エッフェル塔フランス・パリの象徴ともいえる塔であり、多くの人々が現地に足を運んだり、写真や映像を見たりしてその姿を知っています。ところが、エッフェル塔の夜景写真をインターネット上に無許可で公開することは法律違反に当たるそうで、その理由について解説したムービーがYouTubeで公開されています。

Why Photos of the Eiffel Tower at Night are Illegal

インターネットには人々が撮影した写真やムービーを自由にアップロードしているサイトがいくつかありますが……



実はエッフェル塔の夜景を写した写真やムービーを無許可でインターネット上に公開することは、違法行為に当たるかもしれないとのこと。



昼のエッフェル塔をムービーとして公開することは合法ですが……



夜のエッフェル塔の様子をムービーとして公開する場合、モザイクをかける必要があります。



なぜこのような奇妙な事態になっているのかというと、フランスにおける著作権法が関係しているそうです。



人々が制作した美術や音楽、文芸などには著作権が存在します。著作権は基本的に著作物の制作者に与えられ、本人が生きている期間に加え、死後一定の期間にわたり保証されます。



死後何年にわたって著作権が保証されるのかは国によって違いますが、多くの国々では死後70年となっているとのこと。この70年という期間はフランスが属するEUでも共通です。



EUでは著作権法の例外として、「景観の自由」が存在します。これは、町中の景観には著作権が適用されず、景観を撮影した写真やムービーは合法的に使用できるというもの。



著作権上の分類として建物は芸術作品であり……



1999年に開業した観覧車であるロンドン・アイの正確なレプリカを誰かが作れば、それは著作権に違反した建物となります。



しかし、EUの大部分では景観の自由を保証しているため、公共の場で眺めることが可能な景観については基本的に著作権が適用されません。著作権の切れていない建物が写った写真をSNSで販売したりポストカードとして販売したりしても、違法とはならないのです。



その一方でEUは「景観の自由を適用しない権利」を認めており、一部の国では景観の自由を認めていないとのこと。



たとえばフランスは、景観の自由を認めていません。



フランスでは著作権の切れていない建物が写った風景を、個人使用の目的で撮影することに問題はありませんが……



商業目的での使用は著作権侵害となってしまいます。



そのため、YouTubeなどにアップするムービーも、本来であれば著作権の切れていない建物にはモザイク加工が必要。



著作権を持つ建築家がその気になれば、訴訟を起こすこともできるとのこと。



しかし、多くの人が写真や映画などでエッフェル塔を見たことがあるはず。いったいなぜエッフェル塔の写った写真やムービーが取り締まられないのかといえば……



単にエッフェル塔が建設された時期が非常に古いため、すでに著作権が切れているというだけ。エッフェル塔著作権を持つギュスターヴ・エッフェル氏は、1923年に亡くなっています。



それから70年後の1993年にエッフェル塔著作権が切れたため、記事作成時点ではエッフェル塔の見た目やデザインなども、全てがパブリックドメインとなっています。



エッフェル塔の周囲で販売されている怪しいレプリカも、驚くべきことに違法なものではありません。



しかし、エッフェル塔の夜間ライトアップは1985年まで設置されていなかったため、夜間ライトアップ中のエッフェル塔著作権の切れていない芸術作品とされているとのこと。



そのため、夜間ライトアップ中のエッフェル塔を撮影した写真を商用利用したり、SNSやブログなど不特定多数の人々が閲覧可能な状態で私的利用を超えていると判断されると、著作権違反となってしまいます。



実はこの規則はエッフェル塔の夜間ライトアップに限った物ではなく、ルーヴル美術館の中庭にあるルーヴル・ピラミッドや……



コペンハーゲンにある人魚姫の像も、実は著作権で保護されているとのこと。



実際のところ、エッフェル塔の夜景写真が原因で裁判が起きた前例はないものの……



いつエッフェル塔の管理団体が方針を変えるかわかりません。そのため、あくまでもエッフェル塔の夜景写真は個人的な思い出として撮影するにとどめ、広く公開するのは避けた方が賢明かもしれません。