スマホ料金「4割値下げ」のウソ。iPhoneなど機種代は値上げ、得するのは政府だけ…

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◆au、ソフトバンク、そして、楽天参入で価格競争は加速する

◆ドコモ値下げでわかった、政府主導の携帯料金「4割値下げ」の嘘

「これまでは料金の組み合わせが多岐にわたり、理解していただくのが難しかった。新プランはシンプルでお得になる――」

 4月15日、NTTドコモの吉澤和弘社長が、6月からスタートさせる携帯電話の新料金プランを発表した。目玉は、何といっても「最大4割」と胸を張る通信料の大幅値下げ。ユーザーは、1か月最大30GBまでのデータ使い放題と従量制の2つのプランから選ぶことができ、3回線以上契約している家族でもっともデータ量の少ない1GBのプランを組むと、通信料が4割安くなる仕組みだという。

 ただその一方で、これまで通信料に組み込まれていた端末料金の「補助」はなくなる。電気通信事業法改正案が今国会で成立する見通しで、今秋から通信料と端末代金は「分離」させることが義務づけられるため、従来の通信料+端末代金の“セット割”ができなくなるからだ。

 昨年8月、菅義偉官房長官が「今よりも4割程度下げる余地がある」と発言したことをきっかけに始まった携帯料金の値下げ論争。ドコモが“前倒し”で値下げに踏み切ったことで、auやソフトバンクの動向も注視されているが、今後、政府主導で推し進める値下げの流れは加速するのか? 携帯電話の料金システムに詳しいITジャーナリストの三上洋(よう)氏が話す。

「そもそも、今回ドコモが打ち出した新料金プランは2つの問題を先送りにしている。1つは、端末代金の問題。吉澤社長も『ユーザーの負担になるので、新機種が出たときに別の方法を考えたい』と言葉を濁しているが、新料金プランでは端末が“定価”で売られる可能性が高く、『4割値下げ』どころか、実質的には大幅な値上げとなる。

 現行のプランでは、最新機種のiPhoneXsや同Мaxを2年ローンで購入すると、ドコモから約5万9000円の補助が出るが、新たなプランではそれが丸々なくなる……。通信料金を値下げしてくれても、端末代の値上げ分をペイするには4年ほどかかり、同じスマホを4年以上使い続ける人は少数派でしょうから、多くの人は損をすることになります。

 問題の2つ目は『2年縛り』と言われる契約期限についてで、ドコモは契約の自動継続をやめる仕組みを『(いずれ)提供したい』と説明するにとどめており、場合によっては、契約2年後に料金が高くなる可能性も残っているのです」

◆総務省がドコモに無理やり値下げ

 ドコモが改正電気通信事業法の成立前に“前倒し”で値下げを発表したのは、2020年から実用化が予定されている5G(第5世代移動通信システム)の影響もありそうだ。長年にわたって、国内外でモバイル業界の取材を続けるスマホ/ケータイジャーナリストの石川温氏が話す。

「現在、総務省が5Gの周波数の割り当てをする直前ということもあり、キャリア各社は許認可事業ゆえに、菅官房長官の『電波は国民の財産』という言葉に歩み寄らざるを得ないのです。

 先に『4割』という数値目標を提示されたために、その数字を達成しようとドコモも4割値下げプランをひねり出したが、データ容量1GM未満しか使わないユーザーは限られ、多くのユーザーは安さを実感できないと思います。

 しかも今回、総務省がドコモに無理やり値下げさせたことで、新規参入組の楽天モバイルは出鼻をくじかれ、格安スマホも苦戦を強いられることになる……。本来なら、3大キャリアの料金が高いままの状態で、楽天などが安さを売りに参入し乗り換えが進むはずだった。

 そうなれば、自然と大手3社も値下げに追随することになり、公正な競争が実現しますから。それが、ドコモが“前倒し”で値下げを発表したことで、乗り換えの動きが鈍くなるのは間違いない」