by Bryan Ochalla

任天堂が1985年に発売したファミリーコンピュータ用のアクションゲーム「スーパーマリオブラザーズ」は世界的な大人気ゲームで、日本を代表するゲームタイトルの1つです。そんなスーパーマリオブラザーズを、ファミリーコンピュータよりも前に発売された「コモドール64」に移植したファンが登場。全く違うハードウェアでありながら、本家のスーパーマリオブラザーズを忠実に再現した内容で、コモドール64ファンの間で話題となっています。

Super Mario Bros. 64 has been released - Commodore 64 (C64) Forum

https://www.lemon64.com/forum/viewtopic.php?t=71262

コモドール64は1982年にコモドールが発表した8ビットコンピューターです。そのCPUは1.02MHzのMOS 6510で、64kBのRAMと20kBのROMを搭載していました。価格は595ドル(当時のレートで約14万円)で、翌1983年に発売されるファミリーコンピュータの発売価格が1万4800円だったことを考えるとかなり高価に思えますが、同じく64kBのRAMを搭載したApple IIやIBM PCが1000ドル(約24万円)以上だったこともあり、非常にリーズナブルなホビーパソコンとして世界的に大ヒット。一説によれば、その販売台数は1250万台以上だったとみられています。



by Francis Storr

コモドール64は発売から30年以上経ってもなお海外を中心に根強い人気があり、エミュレーターでプレイできる新しいゲームやコモドール64向けの周辺機器を個人開発するファンも存在。また、2018年3月にはコモドール64のミニ版となる「The C64 Mini」が発売されています。

ZeroPaigeさんはコモドール64ファンのコミュニティサイト「Lemon64」のフォーラムで、自身が7年かけて開発したコモドール64版のディスクイメージを公開しました。エミュレーターだけではなく、フロッピーを使えば実機でのプレイも可能。フォーラムの参加者によると、エミュレーターだと少し動作が緩慢となり、実機の方がより忠実に近いプレイが楽しめるとのことでした。

実際にコモドール64版スーパーマリオブラザーズを実機でプレイする様子は以下のムービーから見ることができます。

Super Mario Bros - 2019 Commodore 64 port - YouTube

ソフトの読み込みが始まり……



起動。「SUPER MARIO BROS. 64」というタイトルの下には「2012-2019 ZEROPAIGE」とあり、7年かけて開発されたことがわかります。このコモドール64版では、日本・アメリカで発売されたNTSC版と、ヨーロッパで発売されたPAL版が収録されているとのこと。



ゲームをスタートすると、てくてくと歩く巨大なマリオと共にローディングの進捗が表示されます。



ローディングが終わると、ファミリーコンピュータ版とほとんど同じタイトル画面が表示されました。



SID音源を積んだコモドール64では、聞き慣れたマリオのBGMも少し音色が違います。



ハテナブロックから現れたキノコを取ると、ちゃんとマリオが大きくなりました。



敵を踏んづけた時にマリオの頭上に表示される得点もちゃんと出現しています。



フラワーを取ってファイヤーマリオになり、火の玉を連射すると、BGMの再生スピードが少し遅くなります。



スターを取ったら……



マリオは無敵となって爆走。やはりBGMの再生に少し影響は出ているものの、ゲームスピードには変化がなく、問題なく遊べそうです。



また、レトロゲームを中心に扱うYouTubeチャンネル「Kenobisboch Productions」が公開した以下のムービーでは、コモドール64版スーパーマリオブラザーズを実機で遊ぶプレイヤーの様子もあわせて見ることができます。十字型の方向キーとボタンが並んだパッド型のコントローラーで遊ぶファミリーコンピュータと違い、ジョイスティック型のコントローラーで操作するため、再現度は高いものの、本家のスーパーマリオブラザーズよりも難易度はアップしているとのことでした。

NUOVO! SUPER MARIO BROS su Commodore 64!? - Giocato da Bisboch su real hardware - YouTube

・おまけ

なお、コモドール64とスーパーマリオブラザーズの間には「因縁」があることで知られています。1987年にヨーロッパでコモドール64向けに発売された「グレートギアナシスターズ」は、スーパーマリオブラザーズを明らかに模倣した内容として話題になりました。盗作ながら高いゲーム性で発売当初は大好評だったものの、イギリス向けのパッケージに書かれた「The brothers are history(あの兄弟は既に過去のもの)」という、盗作を開き直った上に挑発するようなメッセージに任天堂が激怒。「グレートギアナシスターズ」は訴訟を起こされそうになり販売中止になったといわれています。

C64 - Great Giana Sisters - YouTube