自らの猛プレスからあっという間のゴールを生み出したロング。その一撃はプレミアリーグ最速となった。 (C) Getty Images

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 あっという間に生まれたゴールがイングランド・サッカー史に名を刻んだ。

 現地時間4月23日に開催されたプレミアリーグ第31節延期分のワトフォードとサウサンプトンの一戦は1-1のドローで決着した。

 試合は開始直後に動いた。自陣でボールを持ち、最前線へのロングパスを狙ったワトフォードのDFクレイグ・キャスカートのキックをサウサンプトンのFWシェーン・ロングが猛烈なプレスで掻っさらうと、こぼれ球を一気にエリア内に持ち運び、慌てて前に飛び出す、相手GKベン・フォスターの立ち位置を見て冷静にループシュートを決めた。

 わずか7.69秒で決まった一撃は、トッテナムのレドリー・キングが2000年12月9日のブラッドフォード・シティ戦で決めた9.82秒の記録を19年ぶりに上回り、プレミアリーグ史上最速のゴールとなった。
 
 この電光石火の早業は大きな反響を呼んでいる。英紙『The Guardian』は、「ロングはまさにロケットマンだ」という見出しとともに得点シーンを次のように描写している。

「ロングは猛烈なプレスでボールを奪ってあっという間にゴールを決めてみせた。ワトフォードにとってみれば、お笑いもののミスからの壊滅的なスタートとなった」

 そして、ロングの母国アイルランドの全国紙『Irish Times』も、プレミアリーグ記録を塗り替えたストライカーを褒め称えている。

「まさに信じられない幕開けだった。ロングは瞬間的に大仕事をやってのけたのだ。相手のミスからではあったが、抜け目のない彼の猛プレスが全てを切り開いたと言っていいだろう」

 なお、英公共放送「BBC」がまとめているプレミアリーグでの最速ゴールトップ10は、以下の通り。

1位:シェーン・ロング「7.69」(2019年4月23日、vsワトフォード)
2位:レドリー・キング「9.82秒」(2000年12月9日、vsブラッドフォード)
3位:アラン・シアラー「10.52秒」(2003年1月18日、vsマンチェスター・C)
4位:クリスティアン・エリクセン「10.54秒」(2018年1月31日、マンチェスター・U)
5位:マーク・ヴィドゥカ「11.90秒」(2001年3月17日、vsチャールトン)
6位:ドワイド・ヨーク「12.16秒」(1995年9月30日、vsコベントリー)
7位:クリス・サットン「12.94秒」(1995年4月1日、vsエバートン)
8位:ケビン・ノーラン「13.48秒」(2004年1月10日、vsブラックバーン)
9位:ジェームズ・ビーティー「13.52秒」(2004年8月28日、vsチェルシー)
10位:アスミール・ベゴビッチ「13.64秒」(2013年9月2日、vsサウサンプトン)

 ちなみに公式記録に残されている世界最速ゴールは、2009年にサウジアラビア・リーグのアル・ヒラルに所属していたナワフ・アル・アビドがアル・ショウラ戦で決めた2秒だ。