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モータースポーツの最高峰ともいわれる「フォーミュラ1(F1)」のマシンは最新の技術の結晶で、マシンの開発や維持などには多額の資金が必要です。資金を調達するためにF1チームが企業とスポンサー契約を締結しながらレースに出場する様子は「走る広告塔」と呼ばれることもあり、F1チームの歴史は企業の都合やブランド戦略に翻弄(ほんろう)されることとなります。そんなF1チームの歴史をF1情報専門のYouTubeチャンネル・WTF1がまとめました。

The Unusual History Of F1 Teams - YouTube

フェラーリ・ウィリアムズ・マクラーレンなどの伝統的なチームは、登場時からずっと同じチームでした。



アストンマーチン・レッドブル・レーシングの場合は事情がもう少し複雑になります。



F1チームとしての出発は1997年に登場したスチュワート・グランプリから始まります。その後グリーンのチームカラーで知られたジャガー・レーシングに引き継がれ、2005年に飲料メーカーのレッドブルが買収し、レッドブル・レーシングとなりました。



レッドブルは別のF1チームも所有しています。「万年周回遅れ」といわれることもあったミナルディが2006年にF1から撤退。レッドブルに買収されスクーデリア・トロ・ロッソとなります。



この「トロ・ロッソ」はイタリア語で「レッド・ブル」。スクーデリア・トロ・ロッソはレッドブル・レーシングのジュニアチームというわけです。



ミナルディのオーナーだったポール・ストッダート氏は売却の際にひとつだけ注文を付けました。それが、チームの本拠地をイタリアののどかな町ファエンツァから移さないことというもの。



このため、2008年イタリアグランプリでの優勝はチームにとってひときわ大切な勝利でした。



ルノーの場合はさらに複雑です。チームはトールマンとして1981年に登場。その後強豪チームベネトン・フォーミュラとして名をはせてから2002年にルノーに買収されルノーF1チームとなりました。



その後ルノーが2012年に手を引いたため、ロータスとして再出発したものの……



マレーシアの新興チームであるロータスと名前がかぶってしまい、2011年のレースではロータスというチームが2つも出場するという事態が発生しました。



ロータスという名前を巡る両チームの衝突は裁判ざたにまで発展したものの、2015年にルノーに再び買収されることで、ロータスとしての時代は幕を下ろしています。



ですが、話はここで終わりません。実はルノーは上記よりも先の1977年に「エキープ・ルノー」というチームを興していました。このため、2019年現在のルノーのチームの前身となったトールマン時代もルノーだったと見ると、ルノー同士で覇を競ったことがあるという見方もできます。



ルノーに比べるとザウバーの歴史はシンプルです。1993年に発足したザウバーは2006年にドイツの自動車メーカーBMWに買収され、2006年にBMWザウバーとなります。その後2008年のカナダグランプリで優勝を果たすなどの成績を収めた後2010年にBMWが元オーナーにチームを売却し、再びザウバーとして再出発しました。



フォース・インディアの前身は1991年に発足したジョーダン・グランプリです。



ジョーダン・グランプリは1998年に自チームから優勝者と準優勝者を出すなどの輝かしい成績を収めた後、2006年から2008年に立て続けに名前を変えた後、インド人実業家ビジェイ・マリヤに買収されフォース・インディアとなりました。そのフォース・インディアも2018年に破産し、現在はレーシング・ポイントとして活動しています。



メルセデスは第二次世界大戦後の1954年にF1に参戦するやいなや12レース中9レースで優勝するという華々しいスタートを切りましたが、1955年に発生した事故の影響でモータースポーツ界から退くことになりました。



一方で、1971年に発足したティレルは名ドライバージャッキー・スチュワートの活躍などにより好成績をおさめたものの1980年代以降はふるわず、B・A・RやホンダF1などを経て2009年にブラウンGPとなりました。



ホンダから1ポンド(約140円)で売却されたともいわれるブラウンGPですが、結成されてから数週間後の2009年のオーストラリアGPでF1史上初の参戦初年度優勝の快挙を成し遂げました。その翌年の2010年に久しくF1から退いていたメルセデスに買収され、2019年現在は「メルセデスAMG F1」というチーム名になっています。



複雑怪奇なF1チームの歴史をひとまとめにしてみるとこんな感じになります。