分析力をベースに「常勝関西」の異名を誇った公明党が維新旋風に脅かされた。府議会では前回同様15議席を維持したが、市議選は1議席落とし18議席と後退。

 また、市議選は10選挙区近くでボーダーライン上の厳しい選挙戦を強いられた。例えば、北区や東成区でも明らかなように維新は軒並み現職と新人の2人を擁立。そして、公明党に「東成区ショック」をもたらした。

 「公明党は東成区で2選目を目指した則清ナヲミ氏が立候補。この地区は製造業中心の中小企業が数多くあると同時に、人口約8万人で大阪市内でも少子高齢化が高い地域です。それだけに公明党は日頃からきめ細かな運動を展開し、ここの1議席は鉄板議席とも言われた。そこに維新は現職に加え、海老澤由紀氏という新人をぶつけた。結果は維新現職がトップ当選、ついで自民党、そして残る1議席を維新新人と公明党現職がデッドヒートの末、わずか4票差で維新が競り勝ったのです」(維新関係者)

 維新躍進の要因について維新幹部がこう語る。
「自公は反維新キャンペーンに終始したが、維新は有権者に実行力と実績を突き付けた。有権者は、その数々の実績を見て『維新やるやん』と思ったのです」

 実績の一つとして、橋下徹氏が大阪府知事に初当選した2008年以降、主要公園に溢れていたホームレスが消え、公園の臭いニオイもなくなった。

 「インバウンドの客も’08年に158万人だったのが、’17年は1000万人を突破した。しかも、『再訪したい』との声で溢れている。日本一の高層ビル『あべのハルカス』(’14年竣工)など再開発ラッシュで大阪の街は大変貌を遂げた。橋下府政、市政のもと交通網整備、行政の赤字解消、公園整備などが急ピッチで進められたのです。同時に行政に巣くっていた伏魔殿一掃も行われ、より透明化した」(全国紙府政担当記者)

 まだある。失業率5.3%(’08年)が’17年に3.4%と減る一方、景気動向指数は’08年約97・3から’17年約123・5と上昇した。大阪圏商業地の地価も’16年3%台、’17年4%、’18年4.7%と高騰しており、今や日本で1、2を争う上昇率となるなど活気に溢れているのだ。

 「ダブル選挙期間中、橋下前大阪市長は『10年前に戻すのですか。それとも先に進めるのですか』とネットやブログで市民に問いかけた。大阪府民、市民は橋下、松井、吉村という維新陣が自民党主導の府政、市政を大改革してきたことを支持したわけです」(同)

 大阪都構想も当初の受け止め方から徐々に変わりつつある。’15年に行われた都構想の住民投票は反対50・4%、賛成49・6%と、僅差で反対票が上回った。ところが、ダブル選投票直前の日経世論調査では、賛成46・5%、反対34・3%と逆転しているのだ。