【韓流タイムズ】はじまりはBTSか。各種データが物語る“韓流”世界席巻の真実とは?

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2000年代初めに放送されたドラマ『冬のソナタ』『宮廷女官チャングムの誓い』で本格的に火が付いた韓流ブーム。その後も歌手PSYの楽曲『江南スタイル』が世界中で大ヒットしたことをきっかけに、“韓流”はドラマだけにとどまらずファッション、ビューティー、フードといった多様な分野で関心を持たれるようになった。

そうして現在は、韓国ドラマはもちろんK-POP、さらには韓国バラエティまでもが大きな注目を集めるように。韓流は世界中の大衆文化の中で “持続的な主流トレンド”として位置づけられている。

韓国に対するイメージと韓国商品に対する好感度がアジア、北米、南米、ヨーロッパ、アフリカなどで高まったことをきっかけに、韓流は経済、政治、外交的にも波及効果をもたらすようになった。まさに韓流ブームは、現代の韓国社会にとって新たな成長の原動力となった。

韓国国際交流財団(韓国の公共外交専門機関、イ・シヒョン理事長)から発行された『2018地球村 韓流現況』によると、韓流コンテンツの中でも音楽、ドラマ、フード、eスポーツ(電子機器を用いて行う娯楽や競技のこと)といった分野の同好会は全世界に1843団体。会員数は計8919万人に上り、これは韓国の人口の約2倍だ。

韓流市場の経済的価値も2010年に7兆ウォン(約7000億円)、2015年に19兆8000億ウォン(約1兆9800億円)と年々上昇し続け、2020年には57兆ウォン(約5兆7000億円)にまで拡大する見通しだ。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、2019年の信念記者会見で韓流文化の繁栄について言及している。

「世界の人々がBTSをはじめ、K-POPやドラマなどの韓流文化に熱狂している。まさに韓国文化の底力。我が国の文化が未来産業につながるように尽力する」

また、現代の韓流ブームに拍車をかけるように、今年度から韓国初の“韓流文化大学院”が京畿(キョンギ)大学校に開設される。韓国内外から集まった多くの学生たちが実際の事例を中心に、体系的かつ学問的に韓流を分析する予定だ。

BTSが韓流ブームを牽引した?

ゲームとK-POP韓流文化を牽引した2018年は、韓流史上最高の黒字を記録した。韓国銀行経済統計システムによると去る3月2日、昨年の国際収支で韓流関連のものは24億3000万ドル(約2600億円)の黒字を叩き出し、前年よりも73%上昇した。

特に、ゲームの輸出に関する通信、コンピューター、情報サービス部門の収支は21億1000万ドル(約2300億円)で、前年の11億3000万ドル(約1300億円)と比較して2倍近く上昇している。

K-POP音源、映画、テレビ番組の版権、コンサートの収入といった音響映像及び関連サービスの収支は昨年3億2000万ドル(約360億円)の黒字で、前年の2億8000万ドル(約310億円)に比べて少し上昇した。

一時期は日本で“嫌韓流”、中国で“限韓令”(韓流制限令)が普及され、主な市場である2つの国から見放される危機に陥ったこともあった。

そんな差し迫った状況から一転、韓流が世界的に支持され“歴代最高の黒字”を記録するに至った背景には、K-POPアーティスト史上初めて米ビルボードの2冠を達成したボーイズグループ、BTS(防弾少年団)の姿があった。

過去にも歌手BoAの日本デビューや、ガールズグループWonder Girlsのアメリカ進出といった、K-POPアーティストが世界的な活動に乗り出す事例は少なからずあった。しかし、BTSが他のアーティストらと圧倒的に異なるのは、日本語や英語の楽曲をリリースするまでもなく、ユーチューブなどを通じて韓国でリリースした原曲が世界中から支持を得たという点だ。

BTSは現在も、アジアはもちろん北米、ヨーロッパといった世界各国のファンを魅了し続けている。ワールドツアー「LOVE YOURSELF」をはじめとしたコンサートが絶大な反響を呼んだだけでなく、昨年9月には国連本部信託統治理事会で行われた国連児童基金(ユニセフ)の青年アジェンダ「ジェネレーションアンリミテッド」(Generation unlimited)行事に参加し、世界中のファンに感動を与えた。

その後BTSは韓流を世界に広めて民間外交官としての役割を全うしたとされ、韓国最年少の文化勲章受章者となった。

さらに最近は、BTSが来る4月8日に光州(クァンジュ)ワールドカップ競技場で開催される「2019光州FINA世界水泳選手権大会成功祈願−SBSスーパーコンサート−」に出演することが決まり、韓国では当該公演のチケットが1次販売開始から1分24秒で完売。BTSの熱い人気が改めて証明されることとなった。

歌手活動だけでなく、雑誌や週刊誌といった紙媒体でもその活躍が目立つBTS。

昨年10月にアメリカのニュース雑誌『TIME』グローバル版の表紙を飾ったのはすでに有名だが、最近は、メンバーのJIMINが韓国文化体育観光部発行の週刊誌『ウィークリー共感』496号(3月25〜31日)の表紙を飾った。韓国の伝統衣である韓服(ハンボク)に身を包み、扇子を片手に舞踊を披露するJIMINの姿に、世間は大きな関心を寄せた。

ソウル女子大学メディア映像学部で教授を務めるオ・ミヨンは、韓国コンテンツ振興院が去る2月に発行した情報誌『Hallyu Now』(韓流ナウ)を通じて以下のように分析している。

「現在はソーシャルメディアを中心に、ハングルの歌詞や我が国の情緒が盛り込まれた音楽を海外市場に直接アピールする傾向にある。BTSが2017年に『アメリカン・ミュージックアワード』で見せたステージは、『江南スタイル』以来停滞したアメリカのK-POPブームを再燃させるきっかけとなった」

(写真=『ウィークリー共感』)

アメリカの経済新聞『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、韓流のブレイクについて「世界で韓流ほど成功した大衆文化を見つけるのが現在難しく、その中心には常に韓国のコンテンツ企業がある」と評価した。

なかでも、K-POPは全世界で50億ドル(約5500億円)といわれる巨大産業で、最近相次ぐインスタグラム、ツイッターといったSNS企業を経営するCEOの訪韓も、アメリカでのK-POPブームがひとつの要因として挙げられる。実際に、CJ ENMが主催する世界最大級の韓流フェスティバル「KCON」には昨年アメリカだけで14万7000人余りのファンが訪れている。

韓流ブームはテレビコンテンツにまで

韓国コンテンツ振興院は、去る2月に開催されたアジア圏放送コンテンツ市場のためのイベント「2019 香港国際映画&TVマーケット」(FILMART)で文化体育観光部と韓国共同館を運営し、香港、日本、台湾、シンガポール、ベトナムなどのアジア主要諸国を対象に1660万ドル(約18億円)の放送コンテンツ輸出成果を収めた。

これは昨年の1450万ドルと比較して15%ほど増加した数値で、今後の韓国放送コンテンツの繁栄に対する期待感を高めた。