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◆70歳までどう粘るべきか?

 時代の変わり目に合わせるかのごとく、企業の“人切り”が急速に進む昨今。その犠牲になろうとしているのが45歳以上の会社員たちだ。「人生100年、70歳まで現役」が標準化されようとしている現代においてあまりに早いタイミングでの会社からの不要宣告をどう乗り切るべきなのか?

◆なぜ今、45歳以上がターゲットなのか?

 今年3月、富士通は45歳以上のすべてのグループ社員を対象に、早期退職を募ることを公表。昨年6月にはNECが3000人規模での早期退職者を募集、今年2月にはカシオ計算機でも同社初となる早期退職者募集を発表するなど、大手上場企業で早期退職者募集が相次いでいる。名だたる大企業でリストラが頻発する内情を企業情報に精通する人事ジャーナリストの溝上憲文氏は次のように解説する。

「昨今、経営の立て直しを図るため、多くの企業が構造改革を行っています。ただ、うまく機能しているとはとても言える状況ではありません。富士通は昨年にも5000人規模の配置転換を実施しましたが、より抜本的な改革のため、さらなるリストラに至りました」

 さらに、これら大規模なリストラを一時的なものだと考えるのは早計だと、溝上氏は続ける。

「リストラには中毒性があります。一度、大規模なリストラを行うと、その場しのぎとはいえ、『あの会社は再生しようとしている』と株主や世間からの評価は高まります。昨今の経営者は、従業員よりも株主を大事にするので、一時的にでもそうした世間の評価を得るために、今後もリストラを行う企業は増えていくと考えるのが自然です」

 そして、多くの企業で早期退職のターゲットとなるのは、「45歳以上」。なぜ、こうも45歳以上は会社から狙い撃ちにされるのか。

「いまだに年功序列が根強い日本の大手企業では、40代以上の給料は割高。高賃金低貢献の中高年がいなくなれば、短期的に人件費は大幅にカットできます。年齢の分布で考えても45〜60歳はいまだに多すぎる。この世代を一気に減らし、組織の新陳代謝を図る狙いもあるでしょう」(溝上氏)

 一方、経営コンサルタントの中沢光昭氏は、「45歳は『見切られるタイミング』」と続ける。

「構造改革を図る上では、社員に新しいビジネスモデルに順応してもらう必要があります。40代前半までならまだポテンシャルにも期待できますが、45歳以上にもなると、伸びしろは望めないですし、新しい職種への配置転換を迫られても対応できない。柔軟性に欠ける45歳以上はさっさと切ってしまいたいというのが企業の本音です」

◆モチベーションの低さも影響

 加えて、中沢氏が問題視するのが、オーバー45歳世代の「モチベーションの低さ」だ。

「45歳以上はひとつの会社に長くとどまることを美徳としてきた最後の世代です。そのため、転職が当たり前になっている下の世代に比べると、向上意欲が薄く、『適当でいいよ』『仕事がつまらない』などと口にするやる気のない社員が多い。モチベーションが低い人間がいると、そのやる気のなさが周囲に伝播して、職場の作業効率が著しく下がってしまう。“不良債権化”した45歳以上は、経営者から見ると、いないほうが圧倒的にマシな“腐ったミカン”なのです」

 とはいえ、昨今のリストラ事情をまとめてみると、意外にも募集定員を超える応募が殺到している会社が多いことにも驚かされる。

「アベノミクスの影響もあり、多くの企業はまだキャッシュを持っている。超優良企業では億超えの退職金が支払われたなんて話も耳にします。それはさすがに極端な例だとしても、組織の改革を急ぎたい会社がかなり高額な割増退職金を用意しているケースも少なくない。場合によっては、会社にしがみつくのではなく、40代のうちに割増退職金がもらえるようになったら、転職して新天地を探すのが得策かもしれません」(中沢氏)