表面上は仲良く(中央は白鵬の父)/(C)共同通信社

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「引退して親方をしばらくやったあと、モンゴルに帰って政治家になりたい」

帰化決意の白鵬が狙う理事長の座 相撲界を待つ暗黒時代

 横綱白鵬(34)はかつて、親しい友人にこう話していたという。モンゴルには大相撲出身で母国の政治家になった旭鷲山(元小結)がいるものの、白鵬は自らその夢を捨てた。

 17日に明らかになったモンゴルの国籍離脱申請。つまり、日本に帰化する準備だ。親方になるためには日本国籍を取得しなければならないが、そうなると母国で政治家になることはできない。

 白鵬にそうさせたのは、元横綱・朝青龍(38)の存在だという。現役時代は土俵でにらみ合うなど一触即発。犬猿の仲だともっぱらだった。現在は母国のテレビで共演して、「モンゴル人は差別されている」と話すなど、意見を共にすることもある。関係が修復したと見る向きもあるが……。

 モンゴル事情に詳しいタニマチ筋が言う。

「表面上はともかく、腹の中では『あんなヤツより、オレの方が上だ』と互いに思っているよ。世代が違うならともかく、同じ野心家の2人がうまくやっていけるはずがない。モンゴル国内での人気や立場は、朝青龍の方が上。モンゴル人女性と結婚し、国内で商売もしている。現モンゴル大統領とも距離が近く、同国の日本担当外交顧問と、モンゴル大統領特別大使を務めている。一方、日本人と結婚した白鵬には『国を捨てるのか』と批判もあったほど。少なくとも、モンゴルでは白鵬に勝ち目はない」

 複雑な関係ではある。朝青龍は白鵬がデビューした当初こそ可愛がっていたものの、出世するにつれて不仲に。素行不良で「悪」だった自分に対し、当時はまだ謙虚に振る舞っていた白鵬が「善」と持ち上げられたことも面白くなかっただろう。さらに、自身の25回優勝もあっさりと塗り替えられてしまった(白鵬は42回)。

 白鵬も白鵬で、「強いモンゴル人力士」の先駆者である朝青龍には対抗意識が強い。かつて朝青龍を抜く26回目の優勝を果たしたときは、「あの男を超えられてよかった。もう(朝青龍も)文句言わないだろう」と、呵々大笑していたほどだ。

 引退後もそんな朝青龍の上を行くためには、モンゴルではなく日本で立身出世を目指すしかない。

 実現するかどうかはともかく、野望は相撲協会の理事長だともっぱらだ。モンゴル相撲の横綱で、メキシコ五輪レスリング銀メダルという母国の英雄を父に持ちながら、日本に帰化するのは「あの男」への対抗心もあるという。