10連休を前に旅行予約サイトを利用している人も少なくないはずだ。「最安値」の表記は魅力だが、ホテルや旅館に宿泊料金を最も安くするよう不当に拘束したなどの疑いで、公正取引委員会が立ち入り検査したとあっては話は別だ。ホテルや旅館の事業者からは「サイトの言いなり」という嘆きの声も。予約サイトが事業者より強い立場となっている背景に、業界の構造的な問題があるという。

 公取委が立ち入り検査を行ったのは、大手旅行予約サイトの「楽天トラベル」「ブッキング・ドットコム」「エクスペディア」の関連会社。宿泊業者に対して、自社サイトでの予約を最安値になるよう不当な拘束をした疑いや、予約可能な部屋を多く割り当てさせたなどの疑いがあるという。

 こうした状況を放っておけば、大手による寡占化にもつながりかねないが、旅行予約サイトに頼らざるを得ない事業者も少なくないようだ。

 温泉街として知られる神奈川・箱根のある旅館は「サイトでは安さばかりが目立ち、サービスよりも価格競争になってしまっている状況には非常に不満だ。ただ売り上げは8割が旅行サイト経由なので、なければ困る」と頭を悩ませる。

 また、別の事業者は「最安値」など低価格を約束させられる弊害として、「食事やサービスの質を落としたという話もよく聞く」と吐露する。

 一方、「価格の決定権はこちらにあるので、値下げできない場合はお断りしている」と明言するのは、6つの旅行サイトと契約する亀山温泉ホテルの鴇田(ときた)英将代表。

 「大手サイトから値下げを依頼されることはよくある。値下げできる部分はするが、サイトごとに人数や幼児の年齢など条件が異なるので、一律の価格を設定するのは難しく、要望されてもお応えできない部分がある」と話す。

 旅行予約サイトが同ホテルに依頼する価格設定の相談は大型連休や年末年始が多く、多いサイトでは年に5、6回、電話やファクシミリで行われるという。

 井門観光研究所の山田祐子氏は「旅行予約サイトにはポイント制度もあり、ネット上で予約した方が利用者にとって得になる。自力で集客することが難しい小規模な事業者になるほど、大きな広告効果があるサイトに頼ってしまう。また契約すれば宿泊情報管理のシステムを無料で導入してくれるサイトもあり、小規模事業者は依存状況から簡単には抜け出せないだろう」と指摘した。