Jリーグで好調を維持する古橋(左)、藤本(中央)、仲川(右)は、コパ・アメリカで見てみたい選手だ。(C)SOCCER DIGEST

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 どんなにボールを持っても、中盤で「オォッ!」と沸かせても、最後にゴール前を崩せなければ勝負事としては意味がない。
 
 特に南米のチームは、崩されそうになったら、すぐに割り切ってゴール前を固めるので、こじ開けるのは至難の業。それを思い知ったのが、コロンビア戦とボリビア戦だった。コパ・アメリカでも、ワールドカップ予選でも、日本代表が同じ状況に悩まされることは想像に難くない。
 
 ゴールに絡む選手が欲しい。引いて守る相手をこじ開ける手段が欲しい。一部の選手に依存し続けず、もっと幅広く。
 
 その視点で、私が森保ジャパンで見たい選手。1人目は、大分トリニータの藤本憲明だ。身長175センチと、1トップとしてはサイズが小さいが、裏抜けのタイミングの取り方は抜群にうまい。ポストプレーも良い。そして何より、シュートがうまく、ゴールを奪える“間”や“隙”を知っている選手だ。相手GKやDFのレベルが高い場合、藤本のようなゴールセンスが無ければ、簡単には点を取れない。
 

 年齢は29才だが、ストライカーとGKは円熟が必要なポジションであり、運動量をそれほど求めるわけでもない。最終予選、あるいはカタールW杯までを視野に入れても、充分招集できる選手だ。
 
 もちろん、海外の対戦相手はスピードやパワーが段違いなので、そこでどんなプレーを見せるかは未知数。だからこそ、試すべきだろう。
 
 2人目は、横浜F・マリノスの仲川輝人だ。
 
 実質、森保ジャパンは右サイドを堂安律に任せっきり。乾貴士や宇佐美貴史もプレーは可能だが、どうしても足下が多くなる。超攻撃的な右サイドバックがいれば、それでも構わないが、今の日本はサイドバック不足が目立つ。選手層からも、森保ジャパンの基本スタイルからも、やはり右サイドには裏を取れるスピードタイプが欲しい。
 
 速くて、仕掛けができて、日本代表のような狭いスペースの連係に充分ついていける選手……といえば、仲川が筆頭だ。正直、コロンビア戦やボリビア戦で呼ばれなかったのが不思議なくらい。6月は国内の親善試合、南米でのコパ・アメリカと、2チーム分に近い陣容が予想される。仲川はメンバーに入ってくるのではないか。
 3人目は、ヴィッセル神戸の古橋亨梧だ。
 
 ここ最近の成長ぶりは、完全にアウトパフォーマンス。想像以上だ。岐阜時代から思い切りの良いウインガーだったが、神戸でイニエスタらとプレーすることで、明らかにレベルが上がっている。たった1か月、2か月の間にも、見違える選手になりそう。このまま経験を詰めば、日本代表レベルでも、充分ついていけるのではないか。伸び盛りの選手にこそ、コパ・アメリカを経験させたい。
 
 森保ジャパンでは、左サイドは人材豊富だが、古橋は右サイドもプレー可能だ。また、もう一つ期待したいのは、4年前の原口元気のように、超攻撃的布陣を取りたい時間帯のサイドバックやボランチでの起用。縦に仕掛けるスピードドリブラーを、サイドバックに置いて仕掛けさせ、中をフリーにする。あるいは、中央から長駆を飛び出すボランチとする。特に今は攻撃的なサイドバックが不足しているので、そんな変化起用も想定したい。
 
 古橋は神戸でも多くのポジションで起用され、守備も献身的にこなしている。いろいろなリクエストに答えてくれるのではないか。楽しみな選手だ。
 
文●清水英斗(サッカーライター)