オオグソクムシラーメン(1780円)

写真拡大

ジビエ料理などの飲食店を運営する宮下企画(東京都新宿区)は、深海生物「オオグソクムシ」を使った新商品「オオグソクムシラーメン」を4月15日から販売開始した。

インパクト絶大な商品名にひかれ、J-CASTトレンド編集部は、このラーメンを提供する東京・錦糸町の「米とサーカスダービー通り店」に向かった。

麺とスープはあっという間に平らげたけれど

記者の前に運ばれてきた「オオグソクムシラーメン」(1780円)は、一見オーソドックスな塩ラーメン。だが、強烈なビジュアルが特徴のオオグソクムシの素揚げが一匹丸ごと入っている。麺の上に覆いかぶさり、触角はスープに深く沈み込んでいる。

まずスープを口に運ぶと、爽やかな磯の香りが口の中に広がる。塩味ベースのスープは、静岡・駿河湾深海でとれたオオグソクムシの殻と身を香味野菜と一緒に煮込むことで、優しい風味に仕上げている。想像以上に食べやすい。

麺を食べ進めていくと、シソの葉に載った「グソク味噌(みそ)」を溶かして味を変えられる。味噌にはオオグソクムシの内臓を使っているが、「海の掃除屋」と呼ばれるだけあって、「内部」の臭みは強烈だ。酒に漬け、こして、火にかけるなど下処理を重ねた。「アク」が取り除かれたグソク味噌は、あっさりとしたスープに深い「コク」をもたらす。

麺とスープはあっという間に平らげてしまった。だが、オオグソクムシ本体は別皿に移したままで、最後まで口に出来ない。

「いや、このままでは帰れない」

覚悟を決めた記者は、ヤツを口に放り込み、思い切り噛みしめた。

「ガリッ」とした甲殻類特有の食感――。これは、無理だ。そっと皿に戻してしまった。

後になって店長の小川原久展さんに、「正しいオオグソクムシの食べ方」を聞いた。「硬いけれど、丸かじりで思い切って食べるのが醍醐味」とのこと。あのまま気合を入れて食べ続けたら、新たな味に出会えたのだろうか。

「食べ物をいつくしむことの大切さを伝えたかった」

小川原さんによると、オオグソクムシラーメンの販売を開始した背景には「食材を丸ごと一匹食べてほしい」という思いがあった。2016年から「オオグソクムシの丸揚げ」を提供していたが、エグみの強い内臓部分は料理としての使い道がなく、捨てざるを得なかったという。

どうにかしてオオグソクムシを余すことなく調理できないか。思い立ったのが、オオグソクムシの殻と身でラーメンの出汁を取り、内臓を味噌として活用することだった。

小川原さんは、「普通のラーメンだって動物の骨を使って出汁を取っている。グソクムシを丸ごと一匹使うことで、食べ物をいつくしむことの大切さを伝えたかった」と語る。

4月15日に販売を開始したオオグソクムシラーメンだが、実は記者が4月17日夜に注文した1杯が初めての提供だったという。小川原さんは「グソクムシを見て"ゲテモノ"と思うのは不思議じゃないし、"こんなもの食べられるか!"と思うのは普通だと思う。だけど、実際に食べたら"おいしい"んです。これからぜひ食べに来てほしい」と語った。