13日、東大で中国の新社会階層について説明する李春光さん。(撮影:徳永裕介)

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中国社会科学院日本研究所の李春光・研究室副主任が13日、東京都文京区の東京大学東洋文化研究所で、中国社会の新社会階層について講演し、中国共産党が彼らをどう定義し、どのようにしようとしているのか解説した。中国社会で経済的に豊かな彼らの存在は大きく、共産党は入党をうながし、社会と政権基盤を安定させようとしているという。

 まず李さんは、共産党から見たときの定義として、改革開放と市場経済の導入により「個人営業者」「(音楽家など)自由職業者」など6つの新しい社会階層が生まれたと説明。新階層の人口は1億人ぐらいで、中国の特許の半分を握り、納税額は国税の3分の2を占めていることを紹介し、「中国の変革の中で、この新階層の貢献が大きいことは、共産党も認めている」と述べた。

 その上で、新階層のほとんどが共産党員ではないことに触れ、「共産党は、優秀な人には入党をうながし、政府や議会でももっと貢献してもらおうとしている」と指摘した。

 李さんは、日本と中国の地方自治制度の研究が専門で、東京大学東洋文化研究所と日本学術振興会でも研究員を務めている。【了】

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