バージンロードを歩く父と娘(画像は『Good Morning America 2019年4月5日付Facebook「There wasn’t a dry eye in the room when a man who overcame paralysis danced with his daughter and walked her down the aisle on her wedding day.」』のスクリーンショット)

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欧米の結婚披露宴では、花嫁とその父親がダンスを踊るのが定番だ。父と娘がこれまでの思い出を語ったり、音楽に合わせて歌を歌ったりとお互いを思ってステップを刻む。米コロラド州に住むある男性は、娘の結婚式を目前にして病に倒れ、身体の自由が利かなくなってしまったのだが…。『Good Morning America』など複数のメディアが伝えている。

ハワイ在住のジーナさん(30)がマーク・ロスさんと婚約したのは2016年のことだった。結婚式の準備を着々と進めていたジーナさんだったが、時を同じくしてコロラド州に住む父ジム・スタンプさん(70)が病に倒れた。ジムさんは自己免疫疾患である「ギラン・バレー症候群」を発症して身体が麻痺し、約5か月の入院を余儀なくされた。歩くこともできなくなった父の様子に心を痛めたジーナさんは、結婚式を延期した。

退院したジムさんは、車椅子で生活しなければならなくなった。それでもジムさんは根気よくリハビリを続け、2017年には杖をついて歩けるまでに回復した。

少しずつではあるがジムさんの体調が良くなってきたのを機に、ジーナさんは結婚式の日取りを2018年8月4日に決めた。「娘と一緒にバージンロードを歩く」という新たな目標ができたジムさんは、コロラド州エングルウッドのクレイグ病院ピークセンターに週に数回通い、理学療法士の指導のもと必死にリハビリに取り組んだ。

そして病気を発症してから2年が経った結婚式当日、ジムさんは杖を片手に持ちながらもジーナさんとしっかり腕を組み、娘のエスコートという父としての大役を果たした。一歩一歩、ゆっくりとバージンロードを歩くジムさんの姿は、出席した家族や友人、そして誰よりもジーナさんに笑顔をもたらした。

厳かな式が終わって披露宴が始まると、ジーナさんにはジムさんからの思いがけないサプライズが待っていた。会場にナタリー・コール&ナット・キング・コールの名曲『アンフォゲッタブル(UNFORGETTABLE)』が流れ始めると、ジムさんは杖を置き、誰からも助けを受けずに1人で立ち上がり、ジーナさんの手を取ってダンスを始めたのだ。ジーナさんは『Good Morning America』に、その時のことをこう語っている。

「父に向って叫んだの。『え? 本当なの? 杖なしで踊れるの?』ってね。嬉しさと涙と、色々な感情が込み上げてきたわ。父は私に『杖を手放せない可能性もあったので、お前には黙っていたんだ。ダンスはサプライズにしようと思っていたから』って言ったわ。」

「父がリハビリに一生懸命なのは知っていたの。でも私とダンスを踊るために、人の何倍も努力して頑張っていたなんて…。父には『バージンロードを歩くのも、ダンスをするのも無理しないで。私は歩行器でも、車椅子でも気にしないわよ』って念を押しておいたのよ。」

「病に倒れてから、父がどんなに大変な思いをしてきたか、わかっていたつもりだった。でもあの瞬間、父は本当に強い意志を持った人なんだなって思ったの。父は私のヒーローよ。父とこうやってダンスを踊るのは私の夢だったの。」

この2人のダンスの様子は、ジムさんが通院していたクレイグ病院のファンドレイジングのイベントで、最近になってシェアされた。ジーナさんの母キャシーさんはその中で、2人のダンスについてこう述べている。

「あのダンスは本当に特別だった。会場にいた誰もが、2人を祝福して泣いていたわ。ジムが病気だったこと、歩くことも困難だったことをみんなよく知っていたの。本当に感動的だったわ。」

画像は『Good Morning America 2019年4月5日付Facebook「There wasn’t a dry eye in the room when a man who overcame paralysis danced with his daughter and walked her down the aisle on her wedding day.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)