レアル・マドリードの下部組織カデーテA(U-16)に所属する中井卓大【写真:松岡健三郎】

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1年間で10センチ成長、小3から指導する木場氏「私もついに抜かれてしまいました」

 海外サッカー、スペインリーグ1部の名門レアル・マドリードの下部組織カデーテA(U-16)に所属するMF中井卓大。華麗なテクニックとサッカーセンスからバロンドールに輝いたクロアチア代表ルカ・モドリッチ2世の期待を集めるが、フィジカル面も急成長。師匠を超える身長180センチの大台に突入したことが明らかになった。

「スペインでサッカー選手としても成長しているピピですが、フィジカル面の成長は凄まじいものがあります。去年1年間で身長は10センチ伸びました。年末は178センチでしたが、この短期間で180センチになりました。もう驚きです。私もついに抜かれてしまいました」

 こう語ったのはプロトレーナーの木場克己氏。体幹・体軸・バランスを強化する「Koba式体幹・バランストレーニング」の開発者で、数々のトップアスリートの専属トレーナーを務め、JP日本郵政女子陸上部をアドバイザーとして指導。16年に創部3年目にしてクイーンズ駅伝優勝に導いたスペシャリストだ。

 高校時代にレスリング選手だった木場氏は筋骨隆々の179センチだが、小学3年生から指導してきた愛弟子に、15歳にして抜かれたことを驚いた。神奈川県で行われた「U-16キリンレモンCUP」に出場するため、チームとともに一時帰国しているピピ。19日に行われた東京ヴェルディU-16戦後に電話で話した木場氏は、「白い巨人」の次代のスターとして期待を集める金の卵の急成長を陰ながら支えている存在だ。

「ピピには動画でトレーニングメニューを渡しています。毎朝、体幹に刺激を入れるメニューに真面目に取り組んでくれています。タケフサ(FC東京MF久保建英)とは年齢差はありますが、同じ強度のメニューもこなせるようになりました。彼は小学3年生からずっと続けている。継続性という部分も彼の才能でしょうね」

中井が実感する指導の成果、木場氏「レアルに来てから一度も怪我がない」

 一時帰国のタイミングで都内のジムで指導するが、普段は東京からマドリードという遠隔指導となる。心技体ともに進化を続ける15歳だが、日々の指導の成果を強く感じているという。

「ピピがいつも話していることは、レアルに来てから一度も怪我がないということ。レアルのチームメートは全員大なり小なりシーズンを通じて、怪我に向き合っているそうですが、ピピにはそれがない。日々の体幹トレーニングの効果を実感しているそうです。さらに、あそこまで体が成長しても成長痛もないと喜んでいました」

 木場氏はこう語った。恩師の指導に感謝しながら、練習に取り組む中井の急成長を支えているのは、成長期のアスリート向けに開発した特別なトレーニングメニューだという。

「育成年代に怪我をしてしまったら、その後のキャリアに大きな影響を与えることになります。怪我の予防につながるメニューになっています。特に、膝はサッカー選手にとって大事なので、膝回り、体の軸を強化する内容です。このまま怪我なく、レアルのトップチームまで駆け上がってもらいたいです」

 木場氏はさらなる飛躍に願いを込めていた。今季はリーグ戦で鮮やかなシュートを連発するなど成長著しい中井。育成のプロのサポートを受けながら、階段を駆け上がっている。(THE ANSWER編集部)