3月28日、「ソニーグループから卒業する」と6月18日付での退任を発表した平井一夫会長(58)。昨年4月の社長退任以降、会社に現れるのは週1、2回程度となっていたが、改めてその“実績”を振り返ってみたい。


日産・ゴーン元会長並みの高額報酬 ©文藝春秋

 平井氏はICU教養学部出身で、眞子さまや小室圭さんは学部の後輩。国際法のサークルに入っていたという。

 CBS・ソニー(当時)に入社後は海外・マーケティング畑を歩み、12年にハワード・ストリンガー氏の後を継いで社長に就いた。その頃のソニーはテレビをはじめ主力事業全てが赤字で、黒字は金融事業のみ。平井氏は1万人の人員削減やパソコン事業の売却などに踏み切った。「追い出し部屋」の存在もクローズアップされたが、“選択と集中”の結果、昨年3月期には過去最高益を叩き出している。

 この間、平井氏の報酬額はうなぎ上りだった。社長就任前(11年度)は8800万円だったのが、12年度には1億5300万円に上昇。17年度は業績連動報酬に株式退職金やストックオプションが加わり、総額約27億円に及んだ。社長だった6年間だけで、50億円を優に超える額を手にした計算になる。

稼ぎ頭のゲーム事業にも強力なライバルが……

 その一方で、“選択と集中”を進めてきたソニーを取り巻く経営環境は厳しい。屋台骨の金融事業は下振れし、イメージセンサーも中国スマホ市場の低迷で販売数量が大きく減少する見通し。Xperiaシリーズで知られるスマホ事業は20年までに人員を最大で半減させる方向だ。

 最大の懸念材料は、稼ぎ頭のゲーム事業。グーグルが先日発表した「STADIA」は、YouTubeのゲーム予告編などから「今すぐプレイする」ボタンを押すだけで動画のようにゲームが楽しめる。もちろん、専用のゲーム機器は不要だという。ソニーのプレイステーションが脅かされかねない画期的な商品だ。

「リストラで筋肉質になったものの、将来性のある事業に乏しいのが今のソニー。ゲームなど数少ない主力事業でコケれば、再浮上は難しくなります」(銀行関係者)

 平井氏は「他社からオファーがあったけど、断った」と漏らしているという。卒業した古巣を尻目に、50億円の報酬を手に悠々自適のセカンドライフとなりそうだ。

(森岡 英樹/週刊文春 2019年4月11日号)