「ロビ2」が80号でついに完成! デアゴスティーニで創ったロボット最新技術を解説

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デアゴスティーニの『ロビ2』は、毎週届くパーツをドライバーで組み立てていくと、30cmほどの人型ロボットが完成する。

この『ロビ2』が。このほど80号で完結を迎えた。
ロビ2の、一体なにがスゴイのか、搭載されている最新技術を見ていこう。


●とりあえず「可愛い」が最強



ホビーユースのロボットは、人型や動物型、何かの生き物など、さまざまなタイプのものが登場している。
ロボットの好みは人それぞれだと思うが、ロビの特徴は、なんと言ってもその「可愛さ」だろう。

いきなり見た目の話か、と思われるかもしれないが、コミュニケーションロボットにとって、容姿は重要なポイントなのだ。
見ているだけで、ホッと癒やされる魅力、これがコミュニケーションロボットにとって、とても重要な要素で、「ロビ2」は、それを持っている。

ロビ2は、ロボホン(シャープ)やエボルタくん(パナソニック)などでお馴染みの、ロボットクリエーター 高橋智隆氏の手によるロボットだ。
大きな丸い目や、立ち姿、座り姿など、全体のシルエットに隙がない(単に筆者の好みなだけかもしれないが)。

また高橋智隆氏は、性格付けやモーションのプログラムまでも一貫して行い、監修している。さらにロビ2の声は、声優の大谷育江さんが担当。

こうした取り組みにより、ロビ2の可愛いさが創り上げられている。


●おでこのカメラで画像認証を実現



技術的な話をすると、ロビ2は、登録したユーザーの顔を判別したり、オリジナル絵本(提供されたものに限る)、ページを認識して読み上げたりしてくれる。
こうした機能は、おでこに搭載したカメラによって可能となっている。
カメラを使った画像認証には、テラプロープ社の画像処理ボードが採用されているのだ。

画像処理ボードや音声認識ボードは、頭部に搭載されている。

・人の顔を高精度に見分けられる
カメラでとらえた映像は、テラプロープ社の顔認証システム「TeraFaces(R)」で解析され、人の顔を見分けることができる。
人を判別して、登録した名前で「●●ちゃん」のように呼んでくれるというわけだ。
ユーザーは10人まで登録できる。

ユーザー登録の際に名前や顔を登録するのだが、このとき、証明写真のような顔写真が登録されるわけではない。顔の“特徴点”が抽出して登録される。
特徴点を照合することで、高精度で高速な顔認証が実現されている。

テラプロープ社の顔認証システム「TeraFaces(R)」は、化粧や髪型の変化、さらには加齢にかかわらず、瞬時に人を見分けることができるという。双子の見分けも可能とのこと。

・人の「笑顔」が分かる
さらに人の笑顔を判断することも可能だ。
「ニコロビシャッター」という写真撮影の機能が搭載されており、ロビ2が人の笑顔の写真を撮ってくれる。むすっとした顔をしていると「もっと笑って!」と言われることもあるのだ。

・オリジナルの絵本を読み上げてくれる

専用のチェアに座って、絵本を読み上げてくれる


画像認証の技術は、専用の絵本ページの“特徴点”をとらえて、あらかじめ組みこまれた絵本のストーリーを読み上げてくれる。
顔認証と同じく、ページ全体の画像を記憶させるのではなく、コンパクトなプログラムで実現されていることも特徴と言えるだろう。


●コミュニケーションの要 音声認識
ロビ2と会話するために必要なのがレイトロン社の音声認識ボード。
おでこ(カメラの上方)にある穴から音を拾って、頭部に搭載した音声認識ボードで音(言葉)の特徴を解析している。

現在人気のスマートスピーカーに搭載されている音声認識では、始めに「オッケー、○○○」や「ねえ、○○」といった特定のフレーズを言わなければならないものも多い。
特定のフレーズを言うことで、音声認識の機能がオンになるという仕組みだからだ。

しかしロビ2は、そういったフレーズは不要だ。
普通に音声コマンド(ロビが認識する言葉)を話しかければよい。
人に話しかけるのと同じ感覚で、コミュニケーションが可能なのだ。

これは、自動的に音声認識をオン・オフする「Always Listening機能」と「自動認識棄却機能」が使われているためだ。
レイトロン社の音声認識エンジン「VoiceMagic(R)」によって実現している。


●20個のサーボモーターで自在な動き



サーボモーターは、双葉電子工業のコマンド式サーボモーターを採用。
同社は蛍光表示管の製造で知られているが、実は産業用・ホビー用ラジコン機器でも有名なのだ。

ロビ2には、20個のサーボモーターが組みこまれている。
サーボモーターは、搭載する数だけ関節があると言ってもよく、頭や首、腕や脚が自在に動かせ。立ったり座ったり、片脚で立つこともできる。
これらの制御はプログラムで行われているが、細やかな動きは、コマンド方式のサーボモーターによって実現している。

ロビ2では、サーボモーターがボディの中に収められているのではなく、ボディの一部として設計されているところも特徴のひとつ。
腕や脚は、サーボモーターがむき出しとなっている箇所があるのだが、それが、違和感がないデザイン力もスゴイ。


●頭脳を司るマイコンボード

マイコンボード、電源制御ボードは、ボディ内に組みこまれている


ロビを制御するデータはマイコンボードに収められている。
マイコンボードは、ロボットの開発・製造を行っているヴイストン社の手によるもの。

ヴイストン社はこのほか、Bluetoothボードや赤外線送受信ボード、リアルタイムクロックなど、ロビ2の多くのパーツを担当している。

マイコンボードは、ロビ2になくてはならない重要なパーツだ。
コミュニケーションのためのプログラムも、動くためのプログラムも、すべてマイコンボードで制御している。


●ロビ2の相棒ロボット「キューボ」とも遊べる
ロビ2ばかり紹介してきたが、実はロビ2には相棒となるロボット「キューボ(Q-bo)」がいる。

ロビ2を初めて起動して、リアルタイムクロックの設定をしたり、ユーザー登録したりするにはキューボが必要なので、実は、意外と重要な位置付けだ。

キューボには、グリッドマーク社の二次元バーコード「Grid Onput(グリッド オンプット)」を読み取れる専用スキャナーが搭載されているのだ。

「Grid Onput」は、極小のドットで構成されている二次元バーコードなので、通常のバーコードやQRコードのように印刷が見えない。
このため、枠やイラストに、ひそかに埋め込むことが可能なのだ。

ユーザー登録用の冊子にあらかじめ印刷されたGrid Onputのコードをキューボで読み取り、Bluetoothでロビ2に送信するという仕組みだ。
また、提供された絵本や英語教材に印刷されているGrid Onputを読み取ることで、キューボが英語を読み上げる話すことができる。

バイリンガルなだなんて、キューボもなかなか多才な相棒といえる。

ロビ2を組み立てている人は、すでに完成させ、初めての起動を迎えたことだろう。
このロビ2の、何気ないしぐさや動き、会話の中には、さまざまな最新の技術が詰め込まれているのだ。