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モスクワ五輪ボイコットの真相(76)

【PJ 2006年01月15日】− <激動五カ月間のドキュメント>
12.JOCに制圧をかけ始めた政府
<国庫補助金のカットをほのめかしJOCを脅迫>

中野好夫氏ら文化人6人が参加の訴え
 ナショナル・エントリーの締め切りが近くなると、JOCには、参加、不参加論者からの問い合わせが殺到し、手紙、はがきなどによる投書も多くなった。手紙、はがきによる参加、不参加の比率は「参加すべし」とするものが圧倒的に多く、「選手をモスクワへ送るための費用の一部にあててください」とのメモをそえて、現金を同封してくれる人も何人かいた。

 3月16日に、オリンピック問題への政府の不当な政治介入に抗議し、「JOCの自主的決定を尊重せよ」との見解を出した新日本体育連盟(新体連。現在は新日本スポーツ連盟)は、政府が2回目の見解を発表した4月25日、「政府の不当な政治介入に抗議する」との声明を発表。そして5月14日には“オリンピック問題討論集会”を開催し、政府の介入に抗議している。

 5月19日になると、淡谷のり子や中野好夫、古在由重ら6人の文化人が「文化の自主性を侵すな」との“訴え”を発表した。その全文は次の通り。
 今、日本がモスクワ・オリンピック大会に参加するかどうかが関心の的となっているのは、ご承知の通りです。この際、結論に先立って、あらためて次の諸点を明らかにして置かねばなりません。

 一 スポーツは疑いもなく人間文化の一つであって、自由かつ自発的な人間的表現であり、これは基本的人権に属するものです。従って、今度の参加問題にあたって、その結論はこの場合の主体としての民間の代表組織(国際ならびに各国オリンピック委員会)の自主的な決定にまかすべきです。そしてそれ以外の力に左右されてはならず、政府としても勿論この点を無条件に尊重すべきでした。モスクワ大会については、すでに国際オリンピック委員会がその場所と会期を決定しています。決して特定の国家が主催するのではないということを思い起こしましょう。

 二 もし外部の力の介入に押されてしまうならば、そのような事態は今後も国際スポーツ界全体に及ぶだけでなく、民間団体の文化活動一般も次第に同じ運命をたどりかねないでしょう。オリンピック憲章にもとづくオリンピック大会の本質は、決して学術や芸術の諸分野での国際交流と違ったものではありません。【つづく】

■関連ブログ
伊藤公(いとう・いさお)の『モスクワ五輪ボイコットの真相』

■関連書籍
小田光康著、「スポーツジャーナリスト」という仕事
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 伊藤 公【 東京都 】
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