「2018年ベストドラマ」の『バリー』にシーズン2登場 役者志望の殺し屋、苦悩はさらに深く...

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引退希望の殺し屋が、そうはいかない人生に苦悩するブラックコメディ『バリー』。2018年のエミー賞7部門にノミネートされた本作は、主人公の苦悩が止まらないシーズン2に突入。米HBOで3月下旬から放送が始まり、既にシーズン3への更新も決定済み。

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殺し屋、退職したいのですが...

腕利きの殺し屋だが、今の稼業に悩み気を病んでしまったバリー(ビル・ヘイダー『ソーセージ・パーティー』)。シーズン1では最後に大金を得てから足を洗おうと、マフィアの仕事を請け負いロサンゼルスへ直行。しかしロスといえば、映画産業の聖地。ターゲットのライアン(タイラー・ジェイコブ・ムーア『シェイムレス 俺たちに恥はない』)を追って演劇のスクールに足を踏み入れたが最後、すっかり芝居の魅力に取り憑かれてしまう。その瞬間から演技がバリーの生き甲斐となり、暗殺稼業との二重生活がスタート。ライアン殺害の嫌疑が掛かったバリーはモス刑事(ポーラ・ニューサム『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』)に追われる身となり、演劇との両立に苦しむ。

新シーズンでは役者の稽古を続ける傍らファッション業界に転職し、殺し屋時代と別れを告げたつもりのバリー。しかし、再びマフィアの依頼が舞い込むほか、モス刑事に代わって登場したローチ刑事(ジョン・ピルチェロ『レジデント 型破りな天才研修医』)の足音が背後に迫る。

続編の価値あり

本作は米レビューサイトRotten Tomatoesにて、批評家によるレビュースコアが極めて良好。Washington Post紙も、昨シーズンを2018年のベストドラマの一つに選出している。肝心の新シーズンについて同紙は、シーズン更新の価値があったと評価。前期は含みを持たせた完成度の高いフィナーレで美しく幕を下ろしたが、そこを終着点とせず、悩める殺し屋の物語が再び始動することになる。

本作の特徴とも言えるのが、見る間に複雑化してゆく状況設定だ。シーズン1の冒頭でも、殺しのターゲットとクラスメイトになってしまったことでバリーは狼狽。IndieWire誌は今期について、私生活では無責任なルームメイトに、そして裏稼業関連では数多のギャングに悩まされる、興味深いキャラクターになっていると紹介。平和を愛するアサシンは、加速するジレンマから逃れられない。

トラウマを越えて

主演のビルは、前シーズンの名演でエミー賞主演男優賞を受賞している。今シーズンではさらに、生き方に悩む殺し屋バリーの心の葛藤をしっかりと伝えることに成功している。マフィアのボスとの関係を絶ったバリーだったが、今度はその部下ハンク(アンソニー・キャリガン『GOTHAM/ゴッサム』)がボスに昇格。射撃の腕を買われたバリーは新たな暗殺を依頼される。視聴者の憐れみを買いながらもモラルの泥沼にはまり続ける、とWashington Post紙は不幸続きのバリーに同情。

バリーの暗い過去にスポットライトが当たるシーズン2、と紹介するIndieWire誌も、精神面の描写に注目している。シーズンを更新するごとに徐々にダークになってゆく傾向は、資金洗浄をする父と一家を描いたNetflixオリジナルシリーズ『オザークへようこそ』と同様。自殺した少女の動機を追う『13の理由』や『ブレイキング・バッド』などとも共通しており、一般的な傾向だと言えるだろう。本作で役者を志しながら暗い過去に悩むバリーの立場は、「見事な矛盾」だと同誌は表現。バリーの痛みが増すにつれ、ドラマの個性がさらに際立つようになっている。

平和に生きたい殺し屋の『バリー』シーズン2は、米HBOで放送中。日本からはAmazon Prime Videoでシーズン1の視聴が可能。(海外ドラマNAVI)

Photo:ビル・ヘイダー
(C)Eugene Powers / Shutterstock.com